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オデッセイ (The Martian) ネタバレあり感想 生きねば。

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オススメ度 ★★★★★



あらすじ


火星での有人探査中に嵐に巻き込まれた宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マット・デイモン)

ルイス船長(ジェシカ・チャステイン)を始めとする乗組員は決死の捜索に臨むもワトニーの姿は見つからず、やむなく火星を去る。

しかし嵐が過ぎ去った後、彼はギリギリのところで息を吹き返す。

なんとか死を免れたとはいえ、空気も水も通信手段もなし、食料もわずかしか残されていないという危機的状況にあることは変わりない。

絶望に陥りそうになった彼だったが、そんな中でも生き延びるため、自身の植物学者としての知識を生かし、作物の育たない不毛の地・火星で食料と食料を得るため、サバイバル生活を始める。

一方、彼の生存を認識したNASAは世界中から科学者を結集し、大規模な救出ミッションを開始していた...

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感想


こ れ は す ご い

観るのだ。何を差し置いても観るのだ。何!? 銀行口座に2,000円しか残ってない!? ちょうどいいじゃないか!! この映画に注ぎ込め!!

...ハッ! なんだかすごくおバカみたいな感想を持ってきちゃった。

宇宙を舞台にしたSFなのに、アクションでもスリラーでもない、ましてや緑色の宇宙人なんて一切出てきません。
なのにどうしてなんでしょう、こんなにも胸が高鳴って、劇中で起こる些細な出来事にすらハラハラドキドキさせられちゃうのは。

Twitterでは「#宇宙ひとりぼっち」なんて可愛らしいタグが流行しているこの「オデッセイ」は、
誰もない、何もない火星に独り取り残されてしまった宇宙飛行士が、わずかな食料と植物学者としての知識を武器に生きる術を模索していく、SFサバイバルドラマの大傑作となっています。

主人公の宇宙飛行士マーク・ワトニー(マット・デイモン)が一番最初に吐く言葉は、"I'm pretty much f***ed"

彼の運命を考えれば、なんて皮肉なセリフでしょう。その数週間後、彼はもっと"f***ed up"な状況に落とされてしまうんですから。

探査中に嵐に遭遇してしまった宇宙船の乗組員たちは、探査を途中で切り上げ、船に戻ることを余儀なくされます。
しかし途中で、何か大きいものがワトニーに飛んできて激突! ワトニーはどこかへ吹っ飛ばされ、姿が見えなくなります。
船長のルイス(超かっこいいジェシカ・チャステイン)は決死の捜索を続けますが、彼の姿は見つからず。

他の乗組員たちの制止もあり、ワトニーは死んでしまったのだと自分を納得させ、彼らは火星を去りました。

でも、観客の皆さんはもうお分かりですよね?
そう、なんとワトニーは生き延びていたんです!

通信用のアンテナがお腹に刺さり、宇宙服に内蔵の酸素もほぼなくなった状態で目を覚ましたワトニーは、必死で基地の中へ戻ります。しかしそこで、他の乗組員たちは星を去ってしまったのだと気付くのです。

基地の中にあったビデオブログ用のカメラに向かって、「通信手段もない、食料もほとんど残ってない。次、火星に誰かがやって来るのは4年後... さて、どうしよう。」と、クマだらけの目を潤ませながら語ります。

もうどうしようもないの?
彼は死を待つしかないのでしょうか?

いやいや、宇宙飛行士にまでなるほど賢く、たくましい人間がここであきらめるはずがありません。

ワトニーは、作物も育たない、生物も彼以外に全くいない不毛の地・火星で、"Science the s*** out (科学を駆使)"して生き延びる方法を模索し始めるのです。

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彼が目をつけた作物は、基地に残っていた野菜であり、貴重な炭水化物源となるじゃがいも!
乗組員の仲間たちが残していった排泄物を肥料にして、基地の中に小さな畑を作ってしまいます。

ここで注目すべきなのは、ワトニーがとっても明るくポジティブで、時にはジョークを飛ばしたりと、むしろこの絶望的な状況を楽しんでいるかのようにさえ思える演出が施されていることです。

最近だと「プロメテウス」や「エクソダス」などからも伺えるように、重くて暗〜い作風と特徴としてきたリドリー・スコットが久々に軽くて明るいタッチの作品を出してきたということ自体が感動的ではありますが、
この明るさこそが、逆に極限状態に陥った人間の心の動きを細かいディテールに至るまで引き出したという事実にはもっと感動すべきだと思うんですよ。

ルイス船長の残していったディスコミュージックに対し、「彼女は今世紀の音楽を聴かないのか?」「一番ディスコっぽくない曲がこれさ!」と言って、ゴリゴリなディスコミュージックのDonna Summer"Hot Stuff"を流しながら笑ったり。



地球との通信手段を求めて、宇宙船が飛び立った場所へローバーで移動できるかの実験をし、寒い夜の中で暖房を使わずに我慢できるか試してみた時には、「タマが凍っちゃうから、今日はここまでな!」と、これまた誰に向けたわけでもないジョークを飛ばしたり。

過酷で辛い環境だけど、それを分かち合ってくれる人は誰もいない。
こんな状況だからこそ、自分は笑おう。絶対にあきらめないように、ここでも楽しいことを見つけるんだ。

ゴールデングローブ賞はこの作品を「コメディ」だと判断したみたいですが、私はこの映画は、一人の人間が自分ではどうしようもできない悲しみに出会った時、強くあり続けるにはどうすべきなのかを痛快に描いたドラマ作品であると思います。

とってもライトなタッチなのに、ここまでじんわりと心の奥底までメッセージが染み込んでくるのは、
ワトニーの体型の変化から表情の変化、笑っているのにどこか物悲しげで、しかし諦めることは決してしないという芯の強さまでを細かく、見事に演じきったマット・デイモンの演技のおかげです。
オスカーノミネートは大納得、というか当然だ! 乾杯!

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これだけだと、あれ、マット・デイモンの一人芝居なの? とも見えちゃいますが、全くそうではありません。
衛星に映った映像からワトニーの生存を確認したNASAは、他の組織も様々巻き込み、ついには彼一人のために食料供給のためのロケットを飛ばそうとしちゃうほど、大規模すぎる救出作戦に臨みます。

「残業なんて嫌だよう...」なんて言いながらも、ワトニーのためロケット発射に向けて必死に準備をするNASAの人々の奮闘も、これまた明るくユーモアたっぷりに描かれ、エンタメ作品としての面白さ、そしてテンポの良さをさらに高いレベルへと引き上げてくれているのです。

ここで大活躍するのが、火星探査の統括責任者であるヴィンセント。
ワトニー救出のために各地を飛び回り、世界中の科学者たちに交渉を続け、最初は全くの不可能かに思われたミッションを、「もしかしたらいけるかもしれない」と観客である我々にも期待させてくれるところまで運んでいく様子がなんとも痛快。

ヴィンセントを演じたのが、2014年のオスカー作品賞受賞作「それでも夜は明ける」で、奴隷制の中でも諦めない主人公を演じたキウェテル・イジョフォーというのがまた良かったですね。
前回は自分のために苦難と闘い、今回は苦しむ人を助けるために闘うという逆の立場を演じた彼の演技には、なぜか尋常ではない説得力が生まれていました。

アメリカ内部から集められる優秀な科学者たちの頭脳に加えて、ついには中国国家航天局の最新技術が詰まったロケットまでを導入し、ワトニーの救出ミッションが実行に移されます。

「70億人が彼の還りを待っている」というキャッチフレーズの通り、タイムズスクエア、ビッグベンなど、この救出作戦はあらゆるところで生中継され、文字どおり世界中の人々が、まるで自分のことのようにワトニーの生還を祈るのです。

わざとらしい? たった一人のために、世界がここまでの大騒ぎになるはずない?
いえいえ、この作品を観たら、きっとあなたも彼の還りを待つ一人になれるはず。

今年度最もユーモラスにして、スリリングでハートフル。
そして、映画史上最もじゃがいもなSF映画の大傑作を、あなたのその目で見届けてください!



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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Trackback

2016/02/20 (Sat) 01:07

(ネタバレはストーリー紹介等の後、「以下ネタバレ注意」注意書き以降から) 面白かった!この映画大好き! 絶望的なサバイバルが最新科学技術や現実に基づいたリアリティ重視で描かれるにも関わらず、この地に足の着いたエンターテイメントが観客に示してみせるのは、科学と人類の進歩のポジティブな面。観た後に明るく前向きな気持ちになりました。 観終わって買い物中の嫁と合流し...

グドすぴBlog - http://godspeeddiary.blog84.fc2.com/blog-entry-452.html
2016/02/23 (Tue) 00:18

ストーリーは超シンプル過ぎるくらいの「一発物」 (火星に探査に行ったクルーのうち、一人だけ取り残され=写真、孤軍奮闘した結果、遂には帰還に成功?) なので、正直どうか?!と事前は思っていた。 ところが見終わって、最初に思ったのは… 「流石、リドリー・...

日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜 - http://blog.goo.ne.jp/onscreen/e/b3db64a343b26100cdbfb3d1155c6e75
2016/04/09 (Sat) 00:38

10日のことですが、映画「オデッセイ」を鑑賞しました。 IMAX3Dにて 火星での有人探査の最中嵐に巻き込まれたワトニー 仲間たちは緊急事態を脱するため死亡したと推測されるワトニーを置いて火星を去る しかし 奇跡的に死を免れたワトニーは水も通信手段もなく食料は31...

笑う社会人の生活 - http://blog.goo.ne.jp/macbookw/e/fe2425ef92d655835b0332299c29b57f
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