ボーイソプラノ (Boychoir) 感想

このエントリーをはてなブックマークに追加

bjasdba.jpg

オススメ度: ★★☆

あらすじ:

12歳の少年・ステット(ギャレット・ウェアリング)は学校ではトラブルばかり起こす問題児。
しかし彼には音楽の才能があり、音楽を聴けば拍子を理解でき、歌では学校の誰にも負けない。

そんな彼は家では定職に就かず酒浸りな母親と2人暮らし。そんな母親でもステットにとってはたった一人の家族。ステットはいつも母親のことを気にかけていたのだった。

ある日、ステットの学校に国立少年合唱団がやってきてパフォーマンスをする。
彼らを読んだのは、ステットの学校の校長・スティール(デブラ・ウィンガー)
彼女はステットの歌の才能を見抜いており、ステットにオーディションを受けさせるべく、高名な指揮者にして国立少年合唱団付属学校のベテラン教師・カーヴェル(ダスティン・ホフマン)に必死に交渉していたのだった。

パフォーマンスが終わりカーヴェルの元へ連れて行かれたステットだったが、彼はオーディションを放棄して逃げ出してしまう。

しかし家に着いたステットを待っていたのは、彼の人生を大きく変える悲しいニュースだった...

hsjzxvchb.jpg

才能がありつつもくすぶっている少年が、名門学校の有名な教師による厳しい指導の末、その才能を開花させる。
あれ、こんな話、どこかで聞いたことありませんでしたっけ?

そうだ、今年の4月頃、名門学校に入学したドラマーが超絶スパルタ教師と壮絶なバトルを繰り広げたオスカー受賞作・「セッション」だ! あの映画は本当に衝撃的だったなあ。

この「ボーイソプラノ」も基本的な話の流れは同じですが、こちらはもっと優しいお話。
歌の才能に満ち溢れているのにどこかくすぶっている少年・ステットが国立少年合唱団のベテラン教師・カーヴェルに見出され、急激な速度でスターダムへとのし上がっていくというサクセスストーリーとなっています。

学校で問題児だったステットは、唯一の家族である最愛の母親を失ったことがきっかけで、全寮制の国立合唱団付属学校に転入することになるのですが、その流れも含めて、全体としての物語の進め方はかなり強引。

ステットの父親は、隠し子であるステットを自分から遠ざけるため、学校に大金を払って裏口入学させます。

その後学校で暴力事件を起こしたステットは即刻退学に...かと思いきや、「ステットを退学させるなら私も辞めるけどね〜」というカーヴェル先生のお言葉のおかげで、「ソリストと指揮者を同時に失うわけにはいかないじゃない!」と校長先生を説得。なんとか退学を免れ、学校創立以来最も栄誉あるステージに立てることに...

などなど、夢のない話ばかりで笑えます。それと同時に「結局金と才能があるやつが優遇されるってことなのね。それに比べて自分は...」と悲しい気持ちになったのは私だけでしょうか。私だけですね。ネガティブですみません。

ラストの父親夫婦のアレとかもね。奥さん、よくあんな優しく受け入れられたな。天使か。自分が彼女の立場だったら即離婚しますけどね。

hajhdwa.jpg

そしてカーヴェル先生が最初ステットに対してやたら厳しい理由も、「私ほどの高名な指揮者がせっかくオーディションの機会を設けてやったのに蹴りやがって」とか「私は子供のころに『才能がないから』という理由で学校を退学させられたのに、こいつは才能があってみんなからちやほやされてる」など、完全に個人的な妬みと恨みだったのもがっかり。

「セッション」のフレッチャー先生はまだ自分の芸術を高めるためっていう目的があったから良かったんですけどね。それなのにカーヴェル先生がだんだんとステットに入れ込んでいくようになる理由みたいなものがあんまり描かれていないので、「ん、この人たちいつからこんな仲良くなったの?」と頭の中にクエスチョンマークが浮かびっぱなしでした。

さすが歌のパートは、こういうタイプの音楽に疎い私でもなんとなくすごいと思わされる力強さはあります。
けれどこの作品が映画全体としてはイマイチ盛り上がりに欠ける最大の要因は、ステットの音楽にかける気持ち、モチベーションが伝わってこないからではないでしょうか。

劇中でカーヴェル先生は、「お前は私のことも学校のこともなめてる。音楽がないといけない強い理由が感じられない」と、まるで観客である我々の疑問をステットに投げかけてくれます。

それに対してステットは、力強く「あるさ!」と叫ぶのですが、少なくとも劇中には彼が音楽を好きになったきっかけだったり、音楽が彼の心を支えている理由につながるような描写が一切見られないので、その言葉にあまり説得力を感じられなかったんですよね。
せめて、例えば母親との思い出に絡めて何か一つでもエピソードを挟んでくれてさえいれば、もう少しステットに感情移入できたんですが。正直私の中でのステットは、「ただの歌が上手い不良」くらいの印象しか持てませんでした。

しかし、ダスティン・ホフマンに始まりキャシー・ベイツ、エディー・イザードなどの豪華俳優たちによる演技はさすが熟練の技を感じさせるものばかりだし、主人公・ステットを演じるギャレット・ウェアリングくんも負けず劣らず素晴らしい。歌えるだけじゃなく、表情で語る演技ができる子ですね。将来歌手になるのか俳優になるのかはわかりませんが、どちらにしても彼の前には輝かしい未来が広がっていそうです。

個人的に新鮮だったのは、「Glee」に車椅子の少年・アーティ役で出演していたケヴィン・マクヘイルが普通に歩ける役で出ていたことですね。まあもともとダンサーなわけだしそりゃそうなんですけど。
「Glee」もシーズン2までは好きだったなあ。シーズン3くらいからはただの恋愛ものっていうか、ほとんどの話が単なる痴話喧嘩の話ばっかりになってきちゃって、本来の「負け犬たちが歌でのし上がる!」っていうコンセプトからだんだん外れてきちゃったもんでねえ。

やっぱり音楽をテーマにした映画/TVドラマには夢がないと。それはこの映画にも言えることなんじゃないのかな、なんてふと思いました。



関連記事
スポンサーサイト
Theme: 映画感想 - Genre: 映画

Comment

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する