アンダー・ザ・スキン 種の捕食 (Under the Skin) 感想

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オススメ度: ★★★★☆

あらすじ:

舞台は冬のスコットランド。その妖艶な美貌に不釣り合いな白いバンを運転しながら,道に迷ったふりをして道行く男たちを誘惑する謎の女(スカーレット・ヨハンソン)がいた。

彼女の家に連れ込まれた男たちは皆,真っ暗な謎のぬかるみに引き込まれて出てくることができなくなり,最後には皮一枚を残して肉体の全てを抜き取られてしまう。

彼女は一体何者なのか...?

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まず最初に言ってしまうと,この映画を観た7割の人は退屈すぎて眠ってしまう,または理解不能すぎて途中で観るのをやめてしまうであろう作品です。
やっぱり映画を観るなら派手なアクションとか,ヒューマンドラマものならなんらかの大きな事件とかを中心にして起伏のある物語を持って欲しいって思うのも自然なことだと思います。そう考えるとこの映画,特に何が起こるわけでもなく,セリフもほとんどないしただただ意味不明な映像が流れ続けて...ってなんだこれつまらん!ってなっちゃうのも不思議なこととは思いません。

ただ,それだけの理由でこの映画をダメ認定してしまうのは本当にもったいない!
なんとなく雰囲気にまかせて最後まで観ていたら何かが自分の中で開けてきて,観終わったあともこの映画のことがずっと頭の中を回り続けて止まらない...
観た人の頭にこびりついて離れない,今世紀最大の「なんじゃこりゃ」映画がこの作品なのです。

ストーリー簡単に言うとスカーレット・ヨハンソン(以下スカヨハ)は本当は地球人を捕食しに来たエイリアンでした,っていうのがオチなんですけど,個人的にはポスターとか邦題で盛大にネタバレしてるのはいかがなものかと思いますね。
作中ではスカヨハが宇宙人だっていうことが明示されることはないし,確かにちゃんとどこかで解説しとかないと多くの人が「?」ってなってしまうというのはわかるんですけど。

でも,この作品のタイトルにもなっている「アンダー・ザ・スキン」の意味がハッキリと見えるのって,物語のあるところでスカヨハの皮を剥いだ中にいる本当の姿があらわになるシーンだと思いますし,
それがあってこそ,この映画の発する「人間は表面上で物事を判断しすぎている」というメッセージが意味をなしてくるのに。
最初っからスカヨハがエイリアンだって知った上で観るのと,登場人物たちの事前情報を知らずに観るのでは,この作品に対する感想はかなり変わってくるはずなので,作品の素晴らしさを結果的に損なう形になっている宣伝には少しがっかりかも。

しかし,ミュージックビデオ畑出身のジョナサン・グレイザー監督による映像世界はとにかく意識を奪われるような美しさと不気味さに満ちていて本当に素晴らしいし,劇中に流れ続ける不穏なBGMも,得体の知れない恐怖感を煽っていてグッド。

そしてスカヨハが街行く男性たちに車から声をかけるシーンは,なんと本当の一般市民にスカヨハが声をかけ,その場面を車の中に仕掛けた隠しカメラで撮影していたというから驚きです。だから男性たちのリアクションがリアルで演技っぽくなかったんだなあと感心させられます。

ここまでセリフを減らして物語を語ろうとするのはとても勇気のいる決断だったことは想像に難くないですが,その結果はこれまでに見たことがないほどに神秘的で,観る者の心に今まで味わったことのない不思議な感覚を残してくれる作品となっています。

観始めはただただわけわからないと思ってしまいがちですが,とりあえず雰囲気にまかせて最後まで観てみましょう。そうすれば,何かが見えてくるかもしれません...

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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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