ソング・オブ・ザ・シー 海のうた (Song of the Sea) ネタバレあり感想 受け入れてく、全部。

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オススメ度 ★★★★☆



あらすじ


静かな海辺にある灯台で、両親と幸せに暮らしていた男の子のベン(デヴィッド・ロウル)

彼らは、新しい家族を迎えようとしていた。
大好きなお母さんのブロナー(リサ・ハニガン)から、「あなたは世界で一番のお兄ちゃんになるのよ」と言われ、ベンも赤ちゃんが生まれてくる日を楽しみにしている。

幸せな家族にさらなる幸せが訪れる、はずだった...

赤ちゃんが生まれてくるその日、ベンはお母さんから、海の歌が聞こえるという不思議な笛をもらう。
大好きなお母さんからもらった宝物。大事に抱きながら眠りについたベンだったが...

次の日目覚めると、そこにお母さんの姿はない。
なんとお母さんは、赤ちゃんを産んだ後、海へと姿を消してしまったのだ。

それから6年。
お父さんのコナー(ブレンダン・グリーソン)はすっかり落ち込んでお酒に逃げる日々を送り、
ベンは生まれてきた妹のシアーシャ(ルーシー・オコンネル)のせいでお母さんがいなくなったのだと、いつも意地悪をしてばかり。お父さんだってシアーシャにばかり甘くて、自分のことなんか気にかけていないみたい...

しかもシアーシャは、まるで声を失ってしまったかのように、話すことができない。それもまた、ベンの苛立ちを増幅させてしまっていたのだった。

そして、お母さんの命日であり、シアーシャの誕生日でもある、家族にとって唯一の記念日がやってきた。

それに合わせて、本島からおばあちゃん(フィオヌラ・フラナガン)がやってくる。「あなたたちにとっての裁量をわかっているのは私よ」と口癖のように言う彼女は、とある事件をきっかけに、「ここは子どもたちが住むべき場所ではない」と、ベンとシアーシャを都会へと連れて行ってしまうのだが...

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感想


辛いことがあると、それと真正面から向き合って乗り越えていくより、その辛さを緩和してくれる何かに逃げてしまうことって多いと思うんですよね。代表的なものって言ったら何でしょう。やっぱりお酒とか、ドラッグとか?

でも、そういうものに逃げ続けて感覚を麻痺させたって、肉体的にも精神的にも、物事は悪くなっていく一方だと思うんですよ。
結局それをやっている時だけは辛いことを考えなくてもいいかもしれないけど、終わった後にまたやってくるからまた逃げる...って、

ちゃんと全部と向き合って解決策を探すこと。子どもの頃はそれしか知らなかったはずなのに、大人になると逆に逃げることばっかり考えちゃったり。ほんとに大人なのはどっちなのか、なんて考えたくもなりますね。

アイルランドに伝わるアザラシの妖精・セルキーの伝説をもとに制作された今作「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」は、小さな少年少女が不思議な世界の大冒険を通して「受け入れる」ということの大切さを学んでいく物語です。

主人公のベン(デヴィッド・ロウル)は、人里離れた灯台で大好きな両親と暮らしている男の子。
幸せそうに見える彼らは、ベンの妹という新たな家族を迎える準備をしているところ。さらなる幸せが訪れる、はずだったのですが...

ある日、ベンは大好きなお母さんのブロナー(リサ・ハニガン)から、海の歌が聞こえるという不思議な貝の笛を譲り受けました。「あなたは世界で一番のお兄ちゃんになるわ」という言葉とともに。

しかし、それがお母さんと交わす最後の言葉になってしいました。
翌朝目をさますと、そこにはお母さんの姿はなく、代わりに1人の赤ちゃんの姿がありました。

そう、お母さんは赤ちゃんを産んだと同時に、海へと姿を消してしまったのです。その理由は後ほど...

それをきっかけに、幸せだった家族の生活は崩壊へと向かって行ってしまいます。

お父さんのコナー(ブレンダン・グリーソン)は、お母さんがいない悲しさを紛らわすためにお酒に逃げるようになってしまい、

ベンはせっかく生まれてきてくれた妹のシアーシャ(ルーシー・オコンネル)に対し、シアーシャがいるせいでお母さんがいなくなってしまったんだと、いつも意地悪してばかり。
シアーシャが言葉を話すことができないという事実も、ベンの苛立ちをより強めてしまったのでした。

でも、お父さんにとってシアーシャは大切なお母さんの形見。
シアーシャを大事にしようとするあまり、ベンへの関心が薄くなってしまっていることに、本人も気づけていないのでした。

だからこそ余計に家族内での溝は深まっていくばかり...

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お母さんがいなくなってから早くも6年。
シアーシャの誕生日であり、お母さんの「命日(亡くなったとは決まってないですが...)」でもある日に、本島からおばあちゃん(フィオヌラ・フラナガン)がやってきます。

心配性なおばあちゃんは、口のきけないシアーシャのことを少し不満そうに見つめながら「まだ話せないのかい!」と言ったり、彼女の服を見て「そんなのお誕生日に着る服じゃないわ! 恥ずかしい!」と言ってみたりと、かなり主張が強い人であることが伺えます。

ここで多くの人が気づくと思うのですが、シアーシャは言葉の話せない障がい者として描かれているんですよね。
でも、周囲の人間は「普通と違うのは悪いことだ」という気持ちから、ベンもおばあちゃんもシアーシャにひどい言葉を浴びせてしまうんですね。
それも物語が進むにつれて、徐々に解決へと向かっていくのですが...

その日の夜、事件が起こります。
夜になり、不思議な光に導かれたシアーシャは、家の中にあった宝箱の中から、不思議なコートを見つけます。
それを身にまとったシアーシャは、光が続く海の中へと入って行って...

なんと、シアーシャはアザラシの姿に変身し、海の中を自由に泳ぎ始めました。
そう、実はお母さんはアザラシの妖精・セルキーであり、その娘であるシアーシャもまた、その力を継いでいたのです。

冷たい海の中のはずなのに、なぜこんなにも温かみを感じるのでしょうか。
まるで動く絵本を見ているかのような可愛らしいアニメーションは、すべてのシーンを一つ一つ切り取って家に飾りたくなってしまうほどに美しく、一瞬たりとも目を離したくなくなってしまいます。

その後、海に打ち上げられているシアーシャをおばあちゃんが発見します。
お父さんはこんな時に、本島にあるパブでお酒を飲んでいて側についていないし、見かねたおばあちゃんは「ここは子どもたちにとって良い場所ではないわ。」と言って、ベンとシアーシャを本島にある自分の家で住まわせることにします。

それを知ったお父さんは、「シアーシャまで失うことはできないよ」とお母さんが残したコートを海に投げ捨ててしまいます。それが、のちの大事件を呼ぶとも知らずに...

「私こそ、あなたたちにとっての最良をわかっているのよ!」という独善的な言葉が口癖のおばあちゃんも、精神を不安定にさせることがあると「薬を飲まなくちゃ」と、自分の内面ではなく外部から精神を安定させてくれるものに頼ってしまう傾向があることが描かれます。

お父さんだって、おばあちゃんの言うままにベンとシアーシャを渡してしまったのはなぜなのか。
子どもたちにとって、自分と一緒にいることがよくないと考え抜いてのことだったのか、
それとも自分にとって辛い思い出を思い出させる子どもたちをそばに置いておくよりも楽だったからなのか...

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お父さんとおばあちゃんのキャラクター設定は、そのまま物語の根幹に関わる、とある伝説とリンクしていきます。

ベンたちが住んでいた灯台のある岩は、実はとある王国の王さま(ブレンダン・グリーソン)が岩となった姿であり、王さまから感情を抜き取って岩にしてしまったのは、なんとその実の母親であるフクロウの魔女・マカ(フィオヌラ・フラナガン)だというのです。

声優さん、同じですよね? まあつまり、そういうことです。

居心地の悪いおばあちゃんの家から抜け出し、故郷への旅をすることにしたベンとシアーシャ。
彼らの道のりは、もちろん簡単なものではありません。
まず旅路で出会った妖精・ディーナシーの3人組から、マカと、その手下である四羽のフクロウたちによって石にされてしまった仲間たちを助けてほしい、助けられるのはセルキーの歌う歌だけだということを耳にします。

マカはただの伝説などではなく実在し、妖精たちを次々と石に変えてしまおうと画策しているというのです。

しかも、本来地上ではセルキーのコートがなければ生きられないシアーシャの命は、マカの魔力によって間もなく尽きようとしているのだとも知らされます。
彼女の命を救うには、ハロウィンが終わる前までにシアーシャ本人が歌を歌わなければいけないというではないですか!

なんと恐ろしい魔女なんだ、すぐにやっつけなくては!...って思うじゃないですか?
しかし、マカだって悪意だけで行動しているわけではないですよ、というのがこの作品の奥深いところでして。

様々な困難を乗り越えてマカのところへたどり着き、彼女を説得しようと試みるベン。
しかしマカは、「私だってみんなが思うような悪人じゃないわ」と言うのです。
彼女がみんなから感情を抜き取って石にしてしまうのは、みんなの悲しい心や辛い気持ちから解放したいという願いから。

自分の息子を石にしたのだって、大切な人を失った深い悲しみから彼を救ってあげるため。

しかし、いつの間にやらそれがエスカレートしてしまい、自分も何か辛いことがあるたびに瓶の中に感情を閉じ込めないと落ち着いてはいられないようになってしまいます。
それこそが幸せであり、「みんなにとっての最良」であると信じ込んでしまったがために、誰もを石に変えてしまおうという結論に至ってしまったのですね。

これって、ドラッグやアルコールに溺れちゃったりする人に感覚に似てるんじゃないでしょうか。
何も感じない、感情をマヒさせてしまえば辛いことを考えなくて済む...
でもそれって結局は一時的なものに過ぎなくて、悲しむ時にはちゃんと悲しんで、その解決策を大切な人たちと一緒に探さないと根本的な解決にはならないんですよね。

ラスト、様々な事件を乗り越えて、ついにシアーシャはコートを取り戻します。
その先に待っているのは、家族の再生。家族を引き裂いていた辛い思い出と全員でもう一度向き合って、それでももう一度新しく始められると知った彼らの絆は、壊れる前よりもずっと強いものとなっているでしょう。

目の前に広がるアニメーションの世界はこんなにも幻想的なのに、語られる物語はすごく身近で共感せずにはいられない...
まるで思い入れのある絵画のように、ずっと家の壁に飾っておきたくなる、優しくて暖かい家族の物語。みなさんもぜひ劇場にて。



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2016/09/09 (Fri) 12:27

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