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白鯨との闘い (In the Heart of the Sea) ネタバレあり感想 真の敵は誰だ。

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オススメ度 ★★★



あらすじ


時は1850年。
新鋭の作家ハーマン・メルヴィル(ベン・ウィショー)は、ある事件の取材のため、トマス・ニッカーソン(ブレンダン・グリーソン)という男の自宅を訪ねる。

トマスは過去、航海中に巨大なクジラに襲われ座礁したという伝説の船エセックス号に乗船していた乗組員の最後の生き残りだった。

当時のトラウマから酒に溺れているトマスは、意を決して当時の事件のことを鮮明に語り始める。
そこで語られたのは、あまりにも衝撃的な事件だった...


舞台は移り1820年。

アメリカはマサチューセッツ州の捕鯨会社が有するエセックス号のクルーたちは、鯨油を手に入れるべくナンタケット島を出港する。

今回のメンバーに選ばれたのは、経験豊富な一等航海士オーウェン・チェイス(クリス・ヘムズワース)と、経験は浅いが地元の名門出身という理由から選ばれた船長ジョージ・ポラード・Jr(ベンジャミン・ウォーカー)をはじめとする屈強な男たち。

北米から遠く離れた太平洋沖4,800キロメートルの海域に来た彼らは、鯨の集団に遭遇。
大量の獲物に喜ぶ船乗りたちだったが、そこに現れたのは、今まで見たこともないほど巨大な、白いマッコウクジラだった...

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感想


無知な私は昨年「バケモノの子」を観るまで全く聞いたことのなかった名著「白鯨」。

白鯨に足を食われた船の船長が、白鯨への復讐に狂い、心の闇を深くしていく...というフィクション小説なのですが、その元ネタとなったのは、なんと本当に白い鯨に襲われて沈没してしまったという捕鯨船の、衝撃的な実話でした。

その実話を小説化してベストセラーとなったナサニエル・フィルブリックの"In the Heart of the Sea"を映像化した(ややこしいな)のがこの「白鯨との闘い」です。

物語は1950年、若き作家のメルヴィル(「白鯨」の作者です)が鯨によって沈没させられた捕鯨船エセックス号の最後の生き残りトマス・ニッカーソンを訪ねるところからスタートします。

ここで一つ「ん!?」と思うことも。
トマスは今まで、奥さんにさえエセックス号の事件のことを一切語らなかったのに、誰とも知らない作家から金を積まれ、奥さんから「あんたが仕事もしないで呑んだくれてるせいでどんだけ苦労してると思ってんのよ。生活のために話しなさい!」と怒られて、渋々ながらも語り始めちゃうところですね。
意外とあっさりだな! まあ、そうじゃないと話が進まないしいいか。

そこから、この物語はトマスの告白、という形で進んでいきます。

舞台は1820年に移り、主人公は船乗りのオーウェン・チェイス(クリス・ヘムズワース)へ交代します。
捕鯨の経験と実力は他を圧倒し、船乗りたちからの信頼も厚いオーウェンですが、生まれが貧しい家系だったために、いつまでも船長にはしてもらえません。

挙げ句の果てには、口約束で「1500壺の鯨油を持ち帰れば船長にしてやる」という約束まで会社に破られてしまう始末。どんなブラック企業だよ。

そんな彼の代わりに船長に選ばれたのは、地元の名家の息子であるジョージ・ポラード・Jr(ベンジャミン・ウォーカー)。
経験の浅いジョージは、船長の自分以上に信頼を得るオーウェンへの劣等感と嫉妬から、オーウェンの反対を押し切って嵐の中を無理やり突き進んだりと、オーウェンとはあえて真逆の判断ばかりを下すようになります。

そうしてオーウェンとジョージの間には確執が生まれていくわけですが...

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この構図は、以前にロン・ハワード監督(今作の監督です)とクリス・ヘムズワースがタッグを組んだレーシング映画「ラッシュ/プライドと友情」と非常によく似ていると思いました。
「ラッシュ」ではレースに対して真逆のスタイルを持つ2人が、共通の情熱であるレースを通じてお互いへの信頼、友情を強めていくという話でした。
でもこの「白鯨との闘い」の2人はまさに水と油のよう。さてさてどうなるのやら...と興味をそそられます。

嵐を乗り越えた彼らでしたが、なかなか鯨には出会えません。
そこで、食料などを求めて上陸した南米の地で、とある噂を聞きつけます。

太平洋沖の奥地に、鯨が何百頭も集まる夢のような海域がある。
だが、そこには悪魔が棲んでいて、その悪魔のせいで捕鯨を行うことはできないのだと。

その噂を聞いてもなお、確執を終わらせて早く家族の元へ帰りたいオーウェンとジョージは、その海域へと船を進めることを決めます。

その海域にたどり着くと、そこには噂通りクジラの大群が。
大量の獲物を前に「イェーハー!!!」と歓喜の雄叫びをあげながら向かっていった船乗りたち。まるで、もう一つの噂のことなんてすっかり忘れてしまったように。

そう、この海域には悪魔が棲んでいたのです。

その悪魔というのが、皆さんもうお分かりですよね。
白い体が特徴的な、巨大なマッコウクジラです。

まるで人間を攻撃する方法がわかっているかのように、効果的な作戦を使って船を沈めにかかる白鯨。
CG感が満載なのに、俳優陣の白身の演技や、まるで観客も船の上に乗っているかのように感じさせる、少し揺れたカメラワークなどが手伝って、リアルさが尋常ではありません。

そこであっさりと沈没させられてしまったエセックス号から逃れた船乗りたちは、脱出用の小舟に乗り込んで漂流を始めます。
あれ、意外と白鯨とのバトルがあっさりだな!? と思った方もいるかもしれませんね。

だってそう。この映画の本番は、実はここから。
白鯨に襲われ、食料も水もないまま大海に投げ出された船乗りたちが、いかにして生き延びたかというサバイバルがこの映画のメインだったのです。

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ただ、この映画の残念だったところはここからですね。

小舟の上で漂流生活を続ける船乗りたちは、その後もあの白鯨にしつこく襲われ続け、とある無人島に漂着します。
そこでは鳥の卵を奪い、洞窟に流れる水を飲んでなんとか生き延びた彼らは、ここで2つに一つの選択を迫られます。

死の危険を冒してでも船を漕いで行くか、それとも、最低限の食料があるこの島で助けを待つか。

そこでオーウェンとジョージは、彼らの思考の決定的にして根本的な違いを示す、興味深い会話をします。
オーウェンは、「我々は神の怒りに触れたんだ。俺たちはこんなにも無力だ」というのに対し、
ジョージは「我々は神に選ばれ、世界を統べる存在に選ばれた者なんだ。」と語ります。

この会話こそが2人のキャラクターを決定づける会話であり、非常に重要なシーンなんだろうな...と思っていたら、この会話が今後の展開に生かされることはありませんでした。

しつこく追ってくる鯨の目的だったり、トマスのトラウマとなった衝撃的な事件だったり、いろいろと意味を持たせることができそうな要素が満載だったのに、それについての深い考察や船乗りたちの葛藤があまり見て取れなかったのがちょっと残念。

鯨が襲ってくるのも、当然っちゃ当然ですよ。
だって、仲間を「ワッフー!!!」とか狂喜乱舞した謎の生物たちに殺されまくってるんですよ。そりゃあ自分たちを守るために襲いますよね。
鯨のラストシーンのあれは、オーウェンの思想と鯨の真意が共鳴した結果だと言えるのかもしれないんですが、だとしてもトマスのトラウマだったり、オーウェンやトマス、ジェームズが下した決断には直接つながってこないような気がして。

登場人物たちの行動や思想の変化にもうちょっと必然性の見られる展開が欲しかったかなあ、と。
これだと、「おー、これはすごい事件だったねー。」くらいの感想で終わっちゃう映画になってしまってたようにも少し思えました。

とはいえ、さすがは長年の経験があるロン・ハワード監督。
上述のように、嵐を抜けていく船の苦闘っぷりや、白鯨との戦いを描いたシーンは臨場感と迫力に溢れていて、純粋なハリウッドの大作映画としての出来は上々であると思います。

皆さんも、この映画を観て、大海への旅へと出てみませんでしょうか。
少なくとも私は、この映画を観てホエールウォッチングに行きたくなりました。なぜ!!!



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

Comment

  • 2016/01/27 (Wed) 00:30
    にとり #X.Av9vec - URL
    No title

    はじめまして。
    ヒナタカさんのブログで知ってやってきました。

    感想、すごく面白いです。
    映画を思い出しながら笑ってしまいました。
    作品に対する的確な指摘もさることながら、「イェーハー!!!」みたいな表現が個人的にはツボでした。

    また、顔覗かせて頂きます。

    追記
    面白かったので勝手にブログリンクしてしまいました。
    もしダメなら削除します。

  • 2016/01/27 (Wed) 01:31
    UC #- - URL
    Re: No title

    にとりさん、コメントありがとうございます!

    そんな風に言っていただけるとは、とっても嬉しいです。ありがとうございます!

    にとりさんのブログも拝見しました。
    項目ごとに感想が分かれていてとっても見やすいですね! 私も見習って、もっと見やすくできるように心がけないと...

    リンクもありがとうございます!
    こちらからもリンク貼らせていただきますね!

  • 2016/02/06 (Sat) 23:48
    ホルストグラム #mlVP2inw - URL
    ちょっとそこが浅い

    まずは批評学を学ぶべき。「なぜ」とか言われても知らんし。

  • 2016/02/07 (Sun) 03:08
    UC #- - URL
    Re: ちょっとそこが浅い

    ホルストグラムさん、コメントありがとうございます。

    最後まで読んでくださりありがとうございます。
    私ももっと勉強して面白い感想を書けるようにしないといけませんね。

  • 2016/03/10 (Thu) 11:32
    m子 #GHZA3.Ac - URL
    No title

    私にはとても参考になった感想です。映画を見ながら読んでいましたけど、なるほどと思いましたし、もっと他の映画の感想も見てみたいと思った次第です。

    批評というのはそもそも、作品について詳細や感想をあれこれ述べる事ですよね。

    ”批評学”を学ぶべきなんて意見 一般のblogに持ってきて言う事かね・・プロの批評家じゃあるまいし・・と私は思いますよ。
    他の映画の評価も楽しみにしています。

  • 2016/03/11 (Fri) 00:42
    UC #- - URL
    Re: No title

    m子さん、コメントありがとうございます!

    参考になったと言っていただけて何よりです!
    映画に対して私が好き勝手な感想を言っているように、読んでくださる方にも私の感想についてネガティブな意見を言っていただくことも相rがたいことです! 私自身ももっと多くの皆さんに楽しんでいただける文章を書けるようになりたいですしね。

    最新の映画の感想を可能な限り頻繁にアップしていけるようにやってますので、よろしければまた遊びに来てください!

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