後妻業の女 ネタバレあり感想 この世は真っ黒。

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オススメ度 ★★★☆



あらすじ


この世には、「後妻業」と呼ばれる稼業がある。
病気などで亡くなりそうな高齢の、そして資産のある男性と結婚して、その資産を全部もらってしまおうという行為だ。

武内小夜子(大竹しのぶ)は、後妻業を生業とする女性だ。
大阪にある結婚相談所の所長・柏木亨(豊川悦司)と組んで、何人もの男性から遺産をだまし取ってきた。

今回のターゲットは、元短大教授の中瀬耕造(津川雅彦)

やがて病に倒れた耕造は他界し、後妻におさまった小夜子から公式証書遺言状を見せられた娘の中瀬朋美(尾野真千子)は、遺産は全て小夜子に渡り遺族には一切残らないと知らされ大激怒。

小夜子は絶対に何かがおかしい思っていた朋美だが、今回の県でそれは確信に変わった。

朋美は友人の弁護士の守屋(松尾諭)に相談、小夜子が後妻業で次々に夫を替えてきたとんでもない女だと知る。

何とか小夜子のボロを暴いてやろうと、探偵の本多義則(永瀬正敏)を雇い、小夜子の身辺を調査するのだが...

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感想


結婚詐欺って言うのはよく耳にしますが、確かにこれは盲点だったかも。
高齢の、しかも長年連れ添った奥さんが他界されちゃって寂しくしている資産家の男性を、しかもその人が今にも亡くなりそう...という時を見計らって結婚、

結果、男性の遺産を全部もらって行っちゃう...なんていう恐ろしい家業があるんですねえ。
今作「後妻業の女」は、そんなとんでもない仕事を生業としている1人の女性の物語。

小説が原作なので、おそらくはこういった手口そのものもフィクションなのでしょうけれど、なんだか本当に、こうやって人間の死が食い物にされている事件が実際に起きているのかもしれないと思わされる妙なリアルさがある映画でした。

主人公は後妻業に立ち向かう正義感のある人間...ではなく、
むしろ後妻業を生業としている武内小夜子(大竹しのぶ)という1人の熟年女性。

大阪の地で、結婚相談所の所長・柏木亨(豊川悦司)と組んで、何人もの男性から遺産をだまし取ってきた悪女です。

彼らの手口はけっこうシンプル。

①柏木が経営する結婚相談所で婚活パーティを開く
②小夜子は必ず参加し、条件の良さそうな男性がいたら近づいてお付き合い、結婚まで持ち込む
③男性が亡くなるまで待つ

というのが手順なんですが、彼らのやってることがかなりえげつないのです。
病床に臥せっている男性の酸素マスクを外したり、点滴の針を抜いたり、しまいには空気を注射したり、もはや普通の殺人レベルのことを平然とやってのけるんですね。

ただ結婚して相手が死ぬまで待って、遺産だけそっくりもらっていく...って言うならまだグレーなところで止まれますけれど、こkまでやっちゃうと立派な犯罪ですよね。

しかし小夜子の恐ろしいところは、これらの恐ろしい行為を繰り返しておきながら、何の罪悪感も抱かないというところ。
全く表情を変えないまま...いや、それどころか歌なんか歌いながら病人に毒(だったのかな?)水を飲ませて溺れさせたりするんですよ。

大竹しのぶ大先生が何とも冷酷で冷たく、でもどこか人生に満足していない、何かを探しているかのような不安定さも感じさせる機微ある演技を見せてくれているのが素晴らしい。こういうのを「怪演」って呼ぶんでしょうか。

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でも、みんなだってやられっぱなしじゃあいられませんよね。

小夜子の最新ターゲットである元短大教授の中瀬耕造(津川雅彦)が亡くなった後、小夜子のことをずっと不審に思っていた耕造さんの娘・中瀬朋美(尾野真千子)は、小夜子が耕造さんの遺産を全部そっくりもらっていくことになると聞かされて大激怒!

葬儀では亡くなった耕造さんの棺桶の隙間からキスをしたりとか、この人はほんまもんのサイコパスですか。
きっと死んでくれて、私のためにお金を残してくれてありがとう、という意味でのキスだったのかなあ...

友人の弁護士の守屋(松尾諭)に相談、私立探偵の本多義則(永瀬正敏)を雇い、小夜子の身辺調査をすることとなるのですが...

この映画の特徴は、それぞれに思惑を持って行動している人たちの日々をどこまでも淡々と描いているところ。

小夜子が人を殺してニヤニヤと勝ち誇った表情をしているところだったり、柏木が小夜子がだまし取ってきたお金をさらに狡い手で奪い、そのお金を使って若くて美人のホステスを次々引っ掛けていく様子だったり、さらには探偵の本多がこっそりと抱いている野望に近づいていく様子まで、過剰にドラマチックにせずに描いているところがまたリアルなんですよ。

あ、水川あさみのホステス姿が超似合ってましたよね。あれはトヨエツも引っかかるわ。うん。

調べていくと、小夜子はこの15年間で5人も夫を殺しているというとんでもない事実が明らかになります。
しかもそのうちの2人は、徳島県の同じ場所で謎の事故死...これは変じゃないですか、というところから事件は急展開を迎えるんですが...おっと、ここからの展開はご自身の目で確かめていただきたいところ!

しかし、小夜子だってやっぱり1人の女性。そりゃあ人間らしいところだってありますよ。
CMで散々やってた、鶴瓶師匠のお◯ん◯んを見て心底驚いた顔をしながら、

「通天閣どころやない、スカイツリーやぁ〜」

と仰天するシーンがあるんですが、あれ、実は男性を喜ばせるための嘘とかおべっかなんかじゃなく、マジで驚いてたみたいなんですね。

っていうのは、鶴瓶師匠が演じた役どころは小夜子と逆の人間。「竿師」といっておち◯ち◯で女性をお金のある女性を釣るという詐欺師の類だったみたいなんですが、
なんと小夜子、このスカイツリーの男の思想だったりおち◯ち◯に普通に釣られちゃって、結婚までいけるかも、なんて思っちゃうんですね。

ところが鶴瓶師匠が「投資のために2,000万円用意してくれないか」なんて言ってきた時にその夢は覚めちゃって一言。
「いっつもこうや。本当に欲しいもんは手に入らん」

序盤で柏木に「あんたにだったらタダで(アソコを)見せたってもええわ」と言った後、柏木に断られるとちょっと慌てたふうに「嘘に決まっとんやろ!」と茶化して見せるシーンがあるのですが、

きっと小夜子は1人の女性としての幸せを追い求めるうちに、だんだんと別の方向へとそれていってしまった人なんだなあ、という少しの切なさをのぞかせるシーンもあったり。

きっとここまで長く生きないと見えてこない人生の幸せというのもあるのだろうなあという哀愁も見えてくるこの映画、
酸いも甘いも味わった大人の皆さんにこそ、私のようなガキんちょには見えない優しさ、人生のほろ苦さを味わえる、噛めば噛むほど味の出る映画となっているのではないでしょうか。



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2016/10/13 (Thu) 01:51

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