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ブリッジ・オブ・スパイ (Bridge of Spies) ネタバレあり感想 優しさで世界を救えるか

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オススメ度 ★★★★☆



あらすじ


アメリカとソ連の冷戦のさなか、保険専門の敏腕弁護士ジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)は、ソ連のスパイであるルドルフ・アベル(マーク・ライランス)の弁護を依頼される。

国家の敵を弁護するというのは、自身の国を敵に回すということ。
いくらドノヴァンがFBIの違法な捜査を持ち出したところで、裁判長は相手にしようとせず、ついにはドノヴァンの家が銃によって襲撃されるという事件まで起きてしまう。

その後も粘り強く弁護を続け、アベルを死刑ではなく懲役刑へと導くことに成功したドノヴァン。

その5年後、アメリカがソ連に送り込んだ偵察機が撃墜され、乗組員が捕獲される。ジェームズは、CIAから自分が弁護したアベルとアメリカ人乗組員のフランシス・ゲイリー・パワーズ(オースティン・ストウェル)の交換を成功させろという任務を命じられる。

遠い東ベルリンの地へ赴き交渉を開始したドノヴァンだったが、そこで思いもよらぬ重大な事件が起きて...

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感想


いやあ、やっぱりスピルバーグはすごいな、と。
小学生みたいな感想ですが、そんなことを実感させてくれるのが、「アカデミー賞最有力!」というおきまりの言葉で売り込まれた「ブリッジ・オブ・スパイ」です。

冷戦下において、スパイ活動としてソ連上空を飛んでいた際に襲撃を受け、捕虜とされてしまったパイロットのフランシス・ゲイリー・パワーズの奪還を依頼された民間弁護士のジェームズ・ドノヴァン。
彼はその奪還にあたり、自身が以前に弁護した、イギリス生まれのソ連軍スパイ、ルドルフ・アベルとの交換という条件を用いて、全員にとって利益となる方法を見出した...という実在の事件を、巨匠スティーブン・スピルバーグが映画化したわけです。

ダニエル・デイ=ルイスがオスカー主演男優賞を受賞した「リンカーン」に引き続き実在のヒーローを描いた物語となりましたが、彼の描くヒーローたちには、文面で見る功績以上に人間としての優しさ、温かみが感じられます。
そこにこそ、スピルバーグが今でもトップを走り続けられる理由が見えてくるのだと思うのです。

今作の主人公ドノヴァンは、もともとから慈悲の心と正義感に満ち溢れた完璧超人だったわけではありません。
それは冒頭で彼が保険絡みの訴訟に当たる話し合いをしているシーンで、「一つの事故で5人が死んだからって、1人を1件と扱っていたらきりがないだろう?」などと言うシーンによって効果的に印象付けられています。

しかしそんな彼は、上司の命令によって弁護を担当することになったロシアのスパイ、アベルとの出会いによって変わっていくわけです。

常に絵画を楽しむ芸術的な心と、自身が一生異国の地で刑務所暮らしをすることになっても諜報活動で得た知識や自国の情報を一切漏らさない愛国心に満ちたアベルに心を動かされたドノヴァンは、自国の敵であるアベルを死刑の運命から救い出すべく、決死の弁護活動に挑みます。

国民の非難の的となり、時には命を狙われながらも諦めることのないドノヴァンのことを、アベルは自分の父親の姿に重ね「不屈の男」と称えます。
そうしてだんだんとヒーローになっていくドノヴァンのことを好きになってしまう、まるで魔法のようですね。


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その後、努力が実ってアベルを懲役刑に止めることに成功したドノヴァンを、さらなる試練が襲います。

アベルの裁判から5年後、アメリカがソ連に送ったスパイ機がソ連上空で撃ち落とされ、そのパイロットであるパワーズがソ連の捕虜となってしまいます。
その救出役に抜擢されたドノヴァンは、有名な「ベルリンの壁」が作られている最中の、最も危険な東ベルリンに送られ、ソ連、ベルリンと交渉にあたることとなります。

1対1の交渉だけでも大変なのに、さらなる事件が発生。
東ベルリンに留学をしていたアメリカ人の学生フレデリック・プライヤー(ウィル・ロジャース)が無実の罪で逮捕され、ベルリンはアベルをパワーズとではなく、プライヤーとの交換にしろと迫ってくるのです。

しかし、CIAの立場からしたら、ただの学生であるプライヤーの命なんか気にかけている時ではありません。
彼らはドノヴァンに、プライヤーのことは放っておいて、パワーズの奪還を最優先にしろと命じます。

しかし、妻子のある世帯主のドノヴァンは、未来のある若者の命も同じくらい大事だと、アベルとの交換で、パワーズとプライヤーの2人ともを奪還するべく行動を開始します。

この映画が素晴らしいのは、アメリカの行動を一方的な正義として描かず、グレーなところに一歩踏み込んだところです。
ベルリンで様々な陰謀のために、時には逮捕され、時には命を落としかけるところまで追い詰められるドノヴァンですが、しかし、見方によってはアメリカが自国の利益を最大限に高めるべく、東ベルリンとソ連の両方を脅迫しているとも取れるわけです。

ソ連の領事館において交渉を進めた際、「アベルと交換するのはあくまでプライヤーのみであり、パワーズは渡さない!」という要求を突きつけられたドノヴァンは、そこで働く若い助手に「もしもアベルを2人の両方と交換しない場合は、アベルを渡す気はない。そうなったら、自国に見捨てられたアベルは、その後も国への忠誠心を貫くのかな?」という脅しをかけます。

その言葉から始まる、グリーニッケ橋でのスパイ交換のクライマックスシーンは、もはや正義とか悪という概念を超えた、人間としての倫理観などが問われるエモーショナルなシーンとなっています。

そこで効いてくるのが、情にあふれるドノヴァンの優しさを徹底して描いてきたスピルバーグ監督の演出です。
演じるトム・ハンクスのやりすぎない演技も合わさって、実に人間らしいドノヴァンに共感せずにはいられず、国と国との陰謀以上に交換されたスパイたち、そしてドノヴァンの気持ちに感じ入らずにはいられなくなってしまうんです。

スピルバーグの描くファンタジーな世界もいいですが、それ以上に彼は人間誰もが持っている優しさを生き生きと描くことが上手いんだなあと改めて感じさせられる作品となりました今作。

やっぱりスピルバーグはすごいぜ!



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2016/01/18 (Mon) 17:15

2016/01/16 布施ラインシネマ 8/10 わかりやすく例えるなら日本映画だとせいぜい高そうな一戸建て住宅ハリウッド大作なら どデカいビルディング この比較にならないレベルの中にも同じくする役割分担があるわけで現場監督を筆頭に彼を支えるパートナー 設計者 監督助…

1964大阪生まれのネタバレ全開映画駄話 - http://1964eigadawa.seesaa.net/article/432653487.html
2016/03/10 (Thu) 22:28

9日のことですが、映画「ブリッジ・オブ・スパイ」を鑑賞しました。 弁護士ドノヴァンはソ連のスパイ アベルの弁護を引き受ける 敵国の人間の弁護に周囲から非難もあったが死刑を免れ懲役刑となる 5年後、アメリカがソ連に送り込んだ偵察機が撃墜され、乗組員が捕獲さ...

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2016/05/15 (Sun) 16:46

「ブリッジ・オブ・スパイ」(原題:BridgeofSpies)は、2015年公開のアメリカの伝記ドラマ映画です。スティーヴン・スピルバーグ監督、マット・チャーマン及びコーエン兄弟脚本、トム・...

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