映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃 ネタバレあり感想 母の愛は海より深く。

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オススメ度 ★★★



あらすじ


野原しんのすけを始めとする野原一家は、普段は騒がしくしていたって、夜になったら誰でも眠りにつくもの。今日も今日とて、眠りにつけば現実では叶うことのない甘美な夢の世界を楽しんでいた。

しかしその夢の世界で大事件が。家族全員の夢の中に一匹の巨大な魚が現れて、彼らのことを飲み込んでしまったのだ。

その衝撃でうなされながら目覚めた野原一家。
そういえば隣町では町の住民みんなが悪夢にうなされ、学校では学級閉鎖になったところもあったほどの大事件に発展してしまったというニュースがあったのだけど、何か関係しているのだろうか...

そんな時、しんのすけたちの幼稚園に謎めいた少女・サキ(川田妙子)が転入してくる。
周りの誰をも寄せ付けようとしない彼女は、どこか無理をしているようにも見えるのだった。

彼女が転入してきたのとほぼ同じタイミングで、春日部の街みんなの夢が繋がり、夢の中で不思議な世界が形成されるようになった。
その夢の世界は、子どもたちは誰もが自由に好きな夢を見ることができるが、大人たちはすぐに外の世界に放り出され、毎日悪夢にうなされるようになるという恐ろしい世界だった。

果たしてこの夢の世界は一体なんなのか? そしてサキの正体とは...

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感想


しんちゃんって、映画版になるとすげー感動的な話やりますよね。

その流れを作ったのは、私がまだピュアハートな子どもの頃に感動の名作だと話題になった「オトナ帝国の逆襲」や「アッパレ!戦国大合戦」の2作だと思うんですが、それ以降の映画は評判的にわりと低迷していた印象がありました。

しかし、それも一昨年の「逆襲のロボとーちゃん」がとんでもない高評価を受けたことで一気に持ち直しましたよね。
それを受けて昨年公開された「サボテン大襲撃」はしんちゃん映画史上最大のヒットとなったりと、再び追い風が吹き始めた感があります。

その流れの中で製作された今作「ユメミーワールド大突撃」は、「ロボとーちゃん」の高橋渉監督を再び迎え、児童虐待という社会的なテーマに踏み込んだ、(多分)大人が観てこそ泣ける意欲作となっている、はずなんですが...

なんだろう。私、この作品に関しては、素直に感動できなかったんですよねえ。

物語の始まりは、いつもの野原一家から。
一つの部屋で仲良く眠る彼らですが、夢の世界はそれぞれに個性的なもの。
ひろしは会社のCEO(ずいぶん現代的な呼び方だな)、しんちゃんはななこお姉さん(松嶋菜々子って今となっては懐かしいよね)にエッチに耳かきしてもらってたりと、男どもは願望がわかりやすくていいですねえ。

極め付けはみさえ。彼女の夢に出てくるのが、なんと城咲仁っていう。
すげー懐かしいな! このギャグが一番笑ったわ。私以上くらいの世代の大人は爆笑だったんじゃないでしょうか。レイトショーで観に行った回では、会場の大人たちからけっこうな笑いが起きてましたね。

これ以外のギャグも、いつも以上に年齢層高めの人々からの笑いを誘うものが多かったです。下ネタはいつも以上にえげつなかったし、「バクはバクでも大和田獏」っていうギャグ、多分大人にしかわからないでしょ。ていうかあそこは大人たちも冷めてましたよ。大和田獏に出てもらってるからには尺を稼がないとなのはわかりますが、いくらなんでも長いんですよ!
とにかく明るい安村さんのギャグは面白かったですけどね。それじゃ安心できねーよ! っていう。一人で爆笑しちゃいました。

ギャグシーンはいつも以上にヒットアンドミス感が強かったです。特に子どもたちが笑えるシーン、わりと少なかったんじゃない?

そんなこんなでめいめい楽しい夢の世界を楽しんでした野原一家でしたが、イケないお楽しみの時間にも突如終わりが訪れます。
なんと彼ら全員の夢の中に巨大な魚が現れ、みんなを丸飲みにしてしまったのです!

突然訪れた悪夢にうなされて目覚めた野原一家。
これをきっかけに、春日部の町に住む人々の夢の世界が一つにつながった「ユメミーワールド」という世界が形成されるのですが...

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それと同じタイミングで、しんのすけたちの通う幼稚園に謎の転入生・サキ(川田妙子)がやってきます。
「私の前でおバカなマネしないで!」とはっきりと言い放ちながら、幼稚園の子どもたちに暴力を振るったりするサキちゃんですが、なんだか無理をしているみたいで、どこか寂しそう...

なんで彼女は、あんなに頑張って周りの人間を寄せ付けないようにしているんでしょう?
そこには、彼女の家庭事情が関係していそうです。サキのパパ・夢彦さん(安田顕)はなんだか気難しそうな人で、なぜだかサキちゃんにも「友達は作らないほうがいい」なんて厳しく言いつけてるみたいだし...

ここからのお話は、サキちゃんと夢彦さんの親子関係を主軸として、サキちゃんの凍てついた心を悪夢から解放するべく、いつもの春日部防衛隊のみんなが奮闘するという流れで進んでいきます。

夢彦さんはサキちゃんのことを救おうと必死になるあまり、周りの人間のことどころか、結果的にサキちゃんの本当の気持ちをも無視してしまっていたという描写がちょっと生々しくてよかったですね。

特に最序盤に出てくる朝食のシーン。食卓に無造作に散らかった缶ジュースとポテトチップスの数々を前に、黒焦げになったトーストをかじりながら、浮かない表情で「おいしいよ、パパ」と必死に言葉を絞り出すサキちゃんの姿に心が痛みました。

夢彦さんは決して彼女を傷つけたり、つらい思いをさせようと思ってやっているんじゃないけど、端から見たらこれは一種の虐待とも取れるよね...という微妙で繊細なラインを、絶妙なリアルさで描いていたのは素晴らしいなあと思いました。が!

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それ以降の展開には色々と雑さが目立ち、「結局なにが言いたかったの?」というクエスチョンマークが頭に浮かびすぎて、ラストの感動的な展開にもあまり感情移入できなかったのが無念です。

そもそも私、同監督での「ロボとーちゃん」にもノれなかった人なので、今回も色々考えすぎちゃって素直に感動できなかったんですよ。
というのも、「この物語の真相はこういうことだったんですよー!」と判明するまでは面白いのに、そこからの展開がどちらもイマイチ踏み込めていない気がして。

例えば今作では、ユメミーワールドにおいては「子どもの方が大人よりも自由で大きな夢を見られる」という設定があって、みさえとひろしはそれを逆手にとって、子どもの頃の「ピュアハート」を取り戻して戦うぞ! っていうシーンがあるんですが、
まずは「なんで大人は小さくて純粋な夢を見られないの?」っていう部分に対する言及がゼロだし、しかも子どもっぽい言葉遣いと振る舞いをしてれば夢は大きくなれるって、設定が雑すぎないですか。

しかもみさえとひろしの変身した姿とか、結構なスベり具合だったと思うんですが。笑ってないの私だけかと思って思わず劇場を見渡したら、ほとんどみんな笑ってなかったぞ。
さらに残念なのは、この映画、笑えるギャグより笑えないギャグの方が圧倒的に尺が長い! もっとえげつない下ネタのシーンに時間を使ってくれればいいのにい! (違)

あと、最も重要かつ残念だったのは、サキちゃんのママに関してですかね。
作品の根幹に関わる部分なので詳しい言及は避けますが、ラストにちゃんと伏線回収はあるものの、あれじゃあママが、暴力を振るった後に憑き物が落ちたように優しくなる虐待ママだったのかもと勘違いしちゃう子どもたちもいるんじゃないですかね。

ていうか私、ラストのシーンで「彼女」が登場した時点で、「ああ、ママの暴力はサキちゃんの罪の意識が創り出した妄想だったのか...」と納得してたのに、最後のみさえの「子どもたちにはわかんないでしょうけどね!」の流れでまたわかんなくなっちゃいました。えっ、やっぱ結局暴力ママだったのはそうなの!? みたいな。

もうちょっと、サキちゃんとママのいい思い出に関しての回想シーンを突っ込むと話が整理されて、感情移入もしやすかったような気がするんですが。

その辺を微妙に曖昧にして考える余地を与えてくれたってことなのかもしれませんが、ラストにあんなにわかりやすい泣かせのシーンを持ってきてるのに、その直前でまた話を複雑にするってどうなのかしら。私は感動的なシーンにつながる部分はもっと単純でいいと思っちゃう派の人間なので、あのラストシーンにはあまりノれなかったですね、すみません。

ただ、どこを切ってもなかなかに面白い映画ではあると思いますし、私のように邪念に満ち溢れた汚ねえ顔のおっさんでない限りは、深い親子の愛情に感動できる作品となっているのではないでしょうか。

私? 私は...まあ、まあでしたかね。やっぱり顔が汚いからか。そういうことか。



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