溺れるナイフ ネタバレ控えめ感想 私たちが、世界のすべて。

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オススメ度 ★★★



あらすじ


東京でモデルをしている望月夏芽(小松菜奈)は、全国的に大人気のモデル。

彼女は、急に父親の故郷である浮雲町に転居することになる。
都会とかけ離れた何もない生活に絶望する夏芽が町のはずれ、入ることを禁じられた入江に行くと、そこには海に浮かぶ不思議な雰囲気を持った男の子がいた。

彼の名は、長谷川航一朗(菅田将暉)
町一帯を統治している神主の一族・長谷川家の長男である彼は、「この町にあるもんは、全部俺の好きにしてええんじゃ!」と破天荒な人生を送っている。

周囲とは違う雰囲気を持つ2人は、お互いに強く惹かれ合い、恋に落ちる...

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感想


若さというのは不思議なもので、世界の全部が自分を中心に回っていて、目に見えるもの全部は自分の手に入るような全能感を感じる時期があるものだと思うんですね。

でも、世界はそんな簡単なものではなくて、自分はちっぽけで、思い通りにいかないことばかり。だからこそ生きるのって面白い、ってことを知ってく時期が青春なんじゃないかなって思うんですよ。

私は原作を読んだことがないのですが、「伝説的」らしい原作コミックを映画化した今作「溺れるナイフ」は、青春の輝きを2時間いっぱいに凝縮しようとした作品です。

「しようとした」と言ったのは、演出の問題なのか、長い原作を一本に凝縮するには厚みのありすぎる話だったのか、言わんとしていることはなんとなくわかりつつも、イマイチ伝えきれてないなあ、と思わされる節があったからです。

主人公の望月夏芽(小松菜奈)は、全国的に大人気の中学生モデル。もう一回言いますね。中学生モデルです。
うん、さすがに見えねえな、中学生には。

そんな彼女は、大都会・東京から、父親の実家である田舎町の旅館の手伝いをするため、浮雲町という小さな町へと移り住むことになります。
何もない町、たわいない話で一時だけの盛り上がりを得るために、田舎らしく町の人々がみんな畳の部屋に集まってお酒を飲んだり。それくらいの楽しみしか持つことができないように見える田舎町での暮らしに失望する夏芽ちゃん。

そんな空間から逃れるため、町のはずれにある禁じられた入江に入っていく夏芽ちゃん。彼女の眼の前に飛び込んできたのは、岩場近くの海に浮いている、金髪の男の子。

不思議な雰囲気を持つ彼に近づいて見てみたいという好奇心に駆られた夏芽ちゃんは、彼の元へと駆け寄って行きます。
そうすると、海から上がってきて、彼は耳元で何かを囁いて去ってしまいました。その時から、夏芽ちゃんは彼に夢中になってしまったのです。

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その少年の名は、長谷川航一朗(菅田将暉)
芽衣ちゃんと同じ中学校に通う彼は、町一帯を統治している神主の一族・長谷川家の長男なんだとか。地元の「神さん」とともにあることを信条としている彼は、町のものは山も、海も、空も、全てを自分の自由にできるという全能感の赴くまま、破天荒な人生を送っている男の子なのでした。

対して夏芽ちゃんは、モデルとして大人気という事実がもたらすものなのか、自分自身に対する自信と、他人から羨望の眼差しを得ていることから来る独特の輝きがあり、2人はなんだかこの小さな町の中で、少し浮いた存在のように見えていたんですね。

そんな2人がお互いに惹かれあっていくのは自然なことでした。
あっという間に恋に落ちていく2人...というか最初は、夏芽ちゃんの方がコウちゃんに夢中になってしまうんですね。

モデルとして圧倒的な輝きを放つ夏芽ちゃんに目をつけたのは、人気カメラマンの広能晶吾(志磨遼平)。彼の手による写真集を出さないかという誘いを受けた夏芽ちゃんは、コウちゃんに「この仕事、受けて欲しい?」と判断を委ねます。コウちゃんといられさえすれば、もう他のことは何もいらない、コウちゃんの望む通りに生きたいと思っているからですね。

でも、コウちゃんはそんな彼女を「もっと面白い奴だとおもっとったわ!」と一蹴。
「力を持っているんだから、それを使いたい」と、自分の若さを世界いっぱいに見せつけたい、と思っている夏芽ちゃんに心惹かれたのに、そうではなく、誰か他人に自分の存在価値を見出してしまうのはつまらない、ということでしょうか。

コウちゃんの生き方って見てるとそんな感じで、まさに若さという人間最大の武器をこれでもか! というくらいに振り回して、だからこそ、破天荒なのに周囲の人間からは憧れの目で見られる...ってタイプの人間なんですね。

そんな2人を優しく見つめるのは、彼らとは対照的な2人の男女。

コウちゃんの親友である大友勝利くん(重岡大毅)は、もう自分の人生の道が見えているような大人っぽさがあるというか。今の自分の居場所を受け入れながらも、いつかは別の世界へ出て行って、自分自身の人生を見つけないと、という現実を見据えた男の子。

演じる重岡大毅くんの演技が本当に素晴らしかったですね。マジの現地人連れてきちゃったんですか、と言いたくなるほどの自然な演技に、見た目や雰囲気も田舎町に生きる普通の男の子になりきっています。いや、ジャニーズだからイケメンではあるんですけど。

でも、あそこまで自然なオヤジ臭さは、普通の若者には出せないと思うんですよねぇ〜。
それでいて、あの優しさに溢れた目。たいていの女子は、コウちゃんよりも大友くんに惚れてしまうんではないでしょうか。

そしてもう一人が、コウちゃんと夏芽ちゃんに憧れている地味系女子・松永カナちゃん(上白石萌音)

最初は夏芽ちゃんに冷たくあしらわれながらも、自分の憧れである2人への思いを言葉にして出そうとしている彼女は、きっと自分も「特別な人」になろうともがいてたんでしょうね。だけど、高校編に入ってからは立場逆転と言わんばかりに、キラキラした自分を見せたいという強い思いに駆られている「普通の」女の子をうまく演じていましたね。

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しかし残念な点も幾つかあります。

カメラワークが、ちょっと他人事みたいだったかな、と。
和歌山県新宮市の美しい風景を目いっぱい移そうとした結果なのか、やたらと引き絵、固定カメラでの撮影が多くて、私たちは誰目線で見ればいいんだろう...と物語やキャラの心情に入っていけないシーンも多かったですし、

あとはBGMでしょうか。
なんでこのシーンでこんなポップでオシャレな曲が流れてるんだろう...っていう明らかに場違いなシーンが散見されて、これってもしかして、かなり低予算な映画なだけに、スポンサー指定の曲を無理にでも挟み込まざるをえなかったのかなあ、と思わされちゃったりも。

あとはアートっぽい作風を目指しすぎたせいなのか、なんだか登場人物たちのポエティックなセリフがどうにも抽象的すぎて、そのわりに説明というか、そのセリフが出てくる理由が伝わってくるシーンも少なくて、どうにも意味不明なようにしか見えないシーンも多かったかな。

例えばですが、夏芽ちゃんに芽をつけたカメラマンの広能さんが、彼女に出会って放った一言「君はカメラの前じゃないと呼吸できないんだね」ってセリフに意味を持たせるには、もっと夏芽ちゃんがカメラの前でのみ自分ん本当の姿を晒せてたり、自由に振舞えるというような描写が必要だったと思うんですけど、それが全然なかったりとか。

それでも、小松菜奈ちゃんと菅田将暉くんのカップルには、現実に今一番脂ののった俳優同士でしか出せない圧倒的な輝きがあって、新宮の美しい風景以上に画面上を鮮やかに彩っているのは疑いようもないでしょう。
この2人が主演だったからこそ輝けた映画だったのかな、というのは強く印象に残っています。

その圧倒的な力で、空も海も山も、全てを自分たちのものにしたコウちゃんと夏芽ちゃんでしたが、町にとって一番大切な祭りの日に起こったある事件をきっかけとして、2人の心は大きく変化してしまうことになります。(その事件のきっかけとなった人物に、ラスト付近で「お前は夏の風物詩か!」とツッコんでしまったのは私だけでしょうか)

その事件が彼らの心に落とした大きな影は、若い2人の恋にどんな影響を与えるのか?
ご自身も若いみなさんにこそ、ぜひ劇場で彼らの行く先を見届けてほしい作品です!



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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