ズートピア (Zootopia) ネタバレあり感想 生きることは、挑戦だ。

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オススメ度 ★★★★★



あらすじ


かつて、動物たちは肉食動物と草食動物の世界に分かれ、肉食動物はその本能に従って草食動物を食らって生きていた。

生物学的な本能のために分かり合えないと思われていた2つの種族だが、現代の世界には、肉食動物と草食動物が倫理に従って共存する、まさに楽園のような都市が存在した。

それがズートピア

郊外に暮らすウサギのジュディ(ジェニファー・グッドウィン)は世界を良くしたいという夢の元、将来はズートピアで警官になることを目標として日々努力を重ねている。

しかし、体の小さなウサギは警官には不向きだという偏見が横行し、ジュディの両親は子どもの頃から「もっと安定したウサギ農家をやりなさい」と夢に反対してくるし、警察学校に入っても、鬼のような教官からウサギの自分がいかに警官に向いていないのかを叩きつけられる辛い日々が続いた。

しかしジュディは諦めることなく必死の努力を続け、なんと警察学校を首席で卒業。
史上初のウサギ警官として、ズートピアの中枢にある警察署に配属されたのだ!

そして迎えた配属初日。
どんな難事件でも解決してやろうと意気込んでいたジュディと、ゾウやサイなど体が大きく力の強そうな同僚たちに伝えられたのはあまりにも衝撃的な事件だった。

なんとここ最近ズートピアでは、14名もの失踪者が出ているのだとか。しかし彼らの消息は未だつかめていない。
これは大事件! ここは警察学校を首席で卒業した私の出番だと気合を入れたジュディだったが、彼女に任された仕事は違反駐車の切符切りの任務。

ここでも偏見によって重い仕事から外されてしまったジュディだが、彼女はめげない。
午前中に200枚の違反切符を切ってやろうと精を出していたその時、アイスクリーム屋さんで困った様子のキツネ・ニック(ジェイソン・ベイトマン)と出会って...

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感想


ディズニーには甘々でロマンティックなだけじゃなく、社会派で挑戦的な作品なんて作れっこないと思ってらっしゃいませんか?

みなさん、それは「偏見」ってやつです。
「〇〇の会社の映画にしては〜」とか「俳優の〇〇が出てるわりには〜」とか、私もいっつもそういう風に考えちゃってたんですけど、そういうのってほんとは全部関係ないんですよね。「〇〇が作ったから〜」じゃなく、それぞれ個々の魅力を評価していかなければいけないと思うんですよ。

それって映画の話だけじゃなく、私たち一人一人の人生、いや、もう人類全体の問題なんじゃないかと思うんです。

...っていうのは全部、ディズニーの最新作
「ズートピア」
を観て学んだことなんですけどね。

人種・宗教・そして個々の人間にできること...私たちが生きていく上で嫌でもつきまとってくる「差別」「偏見」の実態をこんなにも生々しく描きつつも、それらを希望に満ちたメッセージに変換できた映画って、今までになかったんじゃないでしょうか。

って言っちゃうと、なんだか説教くさい内容に思えちゃうかもしれないですがご安心を。
「ボルト」「塔の上のラプンツェル」のバイロン・ハワード監督と「シュガー・ラッシュ」のリッチ・ムーア監督が共同監督を務めた今作ですもん。何も考えずに楽しめるエンタメ性だって極上のものに決まっているじゃないですか!

まずからして、「ズートピア」ってなんなんでしょうか?
名前の通り「Zoo(動物園)」と「Utopia(楽園)」を掛け合わせた「動物たちの楽園」ってことだと思うんですけど、何がどうなってたら楽園と言えるんでしょうね?

かつての動物界において、肉食動物と草食動物は決して相容れない存在でした。
肉食動物は本能のままに草食動物たちを喰らい、喰われる側の草食動物たちは恐怖に怯えるだけ...

そんなんだから、世界は肉食動物の世界と草食動物の世界に分かれていたみたいなんです。
結局分かり合えない、傷つく者がいるなら距離を保つしかないから。

でも、そんな世界の常識を覆す「楽園」のような場所があったのです!
それが肉食動物も草食動物も、体の大きさも関係なく、様々な種類の動物たちが規律と倫理に基づいて共存する文明都市・ズートピアというわけですね。

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今作の主人公は、田舎の小さな町に暮らすウサギの女の子ジュディ・ホップス(ジェニファー・グッドウィン)
彼女の将来の夢は、世界を肉食動物も草食動物も関係なく平和に暮らせる、より良い場所にするため警察官になること。

うーん、いい夢じゃないですか! 頑張ってくださいよ!
...って私たちの誰もが思うことでしょうが、それがなかなかうまくいかないんですよ。

っていうのは、体の小さな草食動物であるウサギは、腕っぷしの強さが要求される警官の仕事には向いていないと思われていたから。誰から思われていたかって? 世界のみんなからですよ!
現に今まで警官になったウサギは歴史上一匹たりともいなかったし、ジュディの両親と225匹の兄妹たちは、生まれ育った土地で安定した生活をするためにニンジン農家をやっています。

「挑戦しなければ失敗することもないさ」と言う両親に対して、「私は挑戦する人なの」というジュディの姿がなんと逞しく見えることか。
彼女ほど強い意志を持つウサギなら、夢だって引き寄せられるに決まってます。

大きくなった彼女は念願だった警察学校に入学します。
周りの生徒達や教官から「向いてない」「辞めろ」ときつい言葉を浴びせられながらも、それを逆にバネにして誰よりも努力を積んだ彼女は、警察学校を首席で卒業するのです!

ズートピアの市長であり、ジュディの座右の銘かつズートピア全体のスローガンでもある
「誰でも何にでもなれる」
という言葉を生み出したライオンでもあるライオンハート市長(J.K.シモンズ)から直々の賞賛を受けるジュディ。

自分の努力で偏見を乗り越えて見せた彼女の姿がとんでもなく感動的で、もうここを映画のクライマックスにしちゃってもいいんじゃない!? と言いたくなるほどなんですが、まだここまでで上映時間の1/4も使ってないんですよ。濃い! 濃いなあ!

そうかそうか、これは彼女が差別と偏見を乗り越えて、一人前の警察官になるまでを描いたサクセスストーリーなんだな!

...と思うじゃないですか? いやいやなんのなんの。
この作品、ここからどんどん話が深くなっていくのですよ。

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市長直々の命令で、ズートピアの中枢にある最大の警察署に配属となったジュディは、生まれ育った田舎の町を出て、ズートピアでの一人暮らしを始めることとなります。

肉食動物と草食動物が共存するズートピアでの新たな生活に期待に胸躍らせるジュディですが...
私、今のところ、ズートピアでは様々な動物たちが「共存」しているとは言いましたけど、あくまで「平和に」とは言ってなかったですよね?

そうなんです。ズートピアは確かに肉食動物も草食動物も倫理に沿った規律に従って動いている都市ではあるけれども、決して完璧ではないんです。

でもここにも、一つだけすでに完璧なものがあります。
映像技術において常に世界の最先端を行くディズニーが生み出す、最高にして超完璧なアニメーションですね。

列車に乗ってズートピアへ向かうジュディの眼前に広がるのは、今までに見たことがなかったほどに広大で、不思議に満ちていて、何よりも美しいんですよ。観客である我々の眼前にも、まるでズートピアの世界が広がっていくようではないですか。
どんなにファンタジックな世界観を売りにした映画でも、ここまで本気で「行ってみたい」と思わされた映画は他にありませんでしたね。

ついにやってきた夢の土地、ズートピア!
狭くて汚くて壁の薄いおんぼろアパートの部屋だって、今の彼女には夢が叶う魔法の部屋に思えるくらいなんです。

上京組としてはわかる! わかるぞ、この気持ち!
生まれた土地を離れて新たな自分と出逢おうっていう時のこの高揚感、たまらないんですよねぇ...ついついジュディと一緒になって、明日の着任式が楽しみだなあ、なんて思ったり。

そして迎えた着任の日!
さあどんな難事件だって、このジュディが解決してみせよう!と意気込んで警察署に向かったジュディでしたが、そこに待っていたのは、またしても差別と偏見によって生み出された辛い仕打ちだったのです。

現在ズートピアでは謎の、しかし絶対に放っておけない大事件が起きていました。
なんと14匹もの動物たちが突如失踪し、その手がかりが全くつかめていないのだとか。

その捜査にあたるのは、もちろん街の平和を守る存在である警察!
よーし、私はどのエリアの捜査を任せてもらえるんだろうと期待していたジュディに与えられた任務は...

なんと、失踪事件の捜査ではなく、駐車違反の切符切り!
警察署内での最高権力者であるボゴ署長(イドリス・エルバ。去年の「ビースト・オブ・ノーネーション」でオスカーノミネートは間違いないと思ってたんですけどね...)は、体が小さいからという理由だけでジュディの実力を認めないどころか、警官をやめろとまで迫ってくるのです。

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最初はしょげるジュディでしたが、違反切符きりだって立派な仕事。
午前中だけで200枚の切符を切って、最高の成績を上げてやるわと、切符きりの仕事に精を出します。

ここの描写がまた、たまらなく皮肉っぽくて素晴らしいんです。
この時切符を切っているジュディの気持ちって、いったいどんな気持ちなんでしょうね?

交通マナーを良くして「世の中を良くするために」やっているんでしょうか。
それとももっと難しくて責任のある仕事につくべく、成績を上げたくてやっているんでしょうか?

少なくとも、彼女の仕事は民間人からは感謝されていません。
「たった30秒過ぎただけじゃない!」「楽しいか?」などひどい言葉が浴びせられます。

みなさんにも経験ありませんか? 「こんなくらいの違反でわざわざ呼び止められるなんて...」って思ったこと。
もし自分が、知らない人の「ちょっとした」違反のせいで迷惑を被ったら死ぬほど文句を言うし、場合によっては訴えたりもするのにね。
誰しも自分の都合のいい方向に物事が進まないと、自分が悪くたって相手を責めちゃったりするものなんですよね。

そのあたりの不公平で自分勝手な世界の現状までを細かく描写しているあたりもこの映画の魅力といえると思います。

そんな周囲からの言葉で、自分の仕事の意義を見失いかけてしまったジュディの前に現れるのが、詐欺師のキツネ・ニック(ジェイソン・ベイトマン)です。

見た目通り、キツネという種族に対して周りの動物たちが抱く偏見に逆らうことなく、半ば諦めにも似た人生観を持ちながら詐欺師としての人生を歩んできたニックは、偏見に負けないように強く生きてきたジュディとは真逆の存在のように見えます。

そんな彼らはふとしたきっかけから、くだんの失踪事件の調査にあたることとなるのですが...

事件の間に明らかになることですが、実のところ2人の間にはとある大きな共通点があったのです。
それこそが2人を最高の親友にしていく大きなカギとなるのですが...

とにかくニックがイケメン!! チャーミングすぎ!!
普段はやる気のなさそ〜なニックなんですが、ふとした時に見せる優しさがたまらない! 要所要所で頼りになる発言でジュディを助けていく様がかっこよすぎ!

ああ〜、なんであんなにカッコカワイイんですか。地獄のミ◯ワとかが言ってるアレとは次元が違いますよ。
もうニックになら抱かれてもいい。いや、私を抱いてください(問題発言)

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彼らの他にも、ズートピアには個性にあふれた様々な動物たちが住んでいます。
ジュディみたいに偏見と戦わなくても、生まれ持った性格がすでに型にはまったものでない動物だってもちろんいるわけで。

例えば、お菓子が大好きでぽっちゃり、のんびり屋さんのチーターのベンジャミン・クロウハウザー(ネイト・トレンス)なんかはその典型ではないでしょうか。

肉食だから、草食だからという大きな枠だけで、一人一人の個性までを決めつけることはできないんですよ。
人間の世界でも同じじゃないでしょうか。どこの国の人はみんなマナーが悪い、育ちが悪いとか、この宗教を信仰している人たちはみんな破滅的な思想を持っているから危険だとか...

今まで実際に他の国、宗教の人たちと実際に触れ合ったこともないのに、ある程度の決め付けを持って、偏見を前提にして周囲の世界を見ていないでしょうか?

そして、「私は偏見に負けない!」と思っている方だって、心の奥底では、潜在意識では、他人のことを一つの集団に属するだけの一要素で、本質では悪いものなんだと考えてしまっていることって、ないでしょうか。

物語を通して差別や偏見と戦い続けているヒロインであるジュディだって、実はとある種族に対する偏見を捨てきれていなかった...
そして彼女の悪気のない発言がニックとの友情、そしてズートピア全体を崩壊へと導いてしまうなんて、誰が想像したでしょうか?

こんな一見悲壮感に満ち溢れた現実的な問題提起を、見ている私達だって「誰でも何にでもなれるんだ」という希望に満ちたメッセージへと変換していくプロット運びがとにかく見事で、観ている間じゅうずーっと涙がとめどなく流れ出てきてしまうんです。5回泣いたわ。

誰もが夢見る大都会。
様々な人種が共存しているけれど、なかなか偏見を捨てられない不完全な世界。
でも、その中でも私たちは希望を持って生きていける。生まれた場所や肌や目の色、信じるものの違いに関わらず、一人の人間としての自分が目指すものを夢見たっていい。

こんなにも夢に満ち溢れた映画、私は他には知りません。
何度だって行きたくなる世界、それがこの映画にはありました。

今作「ズートピア」は大人も子どもも関係なく、とにかく全ての人に観に行ってもらいたい大傑作です。
来年のオスカー作品賞は、これで決まりかな? あ、オスカーの話なんて、まだちょっと早すぎました?



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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