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マネー・ショート 華麗なる大逆転 (The Big Short) ネタバレ感想 勝利の代償

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オススメ度 ★★★★☆



あらすじ


舞台は2005年のアメリカ。

ヘッジファンドマネージャーのマイケル(クリスチャン・ベイル)は、アメリカの住宅ローンバブルの崩壊を誰よりも早く予測し、「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」という金融取引において、「空売り(ショート)」という方法を用いて勝利をつかもうとする。

一方、マイケルの策略を噂に聞いたバンカーのジャレド(ライアン・ゴズリング)は、マイケルの予測に信憑性があると確信。
世の中の不正を正そうと活動しているヘッジファンドマネージャーのマーク(スティーヴ・カレル)に、CDS取引における協力を持ちかける。

同じ頃、ジャレドが作成した書面を偶然発見した若き投資家のチャーリー(ジョン・マガロ)とジェイミー(フィン・ウィットロック)は、CDSで一儲けするべく、伝説のバンカー・ベン(ブラッド・ピット)に助けを求めるのだが...

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感想


いやぁ〜、すみません、わかりませんでした!!

え、なにがって?
マイケル・ルイスによるノンフィクション『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』を原作とした今作「マネー・ショート 華麗なる大逆転」なんですが、金融の世界に全く疎い私には、劇中でなにが起こっているのか、なにがピンチでなにが成功したのか全然わからなかったということですよ!!

みなさんご存知、2008年にアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻したことに端を発して世界が金融危機に陥った事件「リーマン・ショック」の裏で、実はその危機を予測していた4人の男たちがいた...という話を実写化したこの映画では「CDS」「CDO」「空売り(ショート)」などの専門用語が次々と飛び交い、
感情をむき出しにして苦しみ、葛藤する登場人物たちとをよそに、「あれ、これって金融的にはどこが悪いのかな?」「あっ、今っていい方向に向かってるんだ〜」などなど、観客の我々が置いてけぼりをくらってしまう映画だったりします。

だって、130分間という上映時間の中に詰め込まれた情報量が尋常ではないんですもの!
この感想を書き始める前に、「クレジット・デフォルト・スワップ とは」とか「CDO 金融」なんていうキーワードを検索してみたんですが、それでも全然なんのことだかさっぱりでしたもんね。私の頭がよろしくない、というのも大きいかもしれませんが。

なのにね〜、なんでかな〜、この複雑かつ悲痛で、けれどもチクっと刺すような毒気の強いユーモアに満ちた物語に、ついつい心を奪われてしまったんですよね。

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小さなオフィスにあるガラス張りの部屋で、Tシャツ短パンに裸足というラフすぎる格好で電話を取っているのは、神経科医からヘッジファンドマネージャーになったという異例の経歴を持つマイケル・バリー(クリスチャン・ベイル)[実在の人物です]。

幼少の頃の病気が原因で片目にガラスの義眼を入れ、オフィス内で爆音のロックミュージックを流しながらドラムを叩くエキセントリックな彼は、自身の計算から2005年現在のサブプライムローンバブルはもはや崩壊寸前であることを見抜きます。

そのマイケルを演じるクリスチャン・ベイルの演技が相変わらず素晴らしい! 作品ごとに見た目も性格もガラッと変わり、今作では少しの狂気すら感じさせる天才トレーダーの役柄を見事に演じていました。

世界経済の危機を予知した彼は早速、ウォール街の銭ゲバ野郎どもに多額の空売りを持ちかけます。
ほとんどの人間はマイケルを気のふれたやつだと馬鹿にしますが、たった一人、彼のアイデアに信憑性を見出した人物がいました。

その人物とは、強欲なバンカーのジャレド・ベネット(ライアン・ゴズリング)
偶然にマイケルのアイデアを噂に聞いた彼は、銀行を相手に住宅ローンの空売りをし、それらがのちに債務不履行となる時を待つという作戦に出ました。

傲慢で上から目線。気持ちいいほど腹が立つジャレドですが、彼の作品への貢献度は他のキャラクター以上。なにせ、映画を観ている我々に直接語りかけてきて、今何が起きているのかを教えてくれるのですから。
彼がいなかったら、多分話の1/3も理解できていなかっただろうと思うとちょっと悔しいですね。

そんなジャレドは、計画を実行に移すため、とあるヘッジファンドマネージャーに協力の依頼を持ちかけます。

その人物が、曲がったことは大嫌い、この世の全ての不正を正すべく活動をしているマーク・バウム(スティーヴ・カレル)です。
最初こそジャレドの提案に懐疑的だったマークですが、彼が自身の足でサブプライムローンが詐欺にも近いシステムへと堕落してしまっている事実を確かめた時、サブプライムローンバブルの崩壊を悟るのです。

ここでのスティーブ・カレルは、昨年の「フォックスキャッチャー」における怪演にも負けず劣らずの力強い演技を見せてくれています。
以前までは、ちょっと弱々しくて童貞っぽい笑えるおじさん、みたいなイメージだったんですけどね。前回ライアン・ゴズリングと共演した"Crazy, Stupid, Love."なんかまさにそんな感じだったじゃないですか。以前とのギャップが激しすぎて、最近は彼を見るたびに驚かされっぱなしです。

マークは、劇中の登場人物の中で唯一、自身の金儲けのことだけではなく、国と銀行が一丸となって国民を騙そうとしているという事実と信念を持って闘おうとした人物だという点で非常に興味深いです。
作品のラストシーンににじみ出る悲痛さや悲しみは、彼の存在なくしては生まれなかったものでしょうね。

時を同じくして、ジャレドが作成した書面を偶然発見した若き投資家チャーリー(ジョン・マガロ)とジェイミー(フィン・ウィットロック)の野心溢れるコンビは、そのアイデアに触発され、CDSで一儲けするべく、伝説のバンカー・ベン・リカート(ブラッド・ピット)に助けを求めます。

ベンがなぜ、思慮の足りなそうな若者2人の金儲けに加担したのか?
それは、自身がサブプライムローンバブルを作り上げてしまった人物の一人だという罪を償うために他ならないでしょう。

ベンよりもむしろチャーリーとジェイミーの方が登場シーンもセリフも多く、彼らの方が主人公格に見えることもあるくらいですが、
しっかし、「それでも夜は明ける」に引き続き、ブラピは自分で作中最も大事なセリフを持って行きますよねえ。

空売りに大成功し、近い未来の成功に大はしゃぎするコンビに向かって
「はしゃぐな! 俺たちが勝利するということは、世界経済は破綻。失業率は急上昇して、住処を失う人も大量に現れるんだぞ!」
といった内容の、観客の我々が一瞬にしてハッとさせられる言葉をぶつけます。やっぱりプロデューサーもやってるもんね。自分が一番いいセリフ言いたいよね。

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そんなこんなで、偶然という名の運命のもとに勝利への道を歩み始める主人公たちですが、その道のりにはとにかく経済用語、経済用語、経済用語のオンパレード! おそらく金融関係にお勤めの方でないと、「どうなってるの〜」と道に迷ってしまうこともあるはずです。

しかし、それでも退屈するどころかグイグイと物語に引き込まれていってしまうのは、
スピーディ・スタイリッシュ・スリリングと三拍子揃った最高すぎる演出のお陰といえるでしょう。

常にハンドカメラがグラグラと揺れ、不規則に人物に寄ったり離れたりするカメラワークからは、我々までその場にいるような感覚を味わえますし、それに拍車をかけるのが、画面の中から我々に話しかけてくる登場人物たちの存在ですね。

主人公格のキャラクターの中ではジェレドが唯一我々に語りかけてくるキャラクターではありますが、これってなんだか、同じくウォール街の金融世界を描いた「ウルフ・オブ・ウォールストリート」に似ているなあ...と思っていたら、そんな私の心を読むかのように、「ウルフ〜」でディカプリオの2番目の妻を演じたマーゴット・ロビーがバスタブの中から劇中に出てくる取引の解説をしてくれたり、

途中ではなんと、2006年当時はどう考えてもカジノに入れる年齢ではなく、しかも元ディズニーアイドルの中でも清純派として好感度の高いセレーナ・ゴメスがブラック・ジャックに例えて「合成CDO」と呼ばれる仕組みを説明してくれたりします。このユーモアの利かせ方が絶妙で、ついつい口を大きく開けっぱなしにしてしまうほどの驚きと笑いを提供してくれるんですよね。

こんなにも豪華すぎるキャストとゲストが贅沢三昧、勝利への街道をまっしぐらで駆け抜けているような狂乱の日々をノンストップで描く痛快な演出は間違いなく今作の大きな魅力であると思いますが、そんなお祭り騒ぎにも必ず終りが訪れるもの。

もう作品のあらすじからだけではなく、当時世界中が大騒ぎになったリーマン・ショックのことはみなさんご存知でしょう。
つまり、マイケルの読みは大当たりしてサブプライムローン制度は崩壊。それに賭けていた主人公たちは、時代の勝者となります。

しかし、上述のベンの言葉通り、それはすなわち多くの人々が職を失い、住処を追われることと同義。彼らの勝利は世界経済の敗北だったというわけです。
そんな中、自分に舞い込んできた幸運を手放しで喜ぶことができるでしょうか? 自分の中に育つ背徳感に、心をかきむしられないものでしょうか?

考え方も生き方も違う、個性豊かな主人公たち。
しかし彼らが勝利と引き換えに失ったものは何だったのか? それは、ラストシーンでの彼らの表情から痛いほどに伝わってきます。

この作品は、日本版のサブタイトルが示すように「華麗」な物語ではなかったかもしれません。

しかし、バブル経済がもたらす狂乱の末に待つ悲痛な現実を、前半のノリに乗った演出との対比から描き出したアダム・マッケイ監督の手腕はまさに「華麗」そのものだったと言えると思います。お見事!



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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