マネーモンスター (Money Monster) ちょっとネタバレあり感想 誰を責めれば。

このエントリーをはてなブックマークに追加


awinsvdszndvfvsd.jpg

オススメ度 ★★★☆



あらすじ


「マネーモンスター」は平日週5で放送されている、全米で大人気の高視聴率財テク番組。

司会のリー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)の巧みな話術が人気の秘訣。的確な株価予想と軽妙なトーンで視聴者への助言を行っているが、これは情報番組ではなく、あくまでも娯楽番組だ。

今日もいつもの通り、リーは番組ディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)の指示などまったく聞かず、アドリブ全開で本番に望んでいる。

いつものショーが、いつものように終わっていく...誰もがそう思っていや矢先、スタジオに突如、拳銃を手にした男が乱入してくる。

カイル(ジャック・オコンネル)と名乗るその男性は、番組の株式情報によって財産を全て失くしたと憤慨し、全米が見ている中、番組の不正を暴き出してやろうと、リーを人質に番組をジャックする。

彼が全財産を失ったのは、IBISという会社の株を取り上げた3月6日金曜日の放送がきっかけなのだという。

リーが番組内で「銀行よりも安全だ」と言い切ったIBIS社は、今日の放送が行われるほんの少し前、なんと株式トレードシステムのアルゴリズムにバグが発生、株主に800億ドルもの損害を出してしまったのだ。

果たしてこの事件の行く末は...

adbvxvzabcdkv.jpg

感想


「金の切れ目が縁の切れ目」とよく耳にしますが、他人を見ても自分の行動を省みても、お金が絡むと人間は本性が出るなあ、って思うんですよ。

だって、お金以上に自分のために必死にならなくちゃいけないことってあります?
いくら「幸せはお金では計れない」とか言ってみたところで、結局はお金こそ私たちが毎日きつい仕事を我慢して働く理由であり、
私たちの生活の豊かさを数値化して表す手っ取り早い手段なわけじゃないですか?

大女優ジョディ・フォスターが監督を務めた今作「マネーモンスター」は、タイトル通りお金がテーマの作品。
全米で大人気の財テク番組を舞台にした作品ではありますが、これは教育番組ではありません。
お金というものを通して人間の集団心理や自己中心性などの内面を描いた、ドラマ性の高いスリラーに仕上がっています。

映画のタイトルにもなっている「マネーモンスター」は平日週5で放送されている、全米で大人気の財テク番組です。
的確な株式情報ももちろんですが、何よりの人気の秘訣は、司会のリー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)の巧みな話術。

番組ディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)も、「私たちはあくまで娯楽番組だから」と言っているなど、真剣で確実な儲け話を真面目に語る番組...というほどの責任を請け負った番組という認識で番組をやっているわけではないのです。

まあ、あくまでテレビ番組の情報を100%正確な儲け話だなんて思う人もいないでしょう。政府公認レベルとかじゃないんですし。
逆にテレビでやっている儲け話に寸分の狂いもないんだとしたら、この世は億万長者だらけじゃないですか!

sbvjansnczajsdsz.jpg

なーんて普通は思うじゃないですか?
ところが、この世には真にピュアな人間というのもいるもんで...

今日もいつも通り「マネーモンスター」の放送が始まり、ディレクターのパティ曰く「精神年齢7歳」の司会者リーは平常運転で台本を無視し続けて、いつものように番組が終わっていく...そう思っていたその瞬間、事件は起きました。

なんと銃を持った謎の男が番組に乱入してきて、リーにプラスチック爆弾付きのベストを着せたと思ったら、あっという間に番組をジャックしてしまったではありませんか!

カイル(ジャック・オコンネル)と名乗るその男性は、番組が流した株式情報を信じて投資をしたところ大損害を被ってしまったため、嘘の情報で金融をコントロールしている「マネーモンスター」という番組そのものと、何も考えずに適当なことを軽々しく口走り続けているリーに復讐...というか、彼が損害を受けた理由に対する答えを知るためにやってきたというのです。

出たよ出たよ。テレビの娯楽番組の情報を真に受けちゃって、損したからって「お前らのせいだ!」とかクレームつけてくるやつ。
いるんですよねー、あくまでも自己責任でやるべきことを、全部他人のせいに責任転嫁したがる人。

さてさてカイルくん、あなたはどれくらい損してこんな大事件を起こしちゃったわけ? と思いきや、事態は想像以上に深刻でございまして...

カイルくんが言うには、彼の人生を狂わせたのは、3月6日金曜日の放送回。
その時、他を圧倒する上り調子だったIBIS社の株式を取り上げたその回でリーは、
「IBIS社に投資するのは、銀行にお金を預けるよりも安全だ」
と言い切ったみたいなんですね。

しかしこのIBIS社、なんと本日(ジャック事件発生日)ちょうど、社の株式取引を司るアルゴリズムにバグが発生して、8億ドルというとんでもない損害を出してしまい、株主たちに甚大な損害を与えてしまったという大事件を起こしていたんです。

で、カイルくんは番組の情報を真に受けて、全財産である6万ドルを投資していたところ、本日全てが一瞬にして水の泡となってしまったことに恨みを抱いてジャック事件を起こした、ということみたいなんですが...

これって実際IBIS社のシステムに起因する事由であって、番組のせいではないじゃないですか?
だから正直テレビ番組に関わる人たちを襲うのは正直筋違いであって、リーたちも最初は自分たちの責任ではないことを主張したりとか、損をした人は大勢いるが「銃を持ってきたのは君だけだけどな」とカイルくんを皮肉ったりもしているんですが...

確かに、テレビの視聴者からしたら、自分が損をした大元の理由が投資先の失敗にあったとしても、自分がそこに投資をしようと思ったのは、「テレビの出演者がオススメしたから」なわけで、責めるべき対象はテレビ局になって、「お前らがあの会社が失敗した理由を調べて俺に説明してみせろ!」ってなっちゃうわけですね。

これってサービス業、特に販売業に従事している人はテレビ局側の気持ちに共感できるんじゃないでしょうか。販売業従事の私は超★感情移入しちゃいましたね。

qebuwgjvasdcacd.jpg

例えば販売している商品が、制作側の仕様変更になりました...てなったこととかをお客さんに説明すると、お客さんからすると販売店に「どういうつもりなんですか!?」って怒られるわけじゃないですか? でも、私たち(販売側)としては、「大元の仕様変更なので...」って私たちに責任はないことを主張したいわけで。

で、制作側に「お客さんが迷惑してるんでどうにかしてください!」っていうと、「我々も事情があってなんとも...販売店なんだからお客さんを納得させるのはそっちの責任でしょ」って言われるんですよ、だいたい。

こうやってみんながお互いに責任をなすりつけ合うから、結局みんなが損をしていくわけなんですけど、そういう時ってだいたい制作側は、お客さんに直接触れ合う機会がないから結構他人事で、お客さんに迷惑かけても知らんぷり。原因も特に開示する必要なんてないでしょー、みたいなことが多いと思うんです。

この作品も似たような感じで、IBIS社の広報担当であるダイアン・レスター(カトリーナ・バルフ)も最初は「会社のCEOがジュネーヴに出張中で、今はバグであるとしかわかりません」としか返せないんですよ。だって本当にわからないんだもん。で、本来説明責任があるCEOは海外出張中で電話もつながらない...こんなん困っちゃいますよね。

でも、この事件の原因を解明しないことには、全米を震撼させるような爆弾事件が現実のものとなってしまうかもしれない...
となったら、どんな手を使ったって原因を解明しなきゃいけないんです。責任がどこにあるとか言ってられないのですよ。

そこから、テレビ局は独自の情報網を使い、レスター女史はIBIS社の内部から全力で捜査に当たるわけですが...

この映画の面白いところは、全てがテレビの生放送中に起こっているという、リアルタイムで進んでいるという設定になっているところでしょうか。特に斬新な設定っていうわけでもないんですが、このことが事件の緊迫感を高めてくれていましたね。

しかし、今回のカイルくんの動機というか行動については共感できるかできないかが分かれてきそうです。
だって彼がIBIS社に投資した6万ドル、なんと彼のおばあちゃんが彼のために残してくれた遺産でして、
しかもカイルくんには奥さんもいて、あとちょっとで子どもも生まれてくるという超大事な時期だったんです。その6万ドルは、彼らが今後幸せな人生を歩む上で絶対に必要なお金だったわけで。

そんなお金を奥さんに無断で、しかも週5で放送しているテレビの娯楽番組の情報を真に受けて全額使い込んだ挙句、
損をしたらテレビ局に爆弾を持って乗り込んでくるって、どんなおバカや! どう考えたって、全部自分が悪いでしょ! これから父親として、自分以外の人生にも責任を持たなきゃいけない人間のすることとは思えないんですよ。

カイルくんを演じたジャック・オコンネル(「不屈の男 アンブロークン」の主演だった人です)が絶妙に考えの足りてなさそうな人をうまく演じてて素晴らしかったです。存在感で言えば、主演のジョージ・クルーニー/ジュリア・ロバーツのコンビにも負けてませんでした。

そんな彼が引き起こしたのが、「これって誰のせい」、自分以外に責任のありかを見つけ出すための、究極の責任のなすりつけ合い事件だったわけです。

観るときっと「自業自得」「責任」という言葉の意味を考えたくなる今作「マネーモンスター」、
金融に対する知識がなくとも楽しむことのできる、スリル満点のスリラーです! ぜひ劇場で!



関連記事
スポンサーサイト
Theme: 映画感想 - Genre: 映画

Comment

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

2016/06/20 (Mon) 15:56

ジョディー・フォスター、久々の監督作品である。個人的な印象だが、ジョディー・フォスターは映画界でのインテリ女性の最右翼であり、だからと言ってお高くとまっているとか、とっつきにくいとかいう印象は私にはなく(まあ、知人であるわけでもないからその辺の信憑性は確かめようもないが)、普通に感じの良いインテリ女性で応援したくなる。これまでの女優としての出演作品も「羊たちの沈黙」などアカデミー賞を受賞した...

ここなつ映画レビュー - http://tokokonats.exblog.jp/25718880