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アクトレス 〜女たちの舞台〜 (Clouds of Sils Maria) 感想 女性の世界は複雑だ。

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オススメ度: ★★★★★


あらすじ


マリア・エンダース(ジュリエット・ビノシュ)は今や世界的に有名な舞台/映画女優。

そんな彼女が無名の女優からスターダムにのし上がることができたのは、彼女が20年前に出演した舞台、「マローナのヘビ」の大成功があってこそである。

「マローナのヘビ」は脆く繊細な40歳の女性・ヘレナが若く大胆な少女・シグリッドに惹かれ恋に落ちるも、次第にヘレナはシグリッドの都合のいいように利用され始め、ラストでシグリッドに捨てられたヘレナは自殺してしまう...というストーリー。

マリアが演じたのは、若さの象徴として描かれる主人公・シグリッドだ。

その脚本を手がけた恩師・ウィルヘルムの代理としてスイスで開かれる授賞式に出席すべく、アメリカ人の若く、しかし優秀で忠実なマネージャー・ヴァレンティン(クリステン・スチュワート)と共にチューリッヒ行きの列車に揺られていた。

しかしそんな彼女の元に、ウィルヘルムが急死したという知らせが届いた。
悲しみの中セレモニーに参加した彼女は、若き人気作家のクラウス(ラース・アイディンガー)から「マローナのヘビ」のリバイバルに出演してみないかというオファーを受ける。

しかし今度はシグリッドとしてではなく、彼女に捨てられ命を投げ出してしまう40歳の女性、ヘレナとして...

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感想


エンタメ業界を描いた映画では、作品の主人公の物語と、それを演じる俳優が現実で歩む人生をシンクロさせると深みと説得力が出る、ということは「バードマン」のオスカー受賞によって証明されました。

「バードマン」で役柄とドラマ性を共通していたのは主演のマイケル・キートンのみでしたが、この作品「アクトレス 〜女たちの舞台〜」では、主演となるジュリエット・ビノシュと対になる存在として、今をときめく若手スター、クロエ・グレース・モレッツにも自身の写し鏡となるようなキャラクターを演じさせることによって、女優という職業につく人のみならず、人間誰しもが対峙する「若さ」と「老い」という人生最大のテーマに鋭く切り込むことに成功した傑作となりました。

ジュリエット・ビノシュが1985年、若き女優役として初めて主演を務めた映画「ランデヴー」の脚本を手がけたオリヴィエ・アサヤスが監督を務めた今作は、まさに彼女のために当て書きされたと考えてもおかしくない物語。

「マローナのヘビ」という舞台で若さの特権である「大胆さ」を象徴する主人公・シグリッドを演じることによって女優としてのキャリアを切り開いた主人公・マリア(ビノシュ)は、40歳になり女優としても円熟した今、老いがもたらす「脆さ」の象徴となるもう一人の主人公・ヘレナを演じることによって、時の流れや自身の精神的変化と向き合うこととなります。

舞台の脚本が書かれた場所である、スイスの山岳地帯シルス・マリアにある家で役作りに臨むことになるマリアですが、ヘレナの役を演じることはまるで自身の老いを指摘されているような気がしてどうにも役に入ることができません。

そんな彼女を献身的に支えるのが、アシスタントのヴァレンティン(以下ヴァル)。また彼女の説得で、今回の舞台でシグリッドの役を演じる若きスター・ジョアンのことを調べてみることになります。

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ハリウッドの大作SF映画で、チープな赤いスーツを着て、悪の博士との報われない恋に堕ちてしまった元スーパーヒーローを演じるジョアン。その姿を見たマリアは「これは演技ではない」と言いたげに散々バカにするのですが、ジョアンと同じく若い感性を持つヴァルは、「ジョアンの演技には自分をさらけ出す勇気と大胆さがある」と褒め称えます。

そんなジョアンを、普通のおませな少女からスーパーヒーロー、さらにはヴァンパイアの役までをこなす、今をときめく18歳の「ヒットガール」クロエ・グレース・モレッツが完璧に演じます。ジョアンという役にこれ以上のリアリティを持たせられる女優は見つけられないでしょうね。

どんなに羨んでも懐かしんでも、もう二度とは帰ってこない「若さ」の特権。
そして周りを見渡せば、それを悪びれもせずに見せつけてくる2人の若者たちがいる。だんだんと精神的に追い詰められていくマリアは、気づけばヴァルに当り散らしてしまいます。

メインキャストたちのキャリアと登場人物たちの役柄、その登場人物たちの辿る運命と、彼女たちが演じる「マローナのヘビ」の脚本。
とにかく全てが交錯しながらメタファー的な役割を果たしているこの物語を一歩引いた目線から見つめるのが、ヴァルを演じるクリステン・スチュワートの役割です。

ヴァンパイアブームの火付け役となったヤングアダルト映画「トワイライト」シリーズで世界中のティーンの憧れとなったクリステン・スチュワートは、本来であればジョアン側の人間。

そんな彼女がヴァルという役を演じるためには、女優という生き物に対する愛情と、その生き方に対するシニカルな目線を同時に持ち合わせた複雑な演技が求められたはずですが、彼女は表情や話し方など全てのディテールを細かに表現して見せました。

この演技でフランス最大の映画賞・セザール賞の助演女優賞を受賞した彼女ですが、なんとアメリカ人女優でこの賞を取ったのは彼女が初めてなんだとか。しかしこの演技を見れば納得。もしこれでアカデミー賞を受賞できないんだったら、賞レースって何のためにあるの? と言いたくなってしまう、最高の演技を見せてくれています。

物語の終盤、マリアとヴァルはシルス・マリアにごく稀に現れるという、舞台の名前にもなった不思議な雲「マローナのヘビ」を見るべく山頂へと向かいます。
そこに現れた雲はたくさんの雲を集めながら一匹の巨大なヘビのような姿を形成し、山岳地帯の間を留まることなく流れていきます。

これって私たちの人生と同じじゃないですか? 「若さ」というのは誰にでも一度は与えられるけれど、その一瞬の輝きが終わった後にも、私たちの人生は運命に従って流れていくわけです。様々な出会いを重ねながら。この映画のまとめとしては、あまりにも完璧すぎる演出です。

...という風に、メタファーに溢れた作品となっているため「難しそう」と思う方もいるかもしれませんがご安心を。
この映画はそんな説教くさいものではなく、ジュリエット・ビノシュとクリステン・スチュワートの演技バトルや、舞台調で進んでいく物語に身を任せているうちに、自然と「女性として生きるということ」の難しさと複雑さを私たちの脳裏に刻み込んでくれる、恐ろしくも儚いエンタメ作品に仕上がっているので。

しかし、やっぱり女性の世界って大変だなあ。
筆者(♂)はクリステン・スチュワートと同じ学年の生まれなんですが、「自分、そろそろ急激に太り始めんのかなあ」とか「そろそろ髪の毛も薄くなってくるんだよねえ」などとぼんやり考えても、自分の外見的変化にあんまり恐怖心とか感じたことないですもんね。

そ、そういえば最近、体重計に乗ってないかも...ギャー!!! やっぱりボク、若いままでいたいですぅ!!



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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2015/11/30 (Mon) 00:34

6日のことですが、映画「アクトレス 〜女たちの舞台〜」を鑑賞しました。 有能なマネージャーのバレンティーヌと二人三脚で仕事をこなす大女優マリアは出世作のリメイクのオファーを受ける しかしかつて演じた若き美女ではなくヒロインに振り回される中年上司役だった ...

笑う社会人の生活 - http://blog.goo.ne.jp/macbookw/e/62c7b83825b343235d79c53e9f80603a
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