
*注意: 作品の結末を豪快にネタバレしています。

オススメ度 ★
あらすじ
暗くて地味でいじめられっ子だった自分を変えるべく、寮制の学校に入学した女子高生の赤羽由宇(小松菜奈)。
しかし寮に入った彼女を待っていたのは、「黒悪魔」と周囲から恐れられているSっ気満載の黒崎晴人(中島健人)による洗礼。
とあるアクシデントから、副寮長である彼の髪の毛を切ってしまった由宇は、黒崎くんから罰として初キスを奪われただけでなく、「絶対服従」の主従関係を迫られてしまうこととなったのだ。
そんな黒崎くんの親友は、誰にでも優しく甘いマスクを持ち、学校全体の女子から絶大な人気を誇る「白王子」こと白河タクミ(千葉雄大)。
優しい彼は、今まで恋愛経験のなかった由宇の「擬似彼氏」になってくれたのだった。
そんな正反対のイケメン2人に迫られて心が揺れる由宇だったが、ある日、黒崎くんと白河くん、そしてクラスメートの男の子と一緒に行った遊園地で、由宇の運命を揺るがす大事件が起きる...

感想
やぁ~、イケメンは正義だよねぇ~!
これは、この映画をおっさん一人で観に行った私の後ろで、小さな声でキャーキャー言いながら悶えていた女子2人が上映終了後に言っていた言葉です。
男性諸君、これこそが真実ですよ。
「見た目なんて関係ないぜ!」って言うじゃないですか? いやいや、やっぱりね、世の中見た目が大事でござんすよ。特にやたらとカッコつけたがる男はね!!
ドS男子と王子のように優しい男子の間で揺れる女子高生の恋愛模様を描いた「黒崎くんの言いなりになんてならない」は、この世の女子の理想と妄想がびっちり詰まった(はずの)、2016年最大のイケメン賛歌に仕上がっています。
まず先に言っておきますと、この映画は先日2夜限定で放送されたテレビドラマ版の続きです。
そのためドラマ版を見ていないと、「えっなにこれ初耳なんだけど!?」「唐突すぎねーか!?」とツッコミたくなるシーンも多数出てきますがご安心を。その辺りが今作を楽しむ上で邪魔になることは全くありませんので。
それでも気になる方は、YouTubeで「黒崎くんの言いなりになんてならない ドラマ」で検索だ! (フル動画上がってます。)
それどころか、冒頭では自然に...いやすみません、そんなに自然ではないですが、物語の中に組み込まれた形であらすじを教えてくれるんです。とっても親切ですね!
「私はどん底から抜け出したんだ。」
開幕早々、今作の主人公でヒロインの赤羽由宇(小松菜奈)は語ります。
もともと地味でいじめられっ子だった彼女は、寮制の高校に転入してきたことをきっかけに、いわゆる「高校デビュー」を果たそうと気合を入れていたのです。
ところが次の瞬間、信じられないことが起こります。
登校中、後ろから「おい」と彼女を呼び止める声がするので振り返ってみると、そこには黒髪のイケメンが。
そのイケメンは近づいてきたと思ったら、「お前は俺の奴隷だ」と意味不明の言葉を吐きながら、噂の「顎クイ」をしながら突如由宇の唇を奪います。
ええええぇ~!! こんなん犯罪だろ!! 既に付き合ってでもいない限り、はっ倒されて学校の先生に言われて警察に言われて終わりだわ!!
なんて思いながらその異様な光景をボケっと眺めていると、息もつかせずに信じられないことが起こります。
今度は金髪の可愛らしい顔をした男の子が現れ、「擬似恋愛はもうおしまい。ほんとの恋愛、教えてあげる。」と、この世に生きるまともな人間なら口をついて出てこないであろう甘いセリフを吐いたかと思えば、次の瞬間には
「ここ、押して。スタートボタン。」と自らの唇を指差すのです。
ひ、ヒィィィィ!!!!! なんだこれ!! こんなん普通の女の子だったらドン引きしてその場を去るか、「気持ち悪ぃんだよ!!」と暴言の一つでも吐いていることでしょうよ。
しかし、純朴な由宇ちゃんはそうはしません。
言われるままに彼の唇を押したら、やっぱりまたまたキススタート!! さっきのSっ気満々の男の子の時とは違い、優しいキスの快楽がそこには待っていたのです。
「私、素っ頓狂な現実についていけません!!」
と心の中で叫ぶ由宇ですが、大丈夫。観客の我々の方がついていけてないから!!

じゃあここで一旦、これまでのお話を整理しましょうか。
まず、最初に出てきたSっ気満載の男の子は、「黒悪魔」と周囲から恐れられている黒崎晴人(中島健人)。
テレビドラマ版の方で、入寮初日に(事故ですが)彼の髪の毛を切ってしまった由宇は、それ以降黒崎くんに絶対服従するという罰を受けることとなってしまったのです。
そんな由宇を地獄から救い出してくれたのが、「白王子」こと白河タクミ(千葉雄大)。誰にでも優しい彼は、恋愛を知らなかった由宇の「擬似彼氏」になって、恋愛というものを体験させてくれたのです。
で、このお話は...もうお分かりですよね?
ドS系男子の黒崎くんと、優しい王子系男子の白河くんの両方から言い寄られた由宇は、果たしてどっちと付き合うの? っていうお花畑な物語なのですよ!
しかし、由宇ちゃんは今まで恋愛というものを知らなかったわけです。だから2人のどちらにもときめいてしまう自分に対して、
「私、淫乱なのかなぁ~」
と、とんでもない独り言をつぶやいてしまったりするのですね。こんなん笑うわ。
でも、もう皆さんお分かりだと思いますので言っちゃいますね。
最後に由宇が選ぶのは、もちろんドS男子の黒崎くんの方ですよ。決まってるじゃないですか!
優しい白河くんと付き合うのがいいってわかってるけど、なんでかツンデレな黒崎くんの方に胸がドキドキしちゃうんだもん...
っていう正直な気持ちに従って、黒崎くんとお付き合いしてハッピーエンド...っていうのが結末ですよ!
だって皆さん、この決まりきったテンプレートのような展開が気持ちよくてこういう映画を観に行くんですよね?
私だって、観に行く前から分かってましたよ、ていうか予告編の段階で完全にネタバレしちゃってるじゃないですか!
「どうして振り解けないんだろう...」
って言ってるじゃないですか! だからそこは全く重要ではなくって!
この映画で大事なのは、女子の妄想がびっちりみっちり詰まった、「アレ」に次ぐ「アレ」ですよ。
そう。今日本を席巻しているモテ仕草の一つ、「壁ドン」でございますよ。
世の中の女性の皆さん、そしてリア充・イケメンの男性の皆さんにお伺いしたいんですが、あれって現実の世界でも流行ってるんですか? 私、テレビドラマか映画でしか見たことないんですが。それともやっぱり、リア充の世界では日常的に行われているけれど、ブサメンの私はそれに触れる機会がないだけなのでしょうか...
物語の始めの段階で、現実の女性が一生に受けるであろう回数の壁ドンを受け終わった由宇には、さらなる胸キュンシチュエーションが待ち受けていました。
クラスで由宇の後ろの席に座っている黒崎くんが、ホームルーム中に突然、由宇の耳を甘噛みしてきたのです!
そんな嘘だろって思うでしょ? 人がいるところで耳を噛むなんて。
大丈夫です、私も未だに信じられてないですから。
それ以降も、現実離れした胸キュンシチュエーションは津波のように押し寄せてきます。
黒「勝った方が...わかってんな」
白「うん、わかってるよ」
と言って、由宇と付き合う権利をかけて爽やかにバスケ勝負をする黒崎くんと白河くん。
勝敗の結果に関わらず、終わった後には手を取り合って笑いあうイケメン2人の姿には、「男の友情ってかっこいい~」なんて思わされちゃうこと間違いなしですよね!!
その中には、汗びっちょりになりながら男同士だけど床ドン(って呼ぶのかしら?)をして、もう唇と唇がくっついちゃうよ~っていう距離まで近づく2人のサービスショットも見られたりします。
いやぁ、これぞ青春だよね!!(笑顔)

でも、ちょっと待ってくださいよ、女性の皆さん。
これはジャニーズ期待の若手・中島健人くんと、注目の若手俳優・千葉雄大くんという超がつくほどのイケメン2人がやっているからカッコよく見える(ですよね?)のであって、もし劇中に出てくる行為の全てを、とんでもないブサメンがやっていたらどうなるか、ちょっと置き換えて想像してみてくださいよ。
例えば、高校時代「ダンゴムシの裏側みたいな顔」と呼ばれ、大学時代は「ゲタ箱に似ている」と言われた、自他共に認めるブサメンの私・UCなんかいかがでしょう?
だって信じられますか? ダンゴムシの裏側みたいな顔した男が「お前は俺の奴隷だ」とか言って、付き合ってもいないのに顎をクイッと触ってくるんですよ?
どうします? ゲタ箱みたいな顔をした男が、授業中に突然あなたの耳を甘噛みしてきたら。その瞬間に警察に通報しますよね?
もし、そんなブサイクな男が、さらにカブトムシの幼虫みたいな顔をした親友と、「あいつと付き合う権利をかけて勝負な」とか言って、運動神経悪いくせに不恰好なバスケ勝負を始めたらどうします?
「てめーらみてえなブサイクが、何勘違いしてんだよ! お前らは泥の中でくたばってんのがお似合いだ!!」くらいの言葉は吐き捨ててやりたくなりませんか?
つまりこれはね、女子が「ただしイケメンに限る」胸キュン行為を貪るための、いわば一種のAVにも近いものなのであって、
男性、特に私のようなブサイクな男が見ると、常に抱いているイケメンへの憎悪を増大させるだけの映画なのですよ。
ということで逆に言うと、「最近養分(イケメン成分)が足りてないんだよねぇ~」という女性の皆さんにとっては、強気でSっ気が強く、でも自分の前ではちょっとデレてくれるツンデレなイケメンと、
常に自分のことを気遣ってくれる、甘く可愛らしい顔をしたイケメンという、真逆のタイプのイケメンたちから同時に迫られる、という疑似体験をできる貴重な映画としてオススメです。
鑑賞後に、どっちのイケメンが自分好みだったかをオシャレなカフェでパンケーキを食べながら語り合うと、自分たちもまるで少女漫画の主人公になったような気分を味わえること間違いなしです! ぜひ試してみてくださいね!
そういえば、最後に私の話になっちゃうんですけど、幼少の頃からブサイクだ気持ち悪い顔だと言われて育ち、しかも他人と会話をすることが何よりも苦手なコミュ障の私なんですが、
なんと社会人になって、人生で初めて女性(会社の先輩)から「ブサイクじゃない」って言っていただけた経験があったんですよ!! あんまりにも嬉しかったので、その会話をちょっと公開してみますね。
~仕事後の軽い飲み会で~
先輩「そういえばUCくん、最近彼女できたの?」
UC「ふ、いやぅぉ、ボクゥ、子どもの頃からブサイクとしか言われてこなかったんでぅ、しばらくはそんな気配すらないんですよぁ~。デュッフゥォ!!(鼻息)」
先輩「えっ... ゆ、UCくん、大丈夫だよ!! ブサイクブサイクって、そこまで言うほどのブサイクってわけでもないかもしれないじゃない!!」
ほらね、どうですか!!...あれ? これって...
せ、先輩! よく考えたら、全然フォローになってないですぅ!! (涙

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