女が眠る時 この映画にネタバレなどあるのか? 怒りの感想

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オススメ度



あらすじ


作家の健二(西島秀俊)は妻の綾(小山田サユリ)と一緒に、リゾートホテルで1週間の休暇を取ることに。

第1作目がヒットし一躍有名になったものの、続く2作目はほぼ名前も知られず不調。
その後はアイデアが浮かばず作品をかけずにいた健二は、綾に当たり散らしたりなど関係もギクシャクしていた。

そんなリゾートステイの初日、彼はプールサイドにいた初老の男性・佐原(ビートたけし)と、若く美人な美樹(忽那汐里)のカップルを見かける。

彼らの持つ妖艶で不思議な雰囲気に惹かれた健二は、なぜかつい彼らの姿を追いかけるようになり、ついには夜な夜な彼らの部屋を覗き見るようになってしまう...

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(怒りの)感想


「ディズニーリゾートは、大人の行くところではありません。」

これは私が通っていた大学の学部長さんが口癖のように言っていた言葉です。

なぜかといえば、ディズニーリゾートはすでに作り込まれて、その中だけで完結された世界がもたらす快楽を享受するだけの場所であり、自分で考えるという作業を必要としないから。あそこに行ったら、知性が下がってしまうんだそうです。
そういえば、大学時代の友人にも、学部は違うのに全く同じことを言っていた奴がいましたね。ネットかどこかでは通説なんですか?

私は「〜を見ている人は頭が良い/悪い」みたいな言葉が結構苦手なんですが、皆さんの周りにもいませんか? 「お前、そんな映画/音楽なんかを好きだなんて、頭悪いんだな」とか言ってくる男。

じゃあ逆に聞きたいんだけど、そういうあんたらが好きな、自分で考えることのできる知性が高い映画っつーのーはどういう映画なんですか!

「意味不明」「支離滅裂」であることを「難解」「複雑」という、いかにも自分にも解き明かす能力があるかのような言葉に言い換えて、
しまいにはお決まりの「深い」「考えさせられる」というという言葉で片付けてくるんですよ。

「考えることが多かった」とかならわかりますが、「考えさせられる」ってなんだよ! 「頭を使う知性のある作品」みたいなものを求めて行ってるくせに、お前も結局受け身なんじゃねーか!!

はあ、はあ...ハッ! す、すみません! 作品の感想とは全く関係のない方向へと突っ走ってしまいました。

それもこれもこの「女が眠る時」が、電波カップルの特殊なプレーを変態紳士が覗き見る、というだけの話をいかにも「哲学的」で「深い」ように見せかけた意味のない言葉で飾り立て、すごく「意味を考えさせられる」、いかにも「頭のいい」人たちに好かれそうな作品の典型例だったからです。

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この映画の物語はシンプル...っていうか、マジでなんだったのこの話!? と観ながらイライラしてくるほど中身がありません。

処女作がヒットしたものの、それ以降は全く鳴かず飛ばず(ありがちな設定だな)な作家・健二(西島秀俊)は、編集者で家庭の稼ぎ頭である妻・綾(小山田サユリ)とリゾートホテルで1週間の休暇を取ることにしました。

ホテルのプールでくつろいでいた彼らの目に飛び込んできたのは、いかにもおっさんらしいぽっちゃり体型の男性・佐原(ビートたけし)と、若くて美人な美樹(忽那汐里)の2人組でした。

「あの二人見て。親子じゃないよね、どう見ても」と言う綾の言葉に誘われて、ついつい犯罪の匂いのするカップルの方をガン見してしまう健二。

露出度高めのビキニから引き締まった体が露出する美樹の身体に、いやらしい手つきで日焼け止めを塗っていく佐原に...なんだろう、エッチだなあ、興奮しちゃうなあと思ったのかな。それとも、感受性豊かな作家さんらしく、彼らの姿にただならぬ雰囲気を感じたんでしょうか。

彼らの姿を舐め回すように見つめた後の健二は、彼らのストーカーを始めます。
街に出た彼らを尾行するだけにとどまらず、ついには彼らのゲストルームを夜な夜な覗き見するように。とんでもない変態だな。

しかし、変態なのは健二だけではありませんでした。
部屋の中での佐原は、眠っている美樹のうなじの毛を剃りながら、その姿を撮影しているのです。

その光景が気になった健二は、翌日プールで佐原に突撃取材を敢行!

「撮影がお好きなんですか? 彼女、とっても綺麗ですもんね。」

はぁぁ!!?? お前、自ら「僕はあなた方が部屋の中で変態的な撮影会をやってたのを覗きましたよ」ってバラすんかぁい!!
普通そんなこと言ったら気味悪がるか怒りますよね。それか、速攻でフロントか警察に連絡しますよね。
しかし寛大なお心を持った我らがビートたけし様は怒るどころか、自分たちがどういうプレーをしているのか、なぜそんなことをするのかを語り始めます。

「あの子が小さな頃から毎日撮っては上書きしてるんだよ。あの子の最後の日を、記録しようとしてるんだ。」

おお、なんか意味深!! きっとここから、佐原と美樹の関係にまつわる謎を解き明かしていくんだね!...と思うじゃないですか?

しかしみなさんご安心ください。最後までこの伏線が回収されることは一切ありません。

不思議でしょう? 私も最後まで不思議でした。

佐原はそれまで笑顔で日焼け止めを塗っていたと思えば、ある日には突然「俺のことを殺したいと思ってんだろ。 みんなカミソリってのは喉を切るもんだと思ってるようだがなぁ...」と言いながら美樹の手首にカミソリを当ててみたり、

美樹は美樹で、台風迫る大雨の中に一人で動物園の中に入りたと思えば、出てくる時には涙を流しながら出てきたり、
裸足で崖の上にかけて行って、海を見ながら号泣したり。

もう、こいつらただの電波カップルなんですよ!

なんだかこの人たちには壮絶な歴史がありそうだ...ということを想像させておきながら、それらの伏線は一切回収することはありません。
その後も飛び飛びに意味ありげな展開を次々に繰り出しつつも、ラストに待ち受けているのは「どうしてこうなった?」感しかない謎のハッピーエンド。

意味ありげなんだけど、見ている方からしたらただただ意味不明なシーンの連続を、「観客の解釈に任せま〜す。どうです ?とっても頭を使う、議論の余地がある映画でしょう?」とでも言いたげに全てをぶん投げてあっさり幕を閉じていくという。こんな恐ろしい映画、久々に観ましたよ。

確かに映像はとっても綺麗で、日本にこんな美しいリゾートホテルがあるのか! と思わせる絵作りは素晴らしいと思います。
ロケ地になった伊豆今井浜東急ホテル(http://www.imaihama-h.tokyuhotels.co.jp/ja/index.html)にも泊まってみたくなっちゃうくらい。

俳優陣の演技も頑張ってて、やっぱりたけしさんはああいう得体の知れない恐ろしさを感じさせる役が似合ってるなあ、と思わされましたね。

だけど、内容がここまで意味不明じゃきついでしょ。

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これだけでも十二分にイライラさせられるのですが、この「意味ありげでしょ? 意味は自分の頭を使って考えな!」的な演出の総決算として登場するのが、リリー・フランキー扮する謎の店の店主です。

佐原と美樹の過去を知っているこの店主は、健二が彼ら2人の過去について尋ねると突然
「おたくさぁ、タイツとストッキングの違いって知ってる?」とわけのわからない無駄知識について語り始めます。

「聞いてねぇよ...」と言わんばかりに困惑する健二に一通り語り終えたリリーさんは、
「なんでこいつこんなこと知ってるんだろうって思った? おたくさぁ、人に変な質問する時は、理由言ってからのほうがいいよね。」などとのたまうのです。

は、ハァァァ!!!??? なんだこいつ何言ってんだ?? 何、あれか?「突然変なこと語り始めたらお前困るだろ? 嫌なことは聞かれたくないし聞きたくないだろ? 俺だって同じだよ」みたいなことを言うために、わざわざ超尺使って意味のない無駄知識を語られたのか!?

この人はその後もわけのわからない、でもなんとなく哲学的「っぽい」超尺のセリフを延々と吐き続けます。
例えば「うちの家族がアフリカに行ったんだけどさあ、ライオンってモテないオスのためにメスが無理にでもヤッてあげるんだって。だからオスは情けないの。男はもっと生殖に対して貪欲でないといけないよね。」などなど。

しかし、彼自身が物語に深く関わってくることはないし、彼の行動が佐原カップルの過去に直結するようなヒントを提示してくれるわけでは全くないので、彼の話は基本的に哲学的「っぽい」だけの意味のない話なわけです。

しかし、考察と議論の余地がある映画を求める「頭の良い」男性諸君は、彼の言動を見てこう思うことでしょう。
「おお、つまりこの話は男性の本来持つ性的な欲求が生み出した幻想の世界と、うまく立ち行かない現実との折り合いをつけられない健二の思考の世界が混じり合って云々...」

あああ、うっぜー!!!

もう認めようよ。意味不明なように見えて結局意味不明なまま終わるものに、つまるところ意味はないんだよ。
自分で生み出した物語に自分なりの答えか、もしくはそのヒントすら提示できないって、つまりは自分でもそれが何の話かわかってないってことなんじゃないですか、というのが私の考えです。

そういう映画に対してあれこれ自分なりの役に立たない考えを語って賢い人ぶるくらいなら、完成された世界の中に自らを没入させて感情を揺り動かせるディズニーの方がよっぽどいいんじゃないですか?
ていうかディズニーにだって解釈を議論する余地のある作品は山ほどあるし、ディズニーリゾートにだって作品の世界観を作った人々やキャストさん達の哲学だったり、考えようと思えば考えることはたくさんあるでしょ。

それよりも問題なのは、「考えさせられる」という言葉を、まるで自分に思考力があるかのような自慢の言葉として使ってしまうことだと思います。それこそ「無理やり考えるしかない状況を作らないと考えることができないんですか」ってことになるような気がするんですけど、それは私が頭が悪いからなんでしょうか。どうなんでしょうか。

...あれれ?? なんか最初と最後は映画の感想に直結してないものになっちゃった気がしますが、まあとりあえず言えることは、この映画が私の中に眠る「頭いい/悪い」論議に対する鬱憤を爆発させてくれちゃった、罪深い作品だっということです。

しかし、積もり積もった文句を吐き出せて、私もスッキリ! そういう意味ではすごくいい作品だったのかもしれませんね。



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

Comment

  • 2016/03/06 (Sun) 22:21
    はなまるこ #mHZ/BfkA - URL
    すみません、笑いました!

    UCさん、こんばんは!

    この映画の予告編、本当に意味ありげで最初に観た時はドキドキしました。

    で、ちょっと気になって監督のインタビュー記事なんかを最近読んでいたのですが「最近の観客は、最初から最後まで説明している映画でないと観ないよね」「自分で考えようとしないよね」云々といったお話が多くて、これはもしかしたら”謎を丸投げ映画か!?”と密かに想像していました。なので、UCさんのこのレビューを読んで本当にPCの前で笑ってしまいました。

    UCさんの仰る通り、監督は「さぁ、難解に作ったからご自分で御考えなさい。でも自分で考えるっていうことが大事だから、答えはないんだよん」としてこの映画を作ったようですね。お怒りのお気持ち、分かる気がします(笑)。笑ってゴメンナサイ!

    「これは夢かもしれません」「いやそれは現実かもしれません」「いやもしかしたら(略)」といった「最後までどっちつかずの映画」って本当にアタマにきますよね。この映画って、そんな感じもあったのでしょうか。なんだか逆に気になってしまいました(笑)。

    あ、それともしよろしければなんですが、ツイッターをフォローさせていただいてもよろしいでしょうか?私はあまりツイートしていないのですが、他の方のお話を読むのが大好きなんです^^

    また遊びに参りますね♪

  • 2016/03/06 (Sun) 23:11
    UC #- - URL
    Re: すみません、笑いました!

    はなまるこさん、こんにちは!

    私はレビューを書く時に、特に私が好きでなかった映画の時には読んでくださる方が笑ってくれればと思って書いているので嬉しいです!
    この映画は投げっぱなしすぎて、観てて笑いと怒りが同時にこみ上げてくるという不思議な映画でした。ああ、たぶん監督も、これが何の話かわかってないんだろうなあ、みたいな。

    ツイッターの件はもちろん大丈夫です! ツイッターでは大して面白いこと言ってませんが、よろしければ。

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2016/04/22 (Fri) 22:04

3日のことですが、映画「女が眠る時」を鑑賞しました。 作家の健二は妻の綾を伴い リゾートホテルで1週間の休暇を取ることに 作家としてスランプし就職を決めた彼は妻との仲もぎくしゃくしていた 無気力な時間を過ごしていた健二は初老の佐原と若く麗しい美樹のカップ...

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