博士と彼女のセオリー (The Theory of Everything) 感想

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オススメ度: ★★★★☆

あらすじ: ケンブリッジ大学で物理学を専攻し,希代の天才として大きな期待をかけられていたスティーブン・ホーキング(エディ・レッドメイン)は,同じく大学で文学を学ぶジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い,恋に落ちる。

しかしそれからほどなくして,スティーブンは全身の筋肉が動かなくなってしまうという難病ALSだと診断され,医師からはその余命がわずか2年しか残されていないと知らされる。

しかしそんな中でもスティーブンは希望を捨てることなく,ジェーンの助けを借りながら,「宇宙を構成するたった一つの,シンプルで美しい方程式(The Theory of Everything)」を見つけるべく,研究に励むのだった...


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実在の人物,スティーブン・ホーキング博士の半生を描いた物語である今作ですが,
この映画はよくある半ドキュメンタリー的映画とは一線を画す部分があります。

それは,登場人物のほぼ全員がまだ存命であること。
これはfacebook誕生の物語を描いたデイヴィッド・フィンチャー監督の「ソーシャル・ネットワーク」なんかでもそうでしたが,今作にはもっと挑戦的なアプローチが必要になっていました。

なぜなら,ホーキング博士はALSという難病に侵されているから。
難病に侵されている存命の人物を演じるということは,過剰に苦しみを表現しすぎることも,または不用意に美化しすぎることも,どちらも本人の尊厳を傷つける結果となってしまい,リアリティをも損なう結果となってしまうのです。

しかしこの映画でホーキング博士を演じたエディ・レッドメインはそんなチェレンジを100点満点以上の演技で軽々と乗り越えて見せました。
決して聖人ではないけれど,それでも幸せを手にして希望の光を見ようと必死に生きるホーキング=レッドメインの姿には,観ていて自然と涙が溢れ出してくるような魔法がかかっています。

そしてホーキング博士の最初の妻ジェーンを演じたフェリシティ・ジョーンズの演技もまた素晴らしい。
ホーキング博士を献身的に支える喜びと,今後の自分の歩むべき人生が見えなくなるような苦悩の間で葛藤しだんだんと疲弊していく姿があまりにも生々しく,そしてなんとも美しいのです。

しかし,この映画にも少し不満な点はあります。
この映画の物語では,ホーキング博士が物理学の世界で有名になっていくことと反比例して彼の病状が悪化していく様子を対比的に描いているわけですが,
そのわりにホーキング博士が具体的にどのような意見を発表して,彼のどのような視点が革命的だったのか。その辺りがあまり具体的に描かれておらず,

その代わりに「物理学」と「神の存在」というのをホーキング博士とジェーンの関係のメタファーとして頻繁に登場させているのは正直「?」であったと言わざるを得ません。

この映画では最終的に,日々の何気ない営みこそが"The Theory of Everything"なのであると結論づけているわけですが,そこに至るまでの過程として,ホーキング博士が宇宙に関してどのような考えを持っているのかという描写をもっと掘り下げることは必要であったと思うのですけども...そこだけが唯一惜しいと思った点ですね。

とはいえ,エディ・レッドメインによるまさに「アカデミー賞もの」の演技によって強固に支えられた今作は,生の感情を山ほど詰め込んだ最高のヒューマンドラマであり,
そしてフィクションでは決して作ることのできない,全てが清く正しくロマンティックなことばかりではないけれど,だからこそ人生は美しいのだということを我々に教えてくれる類稀なるラブストーリーとなっているのです。必見!

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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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