キャロル (Carol) ネタバレあり感想 両成敗でいいじゃない。

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オススメ度 ★★★★★



あらすじ


1952年のニューヨーク、クリスマスシーズン。
デパートのおもちゃ売り場に勤めるテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを探す気品のある美女・キャロル(ケイト・ブランシェット)に応対する。

これまで一度も会ったことなどなかったのに、目があったその瞬間、一瞬にして彼女に惹かれてしまったテレーズ。
キャロルがお店に忘れていった手袋を自宅に返すのと一緒に、クリスマスカードを送ったのをきっかけに、二人は頻繁に会って半紙をするようになる。

お互いのことを知っていけばいくほど、心の距離も縮まっていくふたり。

しかし彼女たちはお互いに、私生活において乗り越えなければならない壁に行く手を塞がれていた。

そんな中、テレーズは無理に結婚を迫ってくる彼氏リチャード(ジェイク・レイシー)から逃れるため、そしてキャロルは、長年連れ添った夫のハージ(カイル・チャンドラー)との離婚調停からの休息をとるため、ふたりきりで宛てのない旅行に出かけるのだが...

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感想


恋愛映画の感想で、不満点として「どうしてあのいい子が、あんなダメ野郎を好きになったのか不明瞭」というようなことをよく見かけますが、そういう人たちに質問。

恋愛って、理屈でするものなんですか?

そんな疑問にばっちり答えてくれるのが「キャロル」
同性愛への偏見も今以上に強かった1950年代に、苦難と戦いながら愛に生きようとした2人の女性の姿を描いた、恋愛映画の大傑作となっています。

物語の始まりは、とある高級ホテルのレストランから。
ある男性が、2人の女性が会食をしているところを見かけます。

あれっ? と思って近づいてみると、そのうちの1人は、やっぱり友人の女の子。
彼女に声をかけて隣を見てみると、相手の女性はなんだか高貴な雰囲気のある不思議な美女でした。

友人の女の子をパーティに誘ってみると、少し戸惑った様子ながらも一緒についてきてくれると。
そこで相手の女性は、女の子の方に手を置きながら、「2人とも、楽しい夜を過ごしてね」と言い残して去って行ったのでした...

こんな何気ないシーンが、後ほど我々の心を、まるで注射器の針のように、一瞬何をされたかわからないのに、でも確実に、鋭く突き刺してくることになるなんて誰が思うのでしょうか。

ここで登場した2人の女性が、この物語の主人公であるキャロルテレーズ
とある些細で、でもこれ以上ないほどドラマチックな出会いを通じて恋に落ちてしまった2人の始まりと、襲い来る苦難との戦いの日々はここから始まるのです。

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2人の出会いの舞台は、ニューヨークのデパート。

クリスマスシーズン、街は幸せな雰囲気に浮き足立ち、デパートはプレゼントを買いに来る家族連れで賑わっているのに、それを提供する自分はどこか所在のない気持ちでいるおもちゃコーナー店員のテレーズ(ルーニー・マーラ)は、売り場に不思議な雰囲気を醸し出す女性の姿を見つけます。

声をかけるには遠すぎる距離にいるのに、なぜか彼女を目で追ってしまうテレーズ。
そしてテレーズの目線に気づいたのか、相手の女性とついに目が合ってしまいます。

この時のルーニー・マーラの、まだ自分の感情には気づいていないながら、どこかうっとりと相手のことを見つめてしまうような微妙な表情があまりにも完璧で、観ている私たちまで胸がドキドキしてしまうんです。

その相手の女性こそがキャロル
娘へのプレゼントを買いに来たという彼女は、自分のリクエストを垂れ流すのではなく、「あなたが4歳の時に欲しかったものは何?」など、むしろテレーズの詳しいもの、過去の体験などの内面に迫る質問を繰り返します。

妖艶な魅力と知性を感じさせるキャロルの魅力に惹かれてしまったテレーズ。
そんな中、テレーズは彼女がおすすめした列車セットを買って帰ったキャロルが、手袋を忘れて帰っていたことに気づきます。

その後、商品の配送先として預かった住所を頼りに、手袋と一緒にメッセージ入りのクリスマスカードを送ることを決めます。

手紙を出しにポストに向かうルーニー・マーラの仕草や表情が、また可愛らしいんですよねえ...
友人たちとのパーティでの振る舞いや、酔った彼氏をあしらう姿の大人っぽさからは信じられないほど、そわそわとまごついちゃったりする、純情な少女のような顔がたまらないんです。

今までのイメージだと、ルーニー・マーラってハードボイルドで現実主義なキャラクターを多く演じたいたように思うので、嫌な言い方をすれば「冷たい人」みたいなイメージだったんですよねえ。
「ドラゴンタトゥーの女」のリズベットは無表情で冷徹なキャラクターだったし、「Her 世界でひとつの彼女」では「あんた、コンピューターと付き合ってるの?」と主演のホアキン・フェニックスを肉の腐り落ちそうな目で睨みつけている顔が特徴的だったのですが、

今作では、ずっと優柔不断で人任せな人生を送ってきたテレーズが、初めて自分の素直な気持ちに従って、好きな人への思いを走らせる...という様子を健気に可愛らしく演じきっています。

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そしてテレーズからのカードを受け取ったキャロルは、テレーズにお礼の電話をかけるとともに、彼女をランチへ誘います。

富豪の妻でソーシャライトのキャロルは、華やかな風貌や言動とは裏腹に、どこか影のある女性でした。
レストランでのメニューすら自分で決められず、付き合っている彼氏との関係も、彼からの押しを断ることができないまま、なんとなく結婚直前まできてしまっていたテレーズにとって、

自立していて自分の考えをしっかりと持っている同性のキャロルは、テレーズにとって新鮮な存在。
キャロルの魅力に夢中になっていくテレーズは、キャロルの自宅への招待を喜んで受け入れます。

ワクワクしながらキャロルの自宅を訪れたテレーズでしたが、ここで一つの問題が発覚。
キャロルは、夫との離婚調停真っ最中。彼女の元を訪れた夫はテレーズの姿を見るなり激怒し、「妻とどうやって知り合った!?」と問いただします。
そう。キャロルには、以前にも女性と付き合っていたという過去があったのです。

夫との言い争いで不機嫌になったキャロルに家に帰されてしまったテレーズは、帰りの電車の中で涙を堪えきれなくなってしまいます。この涙は一体何のために流した涙なのか? その答えは見る人それぞれの中で消化すべきものなのかも知れません。

その後和解した2人は、それぞれを襲う厳しい現実からの逃避行に出かけます。

安いモーテルや高級ホテルまで、東のニューヨークから、あてもなく西へ西へとドライブを続けるに連れて、どんどん心の距離を縮めていく彼女たち。

アマチュアの写真家でもあるテレーズは、キャロルの何気ない姿を次々と写真に写していきます。
テレーズの目を通して見たキャロルの美しさを写真に託した描写力、設定の生かし方はお見事としか言いようがありません。

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旅の途中で訪れる、お互いが体で交わり合う瞬間。
それはきちんと雰囲気を作ってから訪れるものでも、準備をしてから訪れるものでもなく、何気ない触れ合いから自然に発展していきます。
このリアリティがどんなドキュメンタリーよりも艶かしく、何よりも美しいのです。

何より、人気も実績もある大物女優の2人が、ヌードで本気の濡れ場を演じているところに感動すべき。
日本だったらCMスポンサーの評判とかを気にしてできないでしょ? こういうところからハリウッドを見習っていかないといけないですよ、本当に。

確かにこの映画の設定、批判も多いと思います。
離婚調停中とはいえ既婚の身であるキャロルがテレーズとの関係を持つということは、つまり不倫です。

また、夫のハージ(カイル・チャンドラー)はキャロルが女性に性的興味を持っていることを知りながらも愛し続け、調停中にも彼女との人生を歩んでいきたいと思っていて、ハージこそ真の被害者であるという意見もあるでしょう。

ですが、最近日本で話題になった、いわゆる「ゲスの極み不倫」の方だって歌っているじゃないですか、「両成敗でいいじゃない」って。
恋って理性でするものじゃなく、もう自分の気持ちに素直になるしかないと思うんです。

今まで彼氏の押しを断りきれず、惹かれない男性と今後一生を過ごすことになっていたかもしれないテレーズ。
キャロルとの旅に出る直前、彼氏は「誰かもわからない女に一目惚れするなんて、目を覚ませ! 最後には『このことは全て忘れてほしい』と泣きついてくるんだ」という言葉をテレーズに浴びせます。
それに対してテレーズは、「私は今までこんなにも目覚めていると思ったことはないわ!」と力強く返します。

これこそ、この映画の伝えたかったことなのではないでしょうか。
世の中の決まりや風潮など様々なことが私たちを縛るけど、それでも自分の気持ちに正直に生きることこそが幸せなんだと。

そんなシンプルなことを、主人公2人の表情や仕草、さりげない目線のやり方など微細な点まで、まるで本当に恋に落ちてしまった2人かのように見せつけてくれるケイト・ブランシェットとルーニー・マーラという最高の主演女優たちの圧倒的な演技力には、乾杯であり、完敗です。

現代でもそう呼ばれるかもしれませんが、1950年代当時のアメリカではより多くの人にとって「禁断の恋」であったキャロルとテレーズの恋仲を引き裂こうとする策略も迫ります。

不倫の恋なのに、今だって広くは認められない同性愛なのに、どうしてか彼女たちのことを応援したくなってしまう。
「人を好きになる」とはどういうことだったか、忙しい毎日に忘れかけた気持ちを思い出させてくれるこの「キャロル」は、恋愛映画に限らず、私がこの数年に観た映画の中でも最高の映画の一つです。

今年一番、胸が熱くなって、強く締め付けられるような恋愛映画をぜひ劇場で。



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  • 2016/02/22 (Mon) 14:26
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2016/03/23 (Wed) 22:31

15日のことですが、映画「キャロル」を鑑賞しました。 試写会にて 52年、マンハッタン 冬。テレーズはデパートで玩具販売員のアルバイトをしていたある日 娘へのプレゼントを探しに来た ミステリアスな女性キャロルにひと目で心を奪われる。それ以来、2人は会うようにな...

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