人生の約束 ネタバレあり感想 「つながり」を求めて。

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あらすじ


IT企業のCEO中原祐馬(竹野内豊)は、ともに会社を立ち上げたものの、3年前にたもとを分かったかつての親友・塩谷航平から突然何度もかかって来たことに不安を覚える。

秘書の大場由希子(優香)の助言から、気が進まないまま航平の故郷・富山県新湊へ向かう。

中山は新湊に着いた直後、一つの葬式に遭遇する。そう、航平はすでにこの世を去っていたのだった。

航平の仏壇にお参りをしに行った中山は、航平が新湊の曳山(ひきやま)まつりで神輿を引くことを夢としながら、叶えられないまま命を散らしてしまったことを知る。

亡き友への思いから、資金と人手不足により隣町に奪われてしまった曳山を取り戻すことを決意する中山だったが、その時東京では、航平と2人で設立し、苦難を乗り越え大きくしてきた会社が存続の危機に晒されていた...

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感想


私、ダメな映画って、開始10分くらいまでは割と面白くて、そこから「あれ、なんか変だな...?」というシーンがポツポツ見受けられ始めて、クライマックスを迎える頃には「ダメだ、もう帰りたい!!!!」って叫びだしたくなるような、じわじわ来るパターンが多いと思ってたんですよ。

でも、この「人生の約束」は一味違いました。
だって開始2分、富山は新湊、地元の祭りで神輿を引く権利を奪われた漁師たちが
江口洋介「泣くな!!」
漁師さん「うぐぅ。う、うぇぇ、うぇアッハハハハ!!」
江口洋介「なに笑とんじゃい!!」
漁師さん「だってぇ、泣くな言われたら、笑うしかないじゃないですかぁ...(泣」
小池栄子「あぁはぁぁん、あぁハッハハハハ!!」
っていうやり取りを始めた時点で確信しちゃったんですもん。ああ、この映画はもうヤバいかもしれないな...とね。

西田敏行が主演して人気を博した「池中玄太80キロ」シリーズなどで知られる石橋冠監督が、長いキャリアの中で初めて映画監督を務めた今作は、
東京都心で超ワンマンな経営によって上り詰めたIT社長が、ともに会社を設立しつつも、考え方の相違から3年前に会社から追い出したかつての親友の死によって田舎を訪れ、忘れていた優しさと情熱を取り戻していくという、いかにもご年配の監督が2時間スペシャルドラマの題材として考えそうな設定を売りにしたヒューマンドラマとなっています。

なんだろう、設定も演出も、やっぱりどれもテレビの2時間ドラマ風なんですよねえ。
上述した冒頭の倉庫でのシーン以外にも、映画館で観るには思わず目を覆いたくなってしまうようなシーンが続きます。

特に、物語序盤で江口洋介が竹野内豊を殴るシーン。あの破壊力は相当のもので、私はこの映画館で短い人生に終止符を打つかとさえ思いました。
だって、明らかに殴ってなさそうな擦り方をしてるのに、20年前のテレビゲームの効果音みたいな「ブシュッ!」って音が大きめの音で流れますからね。

その対となるシーンとして、今度は終盤に江口洋介の方が「ここを通りたけりゃ、俺を殴ってから行きなぁ」って男らしさ全開の口調で言ったシーンでは、もはや劇場で笑いが起きてましたよ。
笑いを取りに行ってるんならいいですが、あの感じだと結構真面目なシーンですよね、あれ。いやいや、きっついなあ。

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それ以外にも、必然性が全くないシーンが続くので困ります。
物語序盤、新湊の四十物町を訪れた中原(竹野内豊)は、町長の玄さん(西田敏行)から、色々あって、約束があったにも関わらず隣の西町に卑怯な手段で祭りの神輿を担ぐ権利を奪われた、だから中原の親友は失意の中亡くなってしまった...と聞き、西町へ乗り込んで町長に直談判をしに行きます。

どこからどう見ても悪そうな顔をした西町の町長・武田さんは「約束なんて最初からなかった」と言い張ります。
そこで強気にも「いくらなら譲ってくれるんですか。お金ならいくらでもありますよ」と返す中原でしたが、それに対して武田町長は「生意気言うんじゃねえ!!」とブチ切れます。

仕方なく四十物長に戻ってきた中原は、そこに現れた漁師の渡辺さん(江口洋介)に「曳山はカネでどうこうできるもんじゃないんじゃい!」と諭されます。
そこできますよ、予告編でさんざん流れたあのセリフ。そう、「ここはみんなブッ壊れてんだよ!!!!」ですね。

一応最序盤に、中原がお金さえあればなんでも買えると思っている伏線はありますが、だとしてもこれくらいのことでなんでブチ切れる?? あなた、クールなフリして以外と短気なのねぇ、くらいの感情しか湧いてこないですよ、これじゃあ。

で、なんで中原がこんなに傲慢な人になっちゃったのか。
劇中では、松坂桃李演じる優秀な部下や、死んでしまった航平さんのセリフで「お前、変わったな...」というぼんやりとした形で、元はもっと優しさと希望に満ち溢れた人だったことは言及されるんですが、

じゃあせめて、航平さんと2人で会社を立ち上げた当時の中原がどんな人だったかを少しでも描いてくれないと、話に説得力も何も生まれないですよ、って話ですよね。

クライマックスとなる曳山祭りのシーンでも、意味は全くわからないけど、なぜかやたらとスローモーションを多用していたりと不必要な演出が目立ちます。
あのスローモーションは、曳山と「つながる」ことで航平さんとも再び繋がれたような思いがして、中原の中で時が止まっていた、みたいなことを表現したかったんでしょうか。それか、序盤に「四十物長が前回神輿を引いた時は、途中で曳山を壊してしまった」というセリフにかけてたんでしょうか。

それとも単に、「ただ祭りの神輿を引いてるシーンを延々と映しても迫力がないだろう」と思って入れたんでしょうか。

私が映画を観たときは、率直に一番最後の理由だろうなあ、と思いました。
そこも含めて、2時間ドラマを映画館の大きなスクリーンに映しているだけ、という印象が最後まで拭えなかったんですよね。

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だって、異常なまでに豪華なキャスト陣の抜擢にすら必然性がなかったんですもん。
主演が竹野内豊、サブに江口洋介、優香、西田敏行に室井滋など、日本人なら誰でも名前を知っていそうな有名人を大量に導入してきたのは、監督のテレビ界での長いキャリアと信頼がなせる技なのかなあ、なんて納得もしてたんですが、

おかしいな、と思ったのはビートたけしの出演ですね。
場所によっては「ビートたけし出演映画」なんて宣伝もお見受けしたこの映画ですが、最後の方まで「あれ、たけし出てこないなー」なんて思いながら見ていたら、最後の最後にちょい役のちょい役でちょろっと出てくるだけですからね。

別に私はたけしのファンじゃないのでそこに興味はないんですけど、ここで思ったのは、この作品が監督の長いキャリアの記念のためと、どこかの地方自治体/企業にお金を落とすために作られた宣伝映画だったってことなんだな、ということです。

劇中、中原が新湊と東京を行き来するたびに必ず北陸新幹線が行ったり来たりするカットが挿入されるんですが、ここを見た瞬間に「ああ、まずはJRにお金をたっぷりもらってるわけね」というのは察しがつくと思います。

北陸新幹線が出来てから、北陸旅行が人気ですもんね。
となると、きっと富山県の自治体とかからもお金をもらって、宣伝してもらうように依頼されてるってことなんだろうなあ、なんて、普段そういう考えを極力排除して映画を観るようにしている私でさえ勘ぐってしまったくらいです。ああ、いやらしい。

漁師の生活に近い生活を実際に体験して役作りに臨んだ、という江口洋介を始めとするキャスト陣の演技は、みんななかなか良かったからこそ残念なんですよね。
個人的に感動したのは室井滋のあまりに自然な演技です。ああいう田舎のおばちゃんいるよね。終盤で西田敏行が病気にかかってしまった時の泣きそうな笑顔なんて最高でした。

そんないやらしさと、日本のテレビドラマってやっぱ演出がチープなんだなあ、ということを改めて実感させられる結果となってしまったこの「人生の約束」でしたが、

おそらく石橋冠監督のテレビドラマを追いかけてきた大ファンの方や、キャスト陣に好きな俳優/タレントがいるという方には満足できるかと思います。それぞれのキャストに個性と見所が与えられていますしね。

どっちでもなかった私は...うーん、ノーコメントでお願いします。



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Comment

  • 2016/01/16 (Sat) 22:23
    # -
    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • 2016/01/16 (Sat) 23:02
    UC #- - URL
    Re: No title

    コメントありがとうございます。
    ご指摘ありがとうございました。ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。

    曳山祭り自体についてネガティブな意見を述べたつもりではありませんでしたが、そのような意見だと取られるような文章となってしまったことが残念です。私ももっと文章力を磨いていかないといけませんね。

  • 2016/02/11 (Thu) 14:34
    めい #- - URL
    私は昨日見てきました。

    私は、産まれも育ちも新湊です。
    映画の感想は、よくこんな企画通ったな。新湊出身じゃなかったら、詐欺に近いつまらなすぎる映画だなと。

    富山は、この映画にものすごくフィーバーで公開前に番宣や特集番組沢山流れてみてました。

    監督は「ひきやま譲渡なんて、あってはならないこと」つまりありえないことなんですよね。ストーリーを書きたいんじゃなくて、曳山の映画を撮りたいと思った。ストーリーはそれにくっつけただけと重要じゃないと言われてたんで、本当にその通りだなと。ちなみに、監督の妻が、射水出身で監督の別荘もロケ地にあり、曳山の映画を撮りたいと思ったらしいです。

    曳山祭りに関しては、本当にそのまま嘘なく描かれてたのは良かったです。けど、県外の人が見て楽しいのかは、微妙でしょ。ブログの感想で、酷評書かれるから、もっと脚本考えてほしかったなと思い切りながら見てました。

  • 2016/02/11 (Thu) 22:50
    UC #- - URL
    Re: 私は昨日見てきました。

    めいさん、コメントありがとうございます!

    地元の方から観てこの映画はどう映ってるのか気になってたので、ご意見を聞けて嬉しいです。
    新湊、ひいては富山県の良さを伝えたいという映画なのかなあというのはなんとなく感じ取れたんですが、いかんせん映画としてのプロットや演出がまずかったように思いますね。

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2016/03/01 (Tue) 16:45

このままでは今年は一本も邦画を観ないことになる…!と、2月にして早危機感を覚えたので、選んだのがこの「人生の約束」。あれ…邦画ってこんなに良いものだっけ…?凄くいい。凄く染みる。いや、恐らくこれは、私が年をとったせいなのだろう。否、年相応の作品を選んだのだというべきか。友人同士で会社を立ち上げ、成功過程で袂を分かつ仲間達…知ってる。具体的な事例を。一度は東京に出て働いてみたものの、様々な理由...

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