レヴェナント: 蘇えりし者 (The Revenant) ネタバレあり感想 世界は残酷。

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オススメ度 ★★★★☆



あらすじ


アメリカ西部の原野。ハンターの集団が野営をしていると、そこに突如インディアンたちが襲撃してくる。
多くの仲間を失った彼らはボートに逃げ込み避難した。

しかし仲間内でも手練れのハンター、ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、船を捨てて山中を徒歩で移動することを提案。

彼らのリーダーであるアンドリュー・ヘンリー(ドーナル・グリーソン)はグラスの意見に賛成するが、ベテランハンターのジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)を含む数名はこれに反対。
結果として、グラスの意見が採用され山中を行くこととなるも、フィッツジェラルドはグラスへの怒りを募らせていく。

山中での狩猟の最中、グラスに近寄る一つの大きな影が。
それは子連れの巨大な熊。その襲撃を受け、グラスは瀕死の重傷を負ってしまう。

グラスの治療のため、グラスとインディアンの妻の間にできた息子ホーク(フォレスト・グッドラック)とフィッツジェラルドがグラスの近くに残ることを志願するが、フィッツジェラルドはそれに乗じてグラスを殺害しようとする。

その現場を目撃したホークはフィッツジェラルドを止めようとするも、返り討ちにあって殺害されてしまう。

その後、かろうじて死のふちから生還したグラスは、息子を殺害したフィッツジェラルドへの復讐を誓うのだった...

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感想


「世界は 残酷なんだから」
とは某漫画の名台詞の一つですが、今作「レヴェナント: 蘇りし者」以上にその事実を突き付けてくる映画もないことでしょう。

「バベル」や「バードマン」でその斬新でアーティスティックな感性をこれでもかというほどに見せつけてくれたアレハンドロ・イニャリトゥ監督が贈る最新作は、映画の登場人物だけでなくキャスト陣までをとことんいじめ抜き、1820年代の過酷なアメリカ西部に生きる人々の人生をこれ以上なく生々しく描き出した、156分間の地獄を味わえる極限サバイバルドラマとなっています。

舞台は1823年のアメリカ西部。
実際に存在したとされる罠猟師のヒュー・グラスがクマに襲われ、仲間に見捨てられながらも奇跡の生還を果たしたという伝説を映画化したのがこの「レヴェナント」なんだとか。
"Revenant"は日本語に訳すると「帰ってきたもの」という意味なので、邦題もぴったりですね。

これだけ聞くと、死地に希望を見出したという、なんだか希望に満ちたお話に聞こえるじゃないですか?

しかしそれも、イニャリトゥ監督の手にかかれば、なんとも救いのない話へと姿を変えてしまうのです。

雪に覆われた山の中、案内人としてインディアンの妻との間に生まれた息子・ホーク(フォレスト・グッドラック)と共に参加していたグラスを始めとするハンターの集団は静かに野営をしていました。

そこに突如現れたインディアンたちによって、彼らの運命は大きく動き始めます。

弓矢を使って正確にハンターたちを一人一人仕留めていくインディアンたち。
このままでは全滅してしまうと踏んだグラスたちは、船に乗ってひとまず逃げることを選択します。

この戦闘シーンがまた素晴らしいんですよ。

全編が一本の長回しのように見えるという斬新すぎる映像作りで世界をアッと言わせた前作「バードマン」に引き続いて撮影監督を担当したエマニュエル・ルベツキ監督がお得意の長回し風映像を駆使し、
一人がやられたらまた次のキャラクターへと、視点となるキャラクターを次々と変えながらノンストップに続く地獄絵図をどこか軽やかに、でもどこまでもヘビーで残酷に描いた映像にまず引き込まれてしまいます。

ルベツキの天才的な映像センスは最初から最後まで光っていて、まるで登場人物たち、ひいてはそれを演じる役者陣の苦しみが私たちの体にも伝わってくるような生々しさ。

俳優陣の中には、今作の撮影が生き地獄レベルだったと語る人もいるらしいのですが、この映像を見ればそれも大納得です。そりゃあここまで鬼気迫る雰囲気も出るよなあ...

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命からがら、ボートでボートに乗ってひとまず難を逃れたグラスたち。
しかし生存者も残りわずかとなってしまった今、これからどうするか?

グラスは船を捨てて徒歩で山中を旅することを提案。
旅なれたグラスの意見を信用したリーダーのヘンリー(ドーナル・グリーソン)は、仲間たち全員で船を捨てることを決断します。

中には、当然そんな危険な意見に反対する人もいました。
それがベテランハンターのフィッツジェラルド(トム・ハーディ)
もともとインディアンの息子を引き連れたグラスのことをよく思っていなかったフィッツジェラルドの怒りはここで爆発。

グラスに食ってかかるフィッツジェラルドでしたが、そのやり取りを見ていたヘンリーが制止に入ったことでなんとかその場は収まった、のですが...

その直後に事件は起きました。
狩りをするために森に入ったグラスは、なんとその森をテリトリーとしていたハイイログマに襲われて瀕死のけがを負ってしまったのです!

このシーンの迫力ったらないですよ。頭がぶっ飛びそうになりましたね。
だって冷静に考えてみてくださいよ。このクマ、本物なわけないじゃないですか。CGですよ。
つまりディカプリオはCG相手に一人芝居をしているわけです。なのに! なぜ! 観ているこっちまで体全体に痛みを感じるのですか!

クマがグラスを地面に叩きつける時、彼の骨が折れる音が超リアルに聞こえてくるし、ディカプリオの叫び声一つ一つの本気度も段違いなんですよ。

結構な尺を割いたシーンなんですが、長さを感じさせない緊迫感がそこにはあります。このシーンを見るためだけでも1,800円払って劇場に行く価値はある! と思えるシーンですね。

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仲間たちが気付いて駆けつけた時にはほぼ手遅れ。まさに「虫の息」だった彼の手当てと、もし最悪必要になった時には彼を手厚く葬ってやるようにと、ヘンリーはフィッツジェラルドと、若きハンターのジム・ブリッジャー(ウィル・ポールター)、そして実の息子であるホークがグラスと一緒に残ることを命じられました。

でも、グラスとその息子を憎んでいるフィッツジェラルドが、まともに彼の面倒を見ると思いますか?
んなわきゃーないですよね。

ヘンリー達が去った後、フィッツジェラルドはこの機会を利用し、無抵抗のグラスを殺害しようとします。
しかしそこに駆けつけたホークが抵抗したことによって、またも一命を取り留めたグラス。けれど、その時の闘いによって、ホークの方が殺されてしまいます。

昨年話題となった「マッド・マックス」ではヒーロー役だったトム・ハーディですが、今作での悪役っぷりもまた似合ってます。
なんでこいつこんなに血も涙もないんだよ! こいつにはきっちり復讐してやらないと!

フィッツジェラルドへの復讐心だけを胸に、グラスは再び立ち上がります。
一つの強い思いがあれば、人はこんなにも生きることに執着できるものなのでしょうか。
「復讐」というネガティブな感情に突き動かされて進む彼の向かう先に待っているものは一体なんなのか?

今作でようやくオスカーを受賞したディカプリオの演技はまさしく「アカデミー賞もの」。
今作での彼の台詞は多くないし、そのうちのほとんどだってうめき声だったりするのですが、それがむしろ極限状態にある人間の様子をこれ以上ないほど繊細に、でも力強く描き出してくれているんです。

彼の演技そのものは素晴らしい。本当に素晴らしくて、これを観るために劇場に来るっていう方も多いのだとは思うんですが、
何が一番素晴らしいのかって、人気も実力も世界トップレベルの彼が、未だここまで体を張って新しいことに挑戦し続けていること。
その情熱こそ、一番見逃しちゃあいけないものなんじゃないでしょうかね。



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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