脳内ポイズンベリー 感想

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オススメ度: ★★★★☆

あらすじ:

携帯小説家の櫻井いちこ(真木よう子)は,飲み会で同席して以降興味を惹かれる年下の早乙女(古川雄輝)と偶然再会。

声を掛けるか否か、彼女の脳内ではポジティブ担当の石橋(神木隆之介),ネガティブ担当の池田(吉田羊),衝動担当の(ハトコ),記憶担当の岸さん(浅野和之),そして理性担当で議長の吉田(西島秀俊)という5人のメンバーが会議を繰り広げ,結果,早乙女を食事に誘うという結論に。その後交際に至るも,双方の誤解や彼の元恋人の登場などで疲れ果てたいちこ。

そんな折,いちこの携帯小説を本にして売り出そうという話が進んでいた。
その担当の編集者,越智(成河)という優しい年上男性からもアプローチをかけられるいちこだったが...

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しっかり者の年上男とアーティスティックな年下フリーター男の間で揺れる女性の脳の中で繰り広げられるドタバタコメディ...なんて聞いた瞬間に,「ああ,死ぬほどくだらない,甘々でチープなラブコメか...」と観る前から期待値はどん底にあった訳ですが,

ところがどっこい。
「失恋ショコラティエ」などで知られる水城せとなによる原作を実写化した本作は,笑って泣いて,そして最後には自分の生き方についても深く考えさせてくれるような,
一風変わった話なのになぜか共感できる,まさにいい映画のお手本のような作品となっています。

まず,現実を生きるいちこの姿と,脳内会議が並行して進む物語の描き方が見事。
人から見れば大した事件でも何でもないことでも当人の頭の中は大騒ぎなんだという対比がテンポ良く,そして面白おかしく描かれており,観ていて退屈してしまう瞬間がありません。

本作の中では謎のままで終わってしまう伏線が多々ありますが,それが人間には自分の感情や理屈では説明のできないことがあるということであったり,また恋愛の中でも,相手にも自分の知らない過去があるという暗示としての役割を果たしていてむしろグッド。

そして無視できないのは才能に溢れた俳優たちによる,これ以上を望めないほどの最高の演技。
西島秀俊や吉田羊を含む実力派俳優たちが演じる脳内会議メンバーは,コメディでも決してオーバーアクトになりすぎない自然な演技がより大きな笑いと感動を呼んでいます。

中でも主演の真木よう子は,いつものように文句のつけようのない実力を見せつけてくれています。

今作の一つだけ惜しいところが,性格がそれぞれ極端に異なった脳内メンバーがいちこの言動をコントロールしているという設定のために,いちこの言動や性格に一貫性が欠けてしまっているという点なのですが,
そんなシナリオの欠陥も物ともしない見事なコメディエンヌぶりで,櫻井いちこというキャラクターを愛らしく,そして親しみやすい等身大のヒロインに仕立てあげているのはさすがとしか言いようがありません。

また,「日本にこんなにお洒落な場所があったのか!」と思わず感心してしまうようなスタイリッシュなロケーション選びも,程よく非日常感を演出してくれていて素晴らしい。

大笑いできるコメディであり,ロマンティックなラブロマンスでもあり,そして自分の人生と重ねて考えることのできるヒューマンドラマでもあるこの映画は,誰がどんな視点で観ても満足して映画館を後にできるであろう秀作です。

私自身,観る前は正直こういう映画のことを内心バカにしていたりしたものですが,この映画を観てすっかり考えが変わってしまいました。
予告編でも言及されている,「大事になのは誰と一緒にいる自分が好きなのかということ」というメッセージには素直に感動して涙を流している自分に気づいたときは驚いたし。

「少女漫画が原作なんて,くだらないに決まってる」と食わず嫌いしている方にこそオススメです!

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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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