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少女 ネタバレあり感想 未来は、そんな悪くないよ。

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オススメ度 ★★★



あらすじ


厳格なカトリックの学校に通う女子高生の桜井由紀(本田翼)
他人を遠ざけるような雰囲気を持つ彼女には、たった1人の親友がいた。

彼女の名は、草野敦子(山本美月)
かつては剣道全国1位として活躍していた彼女は推薦で今の学校に入学したが、大会での失敗をきっかけとして、クラスメイトからひどいいじめを受けるようになり、足が治った今でも怪我をしたままのように足を引きずる演技をして日々をやり過ごしていた。

由紀はそんな彼女をモデルとして、一つの小説を書き続け、ようやく完成を見たのだが...

彼女の小説は何者かによって盗まれてしまう。その事件と幼少期のトラウマが積み重なり、由紀はこの世を呪い、人が死ぬ瞬間を見たいと思うようになる。

夏休み。
小児科病棟でボランティアを始めた彼女は、余命わずかな少年たちに近付き自らの願望をかなえようとする。
一方で敦子は、老人ホームでボランティアを始める。

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感想


高校生の頃って、今から思い返してみるとけっこうやばいことばっか考えてたなあと思いません?

誰かの行為で自分が不幸になったら、「殺してやる」なんて過激なことを考えながら、近くにあるものを刃物に見立てて何かを切り裂いてみたりとか、意味不明とまではいかないまでも結構きつめな小説を書いてみちゃったりとか。

っていうのは全部、「告白」などで知られる湊かなえの小説を基にした今作「少女」で主演の本田翼がやって見せちゃうことなんですけど。

主人公の桜井由紀(本田翼)は、厳格なカトリックの学校に通う女子高生。
誰もが同じ方向を向いて過ごすことを強いられる環境下にいる若者を描くにはぴったりの舞台なんじゃないかなあと思います。

そんな彼女は、今日も「ヨルの綱渡り」という自作小説を書くことに夢中です。「ヨル」がキャラクターなのか「夜」を単にカタカナで書いているだけなのかはちょっとわかりづらいところですが、そこにももちろん意味はあって。

この小説のモデルとなっているのは、由紀のクラスメイトにして唯一の親友・草野敦子(山本美月)

元剣道の全国1位だった敦子ちゃんは、現在はクラスでひどいいじめを受ける日々。
推薦で入ってきたのに、剣道の大会で大失敗をして怪我をして以来、クラスのグループLINEで「A子死ねゲーム」なんていう意味不明すぎる残虐ゲームをやられたり、学校で「死ね」など書かれたものでロッカーを満タンにされるなど、動悸がして倒れてしまうなど、もうメチャクチャです。

そんな彼女は、足が治った今でも足が悪いままのふりをしています。その理由...彼女は「その方が都合がいいから」と語りますが、あれですかね、周りの人たちにもせめて自分も自分のミスのせいで不幸なままだよ、とメッセージを送っておくためだったのではないでしょうか。

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じゃあそれを見守る由紀ちゃんは、なんで最初に書いたようなヤバめなことばっかしているのでしょうか、というと、彼女は彼女で世界を呪い続けなければいけない理由があるからです。

家に帰ればおばあちゃんは意味不明なことばかり口走りながら時々ヒステリーを起こしているんです。
具体的には語られませんが、過去には由紀ちゃんが通っている学校の教師だった? おばあちゃんは認知症になってしまっているのか、定年して教師を辞めた今でもその時の自分の姿に囚われてしまっていて、誰か前を通る人を見れば家族でも生徒の悪ガキと勘違いして襲いかかろうとしたり暴れたり、状況がかなり深刻です。

由紀ちゃんのトラウマは、おばあちゃんと深く関わっていそう。

そんな彼女にさらなる不幸が襲いかかります。
憂鬱な日々を乗り越え、ようやく「ヨルの綱渡り」を書き上げた彼女でしたが、その原稿を学校に持ってきたところ、なんとその小説を何者かによって盗まれてしまったのです!

どこを探しても見つからない。彼女は絶望の淵に落ちてしまいます。

それからしばらくして、真相は意外すぎる形で明らかになります。
由紀ちゃんたちのクラスを担当する現国の先生・小倉一樹(児嶋一哉)が突然、新人文学賞を受賞して一躍時の人に。

そのタイトルは、なんと「ヨルの綱渡り」
盗んだのあんたかーーーい!!! しかも調子に乗った先生は、由紀ちゃんに
「お前、才能あるよ。よく俺から吸収したことを形にしたな」
とか言ってくるんですよ! むかつく!! むかつく!!!

そんなわけで、由紀ちゃんの闇はさらに深くなり、小倉先生の授業を聞いている間は歯を食いしばって怒り狂った表情をしながら、机上の作文用紙、さらにそれを突き破る勢いで机に刺さるほど強く、定規で机をガリガリやっちゃったりするんです。まるで呪いの藁人形に釘を打ち付けるみたいに。

さらには転校生の滝沢紫織(佐藤玲)に先生が死なねえかなあと話した時、「私は友達の死体を見たことあるからわかるけど、そんな簡単に言っちゃダメだよ」と言われて逆に、
「死ぬ瞬間を見れなきゃ意味ないじゃん。見てみたいんだよねえ、人が死ぬとこ」とどんどんヤバい方向に突っ走っちゃうんです。

もしかしてこの話、彼女が最終的に身近な誰かを殺して終わっちゃったりするんじゃあ... 映画のキャッチコピーに、「人が死ぬ時の気持ちを10文字で答えなさい」とかあったし、すっげー不穏だなあ、と思わされちゃったりするものですが、

ご安心ください。この話、進んで行くにつれて、逆に普通な話になっていくので。

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由紀ちゃんは夜の学校・職員室に忍び込み、向かう先には小倉先生のコンピュータ。
彼女がデスクトップを開くと、小説のデータは見つからない代わりに、先生が女子高生らしき若い少女とエッチな行為をしているところの自撮り動画が。なんで撮るんだろうね、こういうのって。しかも学校に持ってきちゃうってすごいっすね。

さてここで問題。なんだかんだ今時の女の子・由紀ちゃんがすることはなんでしょう?
答えは...それをネットにばらまく、でした〜! 機体の天才作家の彼...ってかその前にカトリックの学校の先生ですからね。当然彼は停職となり、さらにはそれを苦にして自殺しちゃうんですよ。

でも、死の瞬間を目の当たりにできなかった由紀ちゃんは満足いかず、夏休みになった途端、難病に冒された子どもたちのいる病院でボランティアをして、何としてでも誰かの死ぬ瞬間を見てやろうと試みます。
自分が恨んでいる人たちじゃなくって、とにかく誰でもいいのか。いよいよこじらせてきちゃってる感が強くなってきたなあ。

由紀ちゃんを演じる本田翼、いつもは演技が...正直...って感じだったんですが、今回はとにかく良かったですね。
すでに頭の中では420人くらい殺してそうな空虚で濁った目をしながら、いかにも芝居掛かった口調で呪いの言葉を吐き続ける彼女が、後半のとあるシーンや終盤ではふとした瞬間に普通の女の子のようなリアクションをとったり、だんだんと呪いから解放されていく様子をすごく上手に演じていたのではないでしょうか。

上述の転校生・紫織ちゃんも真面目そうに見えて実際はやばいやつで、駅で妻子持ちっぽい男を見つけては「痴漢された」と嘘をつき、ばらされたくなきゃ金よこせ、と迫るというとんでもないやつなんですね。

敦子ちゃんと一緒に帰ったある日、「敦子も一緒にやる?」と強気で迫った紫織ちゃん。気の弱い彼女はついつい一緒に見ている役を買ってしまい、終わった後には紫織ちゃん、「これで私たち、親友だね! 共犯関係って気持ちいい!」と恐ろしく、悪意に満ちた言葉を吐くのです。

その現場を由紀ちゃんに目撃されてしまい、敦子ちゃんに幻滅されてしまったと感じた由紀ちゃんは、敦子ちゃんに自分から会おう、ということができなくなってしまいます。

そこから2人はそれぞれボランティアの現場に行くことになるわけですが、それぞれの現場で「死ぬ」ということ以上に「生きる」ということの理由や価値観と向き合っていくこととなるのですが...

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前半の力強さは何処へやら、ここから話はかなり普通になっていきます。

ボランティア先の施設で紙芝居をやることになり、「さるかに合戦」の紙芝居をやらされることになった由紀ちゃんは、
「因果応報、地獄に落ちろぉ〜!」
なんて独特すぎるアドリブを加えて止められたと思ったら、「私もう辞めます」と勝手に止めようとしたりとやりたい放題。

そんな時、彼女が出会ったのは、彼女の危なめな思想に共感した2人の男の子。
そのうちの1人は、成功率がほぼ0%に近い大手術を受けるので、ある事情で別れてしまったお父さんに一目会いたいというのです。

男の子たちと触れ合ううちに、彼らに生きて欲しい、彼らの願いを叶えてやりたい、という思いが芽生えた由紀ちゃんは、明らかに嘘ついてそうなおじさんに、情報と引き換えにやられそうになったりしながら、少年のお父さんへと近づいていきます。

「人が死ぬところを見たい」と言っていた由紀ちゃんが、今度は人を生かすために行動し、
その過程で、今まで芝居掛かった言動を繰り返していた彼女が、「あんなおっさんとヤるなんて無理〜!」とごく普通なリアクションをとったりと、少しずつ闇から抜け出していく光景が分かりやすく描かれています。

一方の敦子ちゃんは、由紀ちゃんとは対照的に老人ホームでのボランティアを始め、そこで1人のお医者さんと出会ったことから自分の存在というものを見つめ直していくことに。先生の正体は...一応内緒にしておきますか!

そしてラスト、すべての物語が繋がり、2人は念願だった「人が死ぬ瞬間」を思いもよらぬ形で目にすることになります。
物語のつなげ方、そしてラストの大オチも少し強引すぎたような気がしないでもないですが、けれども物語のメッセージを伝えることにはそこそこ成功していたように思います。

人の死ぬ瞬間を目にした彼女たちがたどり着いた先に待っていたのは、自分たちの鬱屈としていた悩み、絶対に乗り越えられないと思っていた苦しみは、一歩外に出て見返してみれば、実は一度落ちたって救いの手はある。

つまり、綱渡りのようだと思っていた人生、一歩でも間違えたらそこで終わりと思っているかもしれないけれど、視界が開ければどこにだって行ける。それに気づいた瞬間、「少女」から少しずつ大人になっていく。「ヨルの綱渡りは、終わった」ということでしょうか。



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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