何者 ネタバレ多め感想 僕らは、どこへ行こうか。

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オススメ度 ★★★★☆



あらすじ


就職活動。
それは、多くの若者にとって、青春を終えて新たな人生へと踏み出すための、避けては通れない儀式のようなものとなっている。

大学生の二宮拓人(佐藤健)も、就職活動に悩む1人の若者。
大学時代は演劇サークルに明け暮れた彼だが、それで食べていけるわけでもなし。演劇系の仕事はあえて避け、得意の分析力を武器に就職活動に臨んでいた。

拓人は天真爛漫なバンドマンの同居人・神谷光太郎(菅田将暉)
その元カノで真面目な努力家・田名部瑞月(有村架純)
留学経験やボランティアの経歴などを武器に、周りに自分の努力をアピールしていく「意識高い系」な小早川理香(二階堂ふみ)
「企業に所属する意味なんてあるのかな」、自分は脚本などのクリエイティブな仕事に忙しいから...と就活している人たちを下に見ている宮本隆良(岡田将生)という4人と協力したり、時に衝突しながら就活に励む。

彼らは今の若者らしくインターネット、とくにtwitterなどのSNSを駆使して就活の武器の一つとしていくが、それが思わぬトラブルを招くこととなる...

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感想


すごい映画の登場です。
映画を鑑賞してから24時間以上が経過したのに、しかもすごく面白いと思った映画なのに、

何を書いたらいいのか、全く思い浮かばない。

こんな経験は初めてです。でも、その理由ははっきりしています。

なぜなら、「桐島、部活やめるってよ」でも知られる平成生まれの大作家・朝井リョウ先生の原作を実写化した今作「何者」の内容が、キャラクターたちのセリフのひとつひとつが...先生とほぼ同い年、劇中で描かれる「就活」というものをついこの間経験した私にとってはあまりにもリアル、「あるある」であふれすぎていたからだと思うんですよ。

大学生の時って、なんでか自分はこの世の全てを知っているかのような感覚に陥っちゃうことって、よくあると思うんですよね。
多くの人が親元を離れて一人自由な暮らしを始めたりとか、授業も高校までみたく全部決められたものを受け取るだけじゃなく、自分で受けたい授業を決めたり、部活やサークルも全部学生自身で運営するようになってたりとか、良くも悪くも自分で決められることの裁量が大きくなるのが理由だと思うんですけど。

中でも最終学年、つまり学生としては一番年上である大学最終年の人たちなんてもう、こじらせちゃってますよ、いろいろ。
20年とちょっとの青春を終えて社会に出ていくための儀式である「就活」ってやつに臨む人たちなんてなおさらです。

私たちよりもうちょっと上の年代の方々からすると想像もできないかもしれないですが、今の就活はネットに頼りっきりです。
どんな企業を選ぶのが良いかという情報は、自分たちと同じく働いたことのない就活中の学生が、さらに自分たちと同じようにネットにある文字だけの情報から探り当てたものをネットの掲示板やSNSに、大した深い考慮もなしに書き込んだものから得るのが基本。

「今の企業は応募生のSNSも見てる」なんて噂もそれら掲示板に書き込まれてたりするもんですから、就活生のSNSなんて自分に酔いしれてるような気持ち悪い書き込みが満載です。私も自分の名前でfacebookをやってるんですけど、自分と同い年が就活中は
「就活は『出会い』だと思う。」
「今日出会った人から『〜』って言葉をもらって、自分も『働く』ということについて深く考えさせられた。」
「毎日が感謝!」
みたいな書き込みで溢れかえってたなあ、という記憶があります。

いや。企業が見てるか見てないかなんて関係なく、実名でやってるSNSってそういう書き込みに溢れかえってるんですけど。
じゃあそういうのって、なんでわざわざ世界に発信したがるの? 自分の中で思っとけばいいじゃん? って思うじゃないですか。
みなさん、それが今の若者の闇の深さでございまして...

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主人公の二宮拓人くん(佐藤健)も、現在就活真っ最中の大学生。
周りのことはなんでも俯瞰から冷静に分析して、みんなが上述したようなクサいセリフをSNSに吐き続ける様子を「寒いよな」と冷笑しているような男の子です。

じゃあSNSなんて見なきゃいいじゃん、って思いながらも片手には常に携帯を手放さず、みんなのtwitterを常に監視している彼。
つまり、周りの人たちがやっていることを見下して、ようやく自分の精神を保っているんですね。

彼と一緒に就活に挑むことになるのは、
天真爛漫なバンドマン、今まで就活のことなんて真面目に考えたことなかったなあ、という同居人・神谷光太郎(菅田将暉)

その元カノで真面目な努力家、拓人が密かに想いを寄せる田名部瑞月(有村架純)

留学経験やボランティアの経歴などを武器に、周りに自分の努力をアピールしていく、最近はやりのいわゆる「意識高い系」な小早川理香(二階堂ふみ)

「今は『個』の時代でしょ」なんてイタいことを言いながら、自分は脚本などのクリエイティブな仕事に忙しいから...と就活している人たちを下に見ている宮本隆良(岡田将生)

という個性的な4人組です。こんなやつらリアルにいるわけないでしょ、思う方も多いと思うんですけど、いやいやなめちゃいけません。今の大学生、マジでこんなやつらゴロゴロいますよ。

唯一リアリティに欠けるとすれば、こんなバラバラな性格っていうか、今の若者のステレオタイプな5種類もの性格の人たちが意図つ屋根の下に集まるわけないじゃん、ってとこくらいですが、まあそこはご勘弁を。そうでないと話が進まないので。

就活ってよくわかんないやー、なんて言いつつも、就職先を「忘れられない女の子に会うため」という一つの目的に絞って決めた光太郎くんとか、
私は家族を支えるために、夢ややりたいこと以上に堅実なところに入らないと...と頑張る瑞月ちゃんにはポンとすぐ内定が出て、

就活のために様々な対策を練って、企業から好かれそうなセリフを勉強して、テストにも対策を立てて、自分をどれだけすごい人に見せられるかに全力を注ぐ理香ちゃんや、
みんなのことを心の奥で冷笑しながら、逆に自分は何をしたいのか、誰になりたいのかがはっきりしないまま就活に望んでいた拓人くんになかなか内定が出ないという構図まですっごくリアル。

とにかくこの映画、ドキュメンタリーなんじゃないかと思うくらいに登場人物の言動が生々しいんですよね。
主要5人を演じる豪華俳優陣はさすが実力も伴った人たち。見ていて心臓が痛くなってきてしまうほどのリアリティを持って、私たちのトラウマをえぐってきてくれるんです。

常にSNSを監視している拓人くんは、すぐ近くにいる人たちがリアルタイムで何を考えて、何をつぶやいていて、誰に何を見せようとしているのかを心の中でバカにしているんですが、

例えば理香ちゃんと隆良くんが、一緒にいるはずなのにわざわざtwitterで会話している様子を「あいつら何で直接話さないんだろうな」と笑いながら光太郎くんと瑞月ちゃんに見せて、逆に見せられた側の2人は、何にかは声に出さないものの「何かに」引いてしまったような反応をするシーンの気まずさったら。

いますよね。友だちのtwitter開いて見せてきて、バカにする人。反応しづらいし、だいたいお前、人のプライベートそんなに覗くの好きなのかよ、って思っちゃいません?

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今の若い人にとって、SNSでの発言って面と向かって言ってること以上にリアルに見えちゃうケースって多いと思うんですよ。
だってSNSで何かを呟く時って、小さな携帯の画面に向かって自分の好き勝手な感情を吐き出してるわけで、
面と向かって誰かに言えないような、言ったら自分とその人の関係が壊れるかもしれないレベルのことこそSNSにつぶやいたりしちゃってるわけで、

「誰々がtwitterでなんか怒ってたけど、あれって誰々ちゃんのことだよね〜」
「誰々がfacebookであの人と一緒にいたけど、誰々ちゃんと喧嘩してるってことだよね...」
みたいな会話が携帯の画面を飛び出してリアルの人間関係に影響を及ぼすことって、最近じゃあ日常茶飯事ですよね。

芸能人だってネガティブな感情はなんでもSNSで吐き出して、「誰々さんがtwitterで誰々さんを批判しました」みたいなニュースも溢れてて、多分私達より上の年代の人たちからすると異常でアンリアルな光景に見えると思うんですが、私たちにとってはごく日常的な光景で。

だからこそこの映画、観る人によってすごく評価が分かれる映画なんじゃないかと思います。

大学生〜20代中盤くらいの方にとってはすごくリアルで、まるで私たちの姿をそのまんま暴かれてしまったような、「君たちって外から見るとこんな感じだよ」と突きつけられてしまったような感覚に陥るようなトラウマ映画に、

でももっと上の世代の方々から見ると、「今の若者って気持ち悪いね。っていうか、こんな人たち現実にいないだろ」とひどくアンリアルに見えてしまう映画になっているのかと。

タイトルの「何者」は色々な意味で主人公の拓人くんを指す言葉であったということが暴かれていくラストは「お見事」の一言。

劇中、有名な「桐島〜」での桐島くんポジションとして、烏丸ギンジという人物が、セリフや登場人物との実際の絡みはなく登場します。

ギンジくんはかつて演劇に明け暮れていた頃の拓人くんが一緒に脚本などを手がけていた親友だったのですが、考え方の違いから2人は袂を分かち、ギンジくんの方は大学を辞めて自己プロデュースの劇団を立ち上げ、そんな彼のことを「寒い」と思ってしまった拓人くんは演劇を諦め、就活という道を選んだのです。

ギンジくんのことを言葉では寒い寒いと言いながらも、本当は自分の信じた道を強い意志で進む彼のことをどこか羨ましいと思っていたのではないでしょうか。だけどそれができない自分のことをなんとか正当化するために、周囲の人たちが自分の「思い」を書き込むtwitterに常駐して、みんなのことを冷笑することでなんとか自分を保っていた。それが今の拓人くんだったのでは。

ラスト。拓人くんの正体は思いもよらぬ形で暴かれてしまいます(これもまた、SNS世代には超リアルな恐怖ですよ〜!)。
拓人くんは結局「何者」にもなれずにいた自分をようやく受け入れ、新たな覚悟を胸に就活に臨むこととなるのですが...

いやあ、瑞月ちゃんのラストのセリフも胸にくるものがありましたね。
携帯の画面に映る拓人くんの本当の姿を悲しそうに見た後、
「拓人くんの脚本、好き『だった』よ」と。過去形の「だった」に何かの終わりを感じさせる、有村架純の表情もまた素晴らしかった。

SNSでの軽はずみな、「『いいね』やリツイートを稼いだら、まるで自分が偉くなったみたい」という自尊心を満たすための行為で、私たちが失っているものは何なのか。

「これが、私たちのリアル」
という嘘偽りなしなサブタイトルが付けられた「何者」を観て、SNSに支配された私たちの暮らしを考え直してみたいなあと思わされた、今日この頃なのでした。

以下は、私がtwitterでつぶやいたラストのネタバレ感想です。
ツイート内の「○○○」になってるとこがネタバレ。URLクリックで全部見られます。 URLの先は特に広告とかではないのでご安心を。

誤解が誤解を生むかもしれない、たった140字に感情とその人の真の思いがすべて込められていると思われてしまう、恐ろしさは底知れないメディアで私が発信した、ちょっと誤解を生みそうな「つぶやき」で締めさせていただきます。










主題歌



主題歌は、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅなどの楽曲をプロデュースしている中田ヤスタカが、珍しく別の誰かに作詞を任せた
「NANIMONO (feat. 米津玄師)」

ヴォーカル/作詞として参加した米津玄師は現在25歳。まさに映画の登場人物たちの心情をリアルに理解できそうな世代のシンガーソングライターです。私も彼とお誕生日が2週間しか離れてないくらいの同世代なもんで、個性的なはずのリリックがすごく刺さるんですよね。

今回の楽曲ではどこに向かったら良いかわからないような迷いを表現するためなのか、いつもよりも無感情な感じの歌い方が楽曲、映画の雰囲気に共にぴったり! これを機に、米津玄師くん自体ももっと売れてくれるといいなあ... いや、アルバムもoricon1位になってたり、最新シングルも2位になってたり、すでにけっこう人気なんですけどね。



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

Comment

  • 2016/10/19 (Wed) 15:00
    にとり #X.Av9vec - URL
    No title

    あ、米津玄師もUCさんも年下なんだ…(死

    自分の何書いたらいいかわからない結果、人物ごとに書いたのですが結局よくわからないままだったので、整然とされたレビューを見ると本当に助かります。ありがとうございます。

  • 2016/10/19 (Wed) 20:53
    UC #- - URL
    Re: No title

    にとりさん
    私はおっさんくさい文章とは裏腹に年齢はまだ20代半ばですよ!(笑)
    にとりさんのレビューの方が読みやすくてキャラごとの特徴を理解しやすかったと思いますよ! 私ももっと読みやすいブログを心がけないと。

    お互いこれからもブログ頑張っていきましょー!

  • 2016/10/22 (Sat) 16:58
    ナオミント #mQop/nM. - URL
    No title

    いつも楽しく読ませていただいてます。

    佐藤健が◯◯◯◯だった、というのはどんでん返しだったんですね。わたしは特に何とも考えず「ふーん」と受け入れてしまったのですが。
    就活に身を入れたことがあるかどうかでかなり観方か変わりそうな映画でしたね。

  • 2016/10/22 (Sat) 20:16
    UC #- - URL
    Re: No title

    ナオミントさん

    私はあそこ、「うわー、そういうことかー!」ってびっくりしちゃいましたね。うわー、みんなの設定不思議に思ってたけど、そういうことだったかー、みたいな。最後の最後まで就活に悩んだことのある人たちを追い込んでくるなと。

    確かにこの映画、映画の中で描かれてるようなタイプの就活をリアルに体験してるか否かで評価が分かれてきそうですね。逆にもっと上の世代の人たちには、ひどくアンリアルな映画にも見えそうな...

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