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シング・ストリート 未来へのうた (Sing Street) ネタバレあり感想 青春はダサくて、かっこいい。

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オススメ度 ★★★★☆



あらすじ


1985年のダブリン。
14歳の少年コナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)の家庭は危機を迎えていた。

父は失業して以来酒浸り。現在は母のパートタイムで得た収入が頼みの綱だが、それでも何かを切り詰めなければ家族で生活を続けることは困難だ。

そこで提案されたのが、末っ子であるコナーの教育費をカットすることから始めよう、ということだった。
公立校に転校することとなったコナーだったが、そこで待っていた現実は甘いものではない。

「雄々しくあれ」が校訓である男子校シング・ストリート(Synge Street CBS)ではそこかしこで喧嘩が起きており、新入りのコナーはいじめっ子から目をつけられて暴力を振るわれるようになる。
さらには「靴は黒に限る」という校則に気づかず茶色い靴を履いてきたコナーの姿を見たバクスター校長(ドン・ウィチャリー)から呼び出され、「黒い靴を用意するまでは毎朝ここに靴を預け、授業終わりに取りに来い」などと、まるでいじめのような扱いを受ける。

そんな彼の唯一の楽しみは、音楽に詳しい兄のブレンダン(ジャック・レイナー)と、ロックバンドのミュージックビデオを見ることだった。

そんなある日、学校のそばの住宅街で美しい少女ラフィナ(ルーシー・ボーイントン)を見掛けた彼は一目惚れしてしまう。

勢いで声をかけてしまった彼は、ラフィナの気をひくため、モデルを目指しているという彼女に「僕のバンドのPVに出ない?」と誘ってしまう。バンドなんて、やったこともないのに...

コナーは、学校で友人になったダーレン(ベン・キャロラン)の協力を得て、慌ててバンドを結成。
彼女の気に入るミュージックビデオを撮るためには、まずは曲がないと...

こうしてコナーのバンド活動がスタートしたのだった。

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感想


大人になって振り返ると、学生時代の自分の行動ってイタかったなーって思うこと、誰しもあるじゃないですか?

叶うはずのない夢とか語っちゃいながら、大人になった今なら恥ずかしくて絶対着られない服に憧れたり、まるで自分が世界の中心みたいにはしゃいで、将来のことなんかより目の前にある楽しいことに夢中になったり...

私自身、思い出しても恥ずかしいことばっかしてたし言ってたなあ、って思うんですが、それと同時に思うんですよね。
ああ、あの頃の人生ってすっごく楽しかったよなー、って。

誰にも青春って一度は与えられるもので、社会に放り出される前、まだ守られている期間だからこそむしろ自分のやりたいことを追及できたりとか。
まだまだ人生始まったばかりで、目に映るものすべてが新鮮に見える。だから青春ってキラキラしてるんだろうなって思ったり。

今や「音楽映画を撮らせるならこの人!」な存在になりつつあるジョン・カーニー監督の実体験に基づいて製作された
「シング・ストリート 未来へのうた」
は、そんな青春のキラキラ感、興奮と挫折と、何より希望がぎっしり詰まった作品となっています。

...と言いつつも、この物語はいきなり挫折からスタートします。
不況真っ盛りの1985年のダブリン。そこに暮らす14歳の少年コナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)の家庭は不況のあおりを受け、未曾有の危機を迎えていたのです。

父親は職を失って以来毎日酒浸り、家族の収入源は母親が週に3日通うパートタイムの仕事のみ。
家族が暮らしていくためには、なんとかして支出を減らさなければいけません。

そこで提案されたのは、コナーをカトリックの公立校に転校させ、学費を抑えること。
まじか! 父や現在無職の兄・ブレンダン(ジャック・レイナー)が職を探すよりも先に、末っ子を転校させんのか!
まあそれくらい人々を取り巻く環境が厳しかったということもあるのでしょう。

そんなコナーの楽しみと言えば、ブレンダンと一緒に、巷で流行しはじめた「ミュージックビデオ」を見ること。

ディラン・ディランやザ・キュアーなど懐かしの'80sロックバンドが画面上で生み出す、音楽と視覚的芸術のミックスは、まるで「未来」そのものを具現化して見ているかのようなのでした。

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コナーが転校することとなった男子校のシング・ストリート(Synge Street CBS)校(実在します)の校訓は「雄々しくあれ。」

初めて行ったその学校では、生徒たちは校庭で殴り合いの喧嘩をし、授業中にタバコを吸い、そして同じく男性の教師たちは授業中にポケットからウィスキーを飲んでいるという恐ろしい学校なのでした。自分、こんなとこに行かされたらすぐ発狂するわ。

そこでいじめっこに目をつけられて殴られるわ、
「靴は黒に限る」という校則を知らず茶色い靴を履いてきたがために校長のバクスター(ドン・ウィチャリー)からは目をつけられ、黒い靴を用意するまでは毎日靴下で生活することを強制されたりともう散々なのです。

しかし、そんなコナーの人生に一点の光が差し込みます。

学校の前にある住宅街、そこの一角に謎めいた少女が佇んでいました。

彼女の名はラフィナ(ルーシー・ボーイントン)
モデル志望の彼女はとっても大人びていて他とは違う雰囲気を醸しています。

すっかり一目惚れしてしまったコナーは彼女に近づくや、「バンドをやってるんだけど、ミュージックビデオに出てくれない?」なんてとんでもないことを口走ってしまいます。バンドなんてやったことないのに。

そこから急遽バンドを結成したコナーは、ラフィナとかっこいいMVを制作すべく、仲間たちと楽曲制作に励むのですが...

さすがはジョン・カーニー監督。私は'80sUKロックをリアルタイムで体験してきた世代ではないのですが、日本人の我々にも刺さるほど明快にキャッチーで、どことなくポップな雰囲気の楽曲たちがたまりません。リアルにMVを作ってたら流行ってるんだろうなあ、というものばかりです。

楽曲のリリックも、コナーが作詞をしているという設定だけあり、物語の流れに絶妙にマッチして、半ミュージカル風に仕上がっているのもまた魅力の一つ。

一見反体制的に見える、まさに「ロック」な曲はこういう日々への小さな不満が積み上がって生まれていくんだなあ...と思ったら、なんだか感慨深いですね。
特に今作はジョン・カーニー監督の実体験に基づいて(監督は自身の代表作「ONCE ダブリンの街角で」主演のグレン・ハンサードと一緒にThe Flamesというバンドをやってました)制作されたとあっては共感度も上がっちゃうってもんです。

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もともと持っていた才能を開花させ、キャッチーでヒット性の高い楽曲を制作、ラフィナとともに素人っぽいながらも独創的なMVを次々と制作していく様子が見ていて爽快です。
誰に見てもらうわけでもない。プロを目指すんじゃなく、自分たちがかっこいいと思う芸術を好きなようにやるっていうスタイルが、また青春っぽくて熱いじゃないですか。

コナー率いるバンド、シング・ストリート(Sing Street)の面々は見た目もだんだんとアーティストっぽく、学校にもメイクしてきちゃったりするんですよ。イタい! イタすぎる! でもこれこそが若さってやつですよ。皆さんにも経験あるでしょう? 周りから見たら変なことだけど、自分にとってはかっこいいことを周りに見える場所で実践したくなった経験。

大人になったら絶対やろうと思えないけど、若かった頃は恐れ知らずにできてたことって、スッゲーダサいけど、その頃の自分ってスッゲーかっこよかったよな、って思うんです。
今作はそんな輝きに満ちた作品だなあ、と。

でも、私たち全員がコナーみたく才能に溢れて芸術的な感性を持っているわけではないじゃないですか?
若い頃には夢中になれることがあっても、いろんな要因が積み重なって夢破れ、才能ある人たちを周りから羨んで眺めているしかない人だっているわけで。

そんな私たちの気持ちを代弁してくれているのがコナーの兄・ブレンダンです。

家庭の事情か大学を中退し、今は無職、家に引きこもって音楽を聴きながらマリファナでハイになるのが日課の彼は、
コナーに自分を育ててきてくれた音楽を紹介してバンドの音楽に活かせるよう教えたり、最後にはラフィナとともに、ツテもないのに外国であるイギリスへ渡ろうとするコナーを手伝ったり、まるで自分の夢を彼に託そうとしているかのようなのです。

私たちが出会ったこともないアーティストやスポーツ選手だったりの有名人に入れ込む理由って、やっぱりここが一番大きいんじゃないでしょうか。自分がかなえられなかった夢を、誰かに託したいという思い。

ラフィナとともに旅立ったコナーを見送った後にブレンダンが掲げた大きなガッツポーズは、私たちみんなの心の中の喜びの結晶だと思います。
才能があって、自分にはなかった行動力と勇気のある人間が、自分がかなえられなかった夢を叶えていく姿を近くで見ていられることの嬉しさ。
まだまだ若く未来のある人たち、若い頃に目指していた夢に敗れてしまった人たち。
みんなの夢がこの映画には詰まってる! だから2時間もの間、画面に目を釘付けにされてしまうんです。

2016年、世界で一番熱い音楽映画を皆さんもぜひ!



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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