ブルックリン (Brooklyn) ネタバレあり感想 責任と情熱のあいだ。

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オススメ度 ★★★★☆



あらすじ


アイルランドの町で慎ましく暮らすエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は、意地悪な店主が経営するグローサリーストアに勤め。なんだか鬱屈な日々を過ごしていた。

美人で仕事ができ、一家の大黒柱として華やかに活躍している姉ローズ(フィオナ・グラスコット)のことを愛しつつも、ローズの存在はエイリシュにとって少しプレッシャー。

そんな妹の未来を心配するローズの考えもあり、エイリシュはアメリカはニューヨーク、ブルックリンへ移住し、新しい人生を始めることを決意する。

しかし、アメリカに渡る船は揺れるし、アメリカでの仕事はせかせかしていて苦しいことだらけ。
アイルランドでの暮らしは良かったなあと、ホームシックにかかってしまいます。

そんな中、共に暮らすルームメイトたちとアイルランド人の集うダンスパーティへ行ったエイリシュは、とある男性と出会って...

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感想


冴えない日常、退屈な仕事から抜け出して、遠い異国の地で優雅に第二の人生を歩き始める。そして現地のイケメン/美女と結婚なんかしちゃったりして...

誰もが一度は夢見たことのある、憧れの海外生活。しかし、若い頃はいいけれど、大人になってくると残していく家族や現地での整形の立て方など、責任や経済の現実的な問題が立ちふさがって夢を見ることすら難しくなっていくものです。

2016年のアカデミー賞において作品賞・主演女優賞のノミネーションを受けた今作「ブルックリン」は、海外移住が与えてくれる夢と希望、そしてそれに伴って重くのしかかってくる責任に葛藤する女性の姿をエモーショナルに描いた作品となっています。

時は1952年。アイルランドの片田舎に暮らす主人公のエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は、地元のグローサリーストアで意地悪な店主にいびられながら働き、家では美人で優秀な姉ローズ(フィオナ・グラスコット)のことを愛しつつも、内心ではれ当館に苛まれながら、幸せなはずなのにどこか憂鬱な日々を過ごしていました。

そんなある日、エイリシュの人生に転機が訪れます。
彼女の事を心配したローズが、エイリシュに新しい仕事、新しい家、そして新しい人生が訪れるようにとアメリカ行きを手配してくれたのです。

少しの不安を覚えながらも、決意を胸にアメリカ行きの船に乗り込んだエイリシュ。
しかし彼女を待ち受けていたのは、決して明るく希望に満ちた生活ではなかったのです...

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エイリシュの乗り込んだアメリカ行きの船は常に激しく揺れて船酔いは避けられないし、食事はまずいどころか腐っていて食中毒にかかってしまうし、まるでこの旅路の多難な前途を象徴しているようではないですか。

この船旅をなんとか乗り切れたのは、偶然一緒のキャビンになった女性のおかげ。
力強くて旅慣れた彼女は、エイリシュにアメリカでの暮らしのアドバイスをたくさん与えてくれて、アメリカでの生活への不安を少し紛らわせることができたのです。

そんなこんなで無事アメリカに入国できた彼女は、自分と同じアイルランド系の移民が多く住む街・ブルックリンで暮らし、デパートの販売員として働くことに。

しかし職場の雰囲気はどうもせかせかピリピリしており、お客さんにはいつもテキパキと仕事をこなしつつ作り笑いで接しなければならないし、
アイルランドとは真逆のスタイルでの働き方を強いられたエイリシュは肉体的にも精神的にもすっかり参ってしまいます。

実家の姉から届く手紙を読むたびに、思わず望郷の思いから涙を流してしまうエイリシュ。私はもう、ここではやっていけないかもしれない...

生まれた国の中でも、別の街に移動しただけで寂しさに身を焼きつかされそうになることだってあるのに、ましてや冒険の舞台が外国ともなればその苦しみは別格です。

絶望の淵に立たされたエイリシュですが、そこに思わぬ救世主が現れます。

ルームメイトのお姉様方に連れて行かれたアイルランド系のダンスパーティの会場で、エイリシュのことを見つめる一つの目線が。
名前も知らないその男性に連れられてパーティ会場を後にした彼女は、なんとその男性がイタリア系移民の家系に生まれた人だと知って驚くことになります。

トニー(エモリー・コーエン)というその男性は、見た目もチャーミングでない面も優しくてスイート。その人柄に、エイリシュはたちまち惹かれ、恋に落ちていってしまいます。

その可愛らしさといったら尋常じゃありません。男性の私からすると、こんなかわいい男性存在していいのか、というレベル。

だって彼、簿記の夢を目指すために大学に通い始めたエイリシュが授業を終えるのを夜まで待ち続け、教室から出てきた彼女にこんなことを言うんですよ。

「君が忙しいのはわかってる。でも、せめて家まで送らせてよ。家に着いたら、バイバイってだけ言ってすぐ帰るから。君がすぐに寝なくちゃいけないの、わかってる。だから、ディナーにも誘わない。邪魔もしないからさ。もしダメだったら、こんなに長く待てないよ。」

な、なんじゃこりゃあ!!
優しい、優しすぎる! 最初にこのセリフを聞いた時には、「なんて遠回しな『ヤらせてください』なんだろう」なんて淀んだ考えが頭をよぎったものですが、この後の彼の行動を見ていると、マジでガチでかわいくて優しい系男子だったということがわかります。
演じるエモリー・コーエンくんもまたかわいい顔してて役と合ってるんですよねえ...

エイリシュは謙虚なふりして(?)意外と押しも主張も強めな女性なので、それを優しく包み込むトニーとは超ベストマッチなんですよねえ。見ているだけで羨ましくなるくらいです。

ブサイクなくせにいやらしくて濁りきった邪悪な考えしか頭に浮かんでこない私に生きている価値はあるのか、と後悔させられたほどでした。無念。

トニーとの出会い、大学で夢への一歩を踏み出せたことをきっかけに、エイリシュはアメリカでの暮らしに希望を見出すようになります。
仕事もうまくこなせるようになり、この場所も悪くないかもと思い始めた頃、またしてもエイリシュの身に、人生を揺るがすほどの大事件が...

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もう何回転機訪れるんだよ、という感じですが、人生というのは予期せぬタイミングに悪いことが起こったりするものじゃないですか?

望郷の気持ちも少しずつ治ってきた頃合を見計らったかのように、なんと地元で母親の世話をしていた姉のローズが病気で亡くなったという訃報が届くのです。
最愛の姉の死というのは、何物にも代え難い苦痛。エイリシュは1か月間だけと決め、アイルランドへの帰郷を決意します。

でも、一度地元へ戻ってしまったエイリシュがこれからの人生を過ごすべき場所は?
今のエイリシュにとっての「故郷」はどこなんでしょう。 母親やともに育ってきた友人たちの住むアイルランドの町? それとも、愛する人と、新しい自分を見つけることのできたブルックリン?

エイリシュがアイルランドへ帰郷すると知ったトニーは、もうエイリシュが二度と戻ってこないのではないかと不安になり、彼女との絆が離れてしまわないようにとプロポーズをします。

しかし一方で、地元の母は「あなたがいなくなった時には『ローズがいるから大丈夫』と自分に言い聞かせてきたけど、そのローズもいなくなってしまった今。私は誰を心の頼りにすればいいの」と涙を流しながら訴えるのです。

2つの絆によってがんじがらめになってしまうエイリシュの苦しみが、彼女の目から涙となって溢れ出します。
葛藤するエイリシュの姿を完璧に演じたシアーシャ・ローナンの演技は完璧を超えています。エイリシュの痛みが画面を通じて観客の私たちにも伝わってくるように思えるほどです。

愛と情熱に正直に生きられたら、どんなに楽なのでしょう。
でも、誰しも大人になれば「責任」という縛りからは逃れられないものなのです。
この気持ち、一度地元を離れて一人暮らしを始めたことのある人ならば誰もが考えたことがある問題なのではないでしょうか。

今の仕事も、周りで支えてくれる人たちのことも大好きで、地元そのものには強い未練はない。
でも、自分を育ててくれた最愛の両親が困った時に、支えてあげなければならない存在は誰なのか?
それを考えた時、今の楽しい環境を捨ててでも、地元で今までの恩を返すために人生を捧げるべきなのか...

大人の恋愛って現実的で、でも同時にロマンチックでもなければ悲しいじゃないですか?
監督も役者陣もそのことを十二分に理解しているのか、彼らの紡ぐ言葉の一つ一つにはユーモアと、少しの痛みを伴った暖かさ、優しさが溢れていて、ついつい登場人物たちの細かい言動にまで心を動かされてしまうんです。

「おとな」って年を重ねれば自動的になるものじゃないけど、でも年を重ねると、自分の方には多くのものを背負うことになるのです。
今年一番「大人な」ラブロマンス映画「ブルックリン」は7月劇場公開です。



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  • 2017/05/30 (Tue) 16:28
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