
*注意! この記事には、作品のネタバレ(?)が含まれます。

オススメ度: ☆
あらすじ
西暦2265年、木星のそばに位置する人工居住区「うず潮」は、「ギャラクシー街道」と呼ばれるスペース幹線道路で地球と結ばれている。
しかし、近年新たな道が開拓されたことによってギャラクシー街道はすっかり廃れてしまい、その需要も薄れてきてしまっていた。
そんなギャラクシー街道でハンバーガー屋を営むノア(香取慎吾)は、従業員・ハナ(大竹しのぶ)は仕事ができないし、妻のノエ(綾瀬はるか)は毎日コソコソと出かけて行って、もしかしたら浮気をしているのかもしれないしで、夢だったはずの仕事にも身が入らない日々を送っていた。
宇宙の様々な星からお客の集まるノアのハンバーガー屋で、いつもと同じように始まった平凡な一日。
しかし今日は、どこか様子が違っていて...?

感想
香取慎吾って、もう38歳なんですって。
驚きですよね。もはや彼らSMAPくらいになってくると、「アイドル」というよりは本物の「スーパースター」と呼ぶ方が相応しいような気がします。
だって今のSMAPに、「俺らは女の子たちをヒーヒー言わせるピッチピチのアイドルだぜ!」とか言われても、「何を今更」ってなりません?
やっぱりエンタメ業界にいる人は、柔軟に自分のスタイルを変化させていかないと生きていけないんじゃないかと思います。
そこをうまくやっているからSMAPは今でも国民的な人気者でいられるわけで。
そんな慎吾ちゃんが主演の「ギャラクシー街道」にも同じことが言えそう。
これまで日本のコメディ映画会を牽引してきた三谷幸喜監督の最新作となる今作は、「これは笑いを取りにきてるの?」と聞き返したくなってしまうような、もはやギャグとすら言えないダークマターが詰まった、時代遅れどころか時空錯誤レベルの勘違い映画となってしまいました。
映画館でもテレビでも散々流れているこの映画のCMでは、「広大な宇宙に浮かぶ、小さなハンバーガーショップで起きた、最高の奇跡!」などと謳っていますが、そもそも劇中で、別に奇跡とか起きてないですよね?
慎吾ちゃんのハンバーガーショップに集まってきたお客さんたちが、ただただ痴話喧嘩をしたり風俗嬢を選んだりする様を見せつけられるだけの地獄のような2時間というのがこの映画の正体。
特に小栗旬を中心としたアレはなんだったんですか? あんなただの別れ話が笑いになるというのなら、都心のガストかサイゼリヤに行けば1時間に1回は見られるでしょ。
そして三谷幸喜が設定した最大の笑いどころが、遠藤憲一が妊娠→出産するという、オリジナリティのない性倒錯的なギャグだった時にはおもわず苦笑い。
男が妊娠するだぁ!? 俺だって大学時代は(男に)おっぱいを揉まれたり、(男に)チ○コを触られたりする度に「あぁ、妊娠するぅぅ」とか言ってドッカンドッカン笑い取ってたわ!
笑いのプロが、何の才能もない一般大学生男子でも思いつくギャグを大ネタに持ってくるようじゃダメですよ。
しかもそんな大ネタを、CMで散々映して自らネタバレしてるっていうね。もう何がしたいんだかわかりません。

しかしそれでもなんとか笑えるのは、遠藤憲一の頑張りのおかげ。
ボンテージ姿の遠藤憲一が、綾瀬はるかに「大丈夫大丈夫大丈夫」と連呼しながらキスを迫ったり、「奥サァァァン」と泣き叫ぶ姿には、悔しいけど激しく笑いました。
あとはショップの使えない店員役の大竹しのぶも良かったですね。
お客さんのオーダーに対して信じられないくらい邪悪な顔で「ハァァ!?」と威嚇する姿には、どんな仕事にも手を抜かない彼女の女優魂を感じました。
しかし、なんでこんな仕事受けちゃったんだろう...
そんなこんなで特に何も起こらないまま、なのになぜか全てがスッキリ解決したかのように幕を閉じていくこの映画のラストシーンは、半魚人に扮したT.M. Revolutionこと西川貴教による一人ミュージカル。
...いや、歌はうまいよ? そりゃそうなんだけどさ、普段ロックを歌ってる人にあんなコテコテの甘々なミュージカル曲を歌わせても似合うわけないでしょ! 適材適所って言葉を知らないんですか。
そんな間違った感性で作られた映画で笑いや感動を作り出そうとしても、地球で平和に暮らす常人には理解できるわけがありません。
いや、もしかしてこれ、宇宙人へのメッセージとしてロケットに乗せて打ち上げたら、他の星ではかなりうけたりするのかな?
そう考えたら、最初に「時代遅れ」とか言っちゃいましたが、逆に三谷幸喜監督は生まれてくるのが早すぎたのかも。
それも、3億年くらいね。

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