海難1890 ネタバレ感想 真心は時代を超えて。

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オススメ度 ★★★☆



あらすじ


第1部:
1890年、和歌山県串本町沖。ムスタファ大尉(ケナン・エジェ)をはじめとした、後のトルコであるオスマン帝国の親善使節団は日本の天皇への親書を届けるため、軍艦エルトゥールルに乗って長い航海の旅に出た。

無事日本にたどり着き任務を遂行したムスタファたちだったが、その帰り道、海上で大きな台風に見舞われ、エルトゥールルは無残にも座礁。海に投げ出された乗組員500名以上が命を落としてしまった。

しかし生き残った者たちは日本の和歌山県に属する小さな島へと流れ着く。
そこに住んでいた元紀州藩士の医師・田村元貞(内野聖陽)やその助手を務めるハル(忽那汐里)ら、地元住民は自らの食糧難などを顧みず、必死の救助活動に乗り出す。

最初は誇り高きオスマン帝国の兵としてのプライドから、最初はなかなか村人たちからの助けを受け入れようとしなかったムスタファだったが、村人たちの優しさに触れ、彼の心にも次第に変化が現れる...

第2部:
エルトゥールル号の事件から95年後、イラン・イラク戦争中の1985年。
3月17日にサダム・フセイン大統領によって、今から48時間後以降、イラン上空を飛ぶ航空機は全て無差別に攻撃するということが宣言された。

在留外国人の誰もが至急の国外退去を望む中、日本政府は危機的状況を理由に在イラン日本人の救出を断念。
そんな中、トルコ政府は日本人を救うため、驚くべき行動をとる...

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感想


最近は「テレビ局開局〜周年記念」などと言って、過去にヒロイックな活躍をした日本人の半生を描いた「愛国ムービー」がやたらと公開されていますが、そのどれもが中途半端なヒーロー像と、点と点をつないだだけのような説得力のない史実描写に眠くなってしまうものばかり。

しかし、日本とトルコ両国の大統領もお墨付きで製作され、トルコと日本の友好関係の始まりを描いた「海難1890」は最初から気合の入り方が違いました。

まず、冒頭で日本の小さな島に住む村人たちの描写からして驚かされます。
映像の美しさもそうですが、村人たちの会話の様子がとても自然に感じられ、決して裕福ではないながらも優しさに満ち溢れた村の生活に引き込まれてしまいます。

そんな優しい人々が集まる村に流れ着いたのは、見慣れない服を着た外国人たち。
彼らは大きな怪我を負い、海には完全に崩壊した戦艦が。これは大変だと、真夜中にもかかわらず村人たちは大集合し、救援活動に励みます。

村人たちがうろたえ、大騒ぎしながらも勇気を振り絞って手当てに臨む姿が驚くほどリアルで、観ているこちらにもついつい力が入ってしまいます。
その後回復したトルコ人たちは、村人たちの優しさに触れ、みるみる元気になっていきます。

劇中で「真心」と呼ばれる村人たちの行動や精神は、間違いなく観客の心を打つはずです。
ああ、日本人も捨てたもんじゃないなあ...なんてことまで思わされてしまうほど。俳優陣の熱演も相まって、「人の暖かさ」というのを見事に表現できているように思えます。

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その後時は流れ95年後。
イラン・イラク戦争真っ只中のイランで、フセイン大統領によって「イラン上空を飛ぶ航空機は全て無差別に攻撃する」という宣言が出されます。

在留外国人は皆自国への逃亡を望む中、日本だけは危険を考慮して救援機を出さないという決断を下し、
困り果てた日本人たちは、トルコの大使館に助けを求めます。

トルコの大統領は、1890年の事件を思い出し、日本人を乗せるための救援機を飛ばすことを決断します。まさしく映画のハイライトであり、涙を禁じえない部分ですね。

しかし、自分の命のかかったトルコ国民たちの意見は同じではありません。
空港に詰め寄せたトルコ人たちは、国民内でも我先に我先にと航空券を巡って争っています。

そこに颯爽と現れたのが、トルコ大使館の使節・ムラト(ケナン・エジェ)
空港のカウンターの上に立ち上がった彼は、国民たちに95年前の事件でトルコ人たちが日本人に救われた史実を述べ、日本人を搭乗させるよう説得します。

その言葉に心動かされたトルコ人たちは、自分たちは陸路を使い、航空機には日本人を乗せることを決意するわけです。

なんだろう。すっごくプロパガンダっぽい匂いがするし、「こんなドラマチックな話だったわけねーだろ!」とツッコミを入れたくなるのもわかるんですが、それ以上に演出の巧さや当時の空気をうまく再現した映像美に魅せられて、素直に感動してしまうんですよね。
これがもし「事実に基づいた」半フィクションだったとしても、信じてみることに損はないんじゃないか、思わずにはいられないんです。

確かに欠点も多いとは思います。
1890年の事件で船が座礁するシーンは、CGを用いすぎたのかあまりリアリティと切迫感を感じることができないし、

日本人の方をあまりに完璧超人に描きすぎじゃないか、という感もあります。1890年の村人たちは、言葉の通じないトルコ人たちにこれでもかというほどの真心を尽くすのに対し、
1985年の事件でのトルコ人たちはムラトの説得に対しても一度は「俺たちの国の飛行機だろ!」「日本人がどうなったって知ったことか!」などと自分勝手な面が強く押し出されています。

これだけ見ると、日本人は少し傲慢でトルコ人は謙虚な姿勢を貫いているように思えてしまいますが、もしかしてそういう風に見えるような造り自体が、各国の政治的狙いが反映されたものだとしたら...? など、感動の物語の裏にある狙いまでを勘ぐってしまいたくなるのが少し残念と言えるかもしれません。

とはいえ、巧みな演出と俳優陣の熱演に支えられた「海難1890」は、近年の日本映画には珍しいほど、人々が国境を越えて手を取り合うことの大事さを強く思い出させてくれる感動の超大作に仕上がっているということは疑いようもありません。

トルコが親日国だというのは知っているけれど、いったいなぜ、どうやって遠く離れた国との友好関係を築いたのか。
この作品を観て、楽しく、時には涙を流しながら学ぶのも良いかもしれません...



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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