ザ・ギフト (The Gift) ネタバレは避けられない感想

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※注意!: 本編について、かなりネタバレしています。

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オススメ度 ★★★★☆



あらすじ


とある事情から、シカゴからカリフォルニアに引っ越してきたサイモン(ジェイソン・ベイトマン)ロビン(レベッカ・ホール)のカレム夫妻は、豪華で美しい家に住み、2人ともが仕事でも成功を収めているという、誰もが羨むような夫婦だ。

新居のための家具を買いに行った2人の前に、サイモンの高校時代の同級生だというゴード(ジョエル・エドガートン)という男性が現れる。

電話番号を交換した彼らだったが、サイモンからゴードにかける様子はない。

その後、どうやって自宅の住所を調べたのか、玄関先にゴードからのギフトだというワインが置いてあった。
それからもたびたび二人を訪ねては贈り物をし続けるゴードの姿に、ロビンは感謝すべきだと言うが、サイモンはゴードへの疑いを膨らませていく。

サイモンによると、高校時代のゴードは"Gordo the Wierdo (ブキミなゴード)"というあだ名がつけられていた変人だったというのだが...

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感想


オバケより何より、人間の悲しみや恨みなんかのネガティブな感情の方がよっぽど恐ろしいと思うんですよね。

一度の軽はずみな行動が、相手の一生に影響を与えちゃったりしたら、その相手からの恨みはその後ずっと消えることはなくて、「因果応報」という言葉があるように、自分のやったことの報いというのは回り回って必ず自分に返ってくるものだと思うんです。

2015年にアメリカで大ヒットしたスリラーの「ザ・ギフト」には、オバケも破壊衝動に駆られた精神病患者も出てきません。
けれど、今年公開されたどんなスリラーよりも、私たちの心を芯まで震え上がらせるような仕掛けがなされた映画となっているんです。

正直、日本の映画館であんなにナチュラルに叫び声が飛び交ったスリラーは初めてです。

とある事情から、シカゴからカリフォルニアに引っ越してきたサイモン(ジェイソン・ベイトマン)ロビン(レベッカ・ホール)のカレム夫妻が主人公。彼らが越してきたのは、サイモンの実家のほど近いところです。

ガラス張りの家に住んで、サイモンは都心の高層ビルでスマートな仕事をし、ロビンは自然にあふれる近所でランニングをしてリフレッシュしながら、在宅でコンサルタントやデザイナーなどマルチな仕事をこなしています。
そんな二人は、何年一緒かはわからないけれど、お互いにとっても愛し合っている...って、誰の目に見ても羨んでしまうような理想の夫婦です。

家具を整えるために街に出た彼らでしたが、その時偶然に、サイモンの高校時代の同級生だというゴード(ジョエル・エドガートン)という男性が現れます。

最初はゴードのことを覚えていなかったサイモンですが、名前を聞いて「おお、元気だったか!」などと楽しそうに軽いトークを繰り広げ、ロビンにも「いい奴なんだよ」と紹介。電話番号を交換し、また今度話そうよ、と約束をしてお別れしました。

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けれど、サイモンがゴードに連絡する様子はありません。どうしてだろうとロビンが少し疑問に思っていたある日、彼らの家の前にお手紙と一本のワインが置いてありました。

それは、ゴードからの贈り物でした。今度こそちゃんとお礼を言っておいてよ、とサイモンに釘をさすロビン。
でも、住所なんて言ってないはず。どうやってうちの住所を知ったんだろう...

その数日後、今度はゴードが直接家を訪ねてきます。また小さな贈り物を持って。
ちゃんとサイモンからお礼の電話してたよね? と聞くと、電話はないよ、と返すゴード。でも起こる様子は微塵もなく、ゴードはとても親切です。

家の中を案内してあげることにしたロビンですが、彼は引っ越してきたばかりの彼らが片付けていない荷物を置きっぱなしにしている部屋に注意を引かれたようで、勝手に中に入って行ってしまいます。

彼が見つけたのは、赤ちゃんをあやすためのおもちゃたち。「子どもがいるの?」と聞くと、なんだかロビンは気まずそうです。

実はカレム夫妻、昨年子どもを流産してしまったという辛い過去を持っており、今も子どもを授かれるようにと努力している途中だったのです。でも、なんでゴードはそこにそんなに気を引かれたんですかね?

その後、ゴードのことを家に招いて一緒にディナーを食べましょうよ、と提案するロビン。でも、サイモンはなんとなく嫌そうです。高校時代の友だちなんじゃなかったの?

ディナーの席では、少し酔っ払ってしまったのか、「君たちにもきっと子どもができるさ」と言ったり、「君が幸せでほんとによかったよ」などと連呼するゴード。彼によれば、生徒会長だったサイモンは「サイモンが言うなら ("Simon says"」なんでも実現するようなパワーのある少年だったとも言っています。

ロビンはゴードのことをいい人だと認識していますが、サイモンの方は、「今日の席は気まずかった。もう彼のことは呼ばないようにしよう」というのです。なんですかね。やっぱ昔の話とかされると気恥ずかしくなっちゃうものなんですかね。

サイモンは、ゴードは高校時代から"Gordo the Wierdo (ブキミなゴード)"と呼ばれていたくらいの変人だから、あまり関わらない方が良いと言うんですね。あれ、最初に「良い奴なんだ」って言ってませんでしたっけ? ディナーに呼ぶのも一瞬渋ってたし、この手のひら返しはなんなんだろう。

でも、その後もゴードからの贈り物は続きます。家庭で使えそうな簡単な用具に始まり、今度はなんと、池で育てるための鯉とその餌まで。今度こそちゃんとお礼を言いなさいよ、というロビンですが、サイモンは逆にゴードに対する疑いを深めていきます。たしかに、生き物なんてプレゼントされたらちょっと怖くもなりますわな。

その後、再び夫妻の家を訪ねてきたゴードは、サイモンが冷蔵庫のホワイトボードに書いた"Gordo the Wierdo (ブキミなゴード)"の言葉を見て、気まずそうに帰ってしまいます。気を悪くさせてしまったと

しかし今度は、ゴードの方が夫婦を家に招いてディナーをしようと誘ってきます。ゴードのお友達夫婦も来るんですって。っていうか、あれを見た上で誘うか!?

近所のお友達はみんな、「その人気持ち悪いよ」「絶対行っちゃダメ」とゴードのことをバカにしたような笑いとともに言うし、サイモンもそれに同調しています。でも、ゴードと実際に触れ合う機会も多いロビンは、ゴードのことをいい人だと思っているし、そんなバカにしちゃダメだと理解しています。

で、サイモンのことを説得したのか、ゴードの家に向かうことになった二人。
行ってみると、ゴードの家はまるでホテルのような超豪邸。あれ、軍隊を除隊になってから、いろんな仕事を転々としてるって言ってたし、普段の格好からはそんな感じもしないのに。

家に入ってみると、ゴードはなんだかよくわからないけど緊急で仕事の電話が入ったらしく、5分間くらい家を空けてしまいます。自分からゲストを呼んでおいて!? こんな豪邸に!?

なんだか不思議に思った夫妻。そしてサイモンがひどいジョークを連発します。
「君しか家にいない時にばかり訪ねてきて、あいつは絶対君とヤりたいだけなんだよ」なんつってね。そして家の中を勝手に探検しようと言ったりとか。

二階に上がってみると、子ども部屋があったりとか、女性物の服があったり、彼はやっぱり結婚してるみたいなんですね。
で、戻ってきたゴードに「今の仕事は何か」「結婚してるのか」などと聞くと、何でか話をはぐらかして、「今のは実は仕事の電話じゃなかったんだ。僕にお金があるわけじゃなく、これは元妻の家。で、今のも元妻からの電話で、子どもは全員彼女が連れて行ってしまったんだ」などとわけのわからない話を始めます。

あ、怪しい...これを聞いたサイモンはロビンを外に出し、サイモンに「もう二度と俺たちに近づくな」と強い口調で言って、家を去ってしまいます。

なんとなく罪の意識が芽生えてしまったロビンですが...

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その数日後、ロビンがランニングから帰ってくると、ゴードからもらった鯉が全部池の中で死んでしまっており、さらには愛犬のジャングルくんもいなくなってしまっていたんですね。

これは間違いなくゴードの仕業だと睨んだサイモンがゴードに家に行ってみると、そこはなんとゴードとは全く無関係の人が住んでいた家。警察の調べだとゴードはそこの家でお手伝いとして働いていただけだったんだとか。
なんでそんな嘘を...ゴード、怪しすぎますよね?

今まではゴードのことを優しい人だと思っていたロビンも、さすがにゴードのことが恐ろしく思えてきてしまいます。

ここからの演出、怖かったですよねえ。今までは明るくて光の差していたガラス張りの家が、逆に外から丸見えで常に監視されているように思えてきて、広い内部はどこに誰が忍び込んでいてもわかりづらくなってしまうというように、一気に恐怖に囲まれた場所になってしまうんですね。

でもこの映画、最初に言ったように、オバケも殺人鬼も、精神病患者も出てきません。あくまでも心理的な恐怖で攻めてくるのが一貫していてお見事。

恐怖から眠れなくなってしまったロビンは、友達の家で見つけた精神安定剤をくすねてきて、サイモンには内緒で飲み始めるんですね。時には、あまりの恐怖に家で気を失ってしまったことも...
で、だんだんと目の周りもクマだらけ、心なしかやつれていく彼女を見たサイモンは、逆に彼女を責め立てます。は!?

っていうのも、彼らがここに越してきた理由は、ロビンが仕事のストレスや流産の経験から睡眠薬やドラッグの依存症になってしまったから、状況を変えるためだったということが明かされます。そしてここでさらに明らかになるのは、独善的で人の話に耳を傾けないサイモンの性格です。

でもさあ、そもそもサイモンは最初からゴードのことを犯人と決めつけたり、最初は「いい奴だ」と笑顔で言っていたのに、彼が接触してきた途端に「あいつは変人だから近づきたくない」と言ったばかりか、「奴が俺のことを友だちというのが気に入らない。何様のつもりなんだ」などと見下す発言をしていたのでしょう?

もしかして、サイモンも何かを隠しているんじゃあ...?

そこから物語は怒涛の展開を迎えます。ここからの展開は緊迫感とスリルに満ち溢れていて、ご自身の目で確かめていただきたいところ。

でも確実に言えるのは、見るものすべての脳をぶっ飛ばすレベルの恐ろしさを体験できる映画であることは間違いないということです。

予告編に続いて、映画をすでに観た人向けに、途中の展開はすっ飛ばしてラストあたりの感想を書いてみますね。ここから先は必ず、映画を観てからご覧下さい...





ラストのネタバレあり感想


まあ簡単にいうと、サイモンがとんでもない鬼畜野郎だったというお話だったわけですが。

彼は本当に恐ろしい男ですね。

サイモンがゴードのことを「ゲイだ」とか「年上の男とカーセックスしてた(性的虐待を受けてたって、つまりそういう意味ですよね?)」という根も葉もない...というか、サイモンがゴードをはめるために作り上げた完全なる嘘を流したことでゴードは高校を追い出され、彼がゲイだと知って激怒した父親から殺されかけるという事件を起こしていたんです。

にもかかわらず、最初に会った時にはまるでそんなこと忘れてました、いや、覚えていたという証拠は十分に揃っているんだから、そんなこと自分は気にかけていませんよ、と言うような振る舞いをし、

真実を知ったロビンに「ゴードに謝罪して」と迫られたら、「あいつは自分の不幸を人のせいにして嘆いてるバカなやつだ! 俺だって不幸なことはあったけど、乗り越えて頑張ってるんだぞ! あいつに謝る理由なんてない!」とブチ切れ。

いやいや、彼が不幸になったのは、全部あんたのせいですから! 残念!

ゴードに直接謝りに行った際にも、「手遅れだ」と言われたら逆ギレ。ゴードに暴力を振るった挙句、「俺の謝罪を受け入れろ! そして二度と俺の家族に近づくな! 次はどうなるかわかってるんだろうな!」と脅迫さえします。

サイモンを演じたジェイソン・ベイトマンの演技が素晴らしかったですね。途中までは優しくて爽やかな夫に見えたのに、だんだんとサイコパスな本性を明らかにしていき、でもロビンと2人で家にいる時にはまた優しい顔に戻ろうとする...っていう切り替えの早さは本物の鬼畜にしか見えませんでした。

さらには仕事で上のポストに行くために、顔も知らないライバルを嘘の情報で陥れたりと、少年時代から彼は何も変わっていないんです。反省してないんです。だって、今までも力ですべてをねじ伏せてきた人だから。

そんな彼にも、ラストでついに天罰がくだります。

仕事で陥れたダニー・マクドナルドが家に復讐にやってきて、彼がやったことを全て暴露。
この件で今度こそロビンの信頼を完全に失い、不正がばれたことで職を失った彼。

唯一残されたのは、ロビンとの間にようやく授かった、念願の一人息子...
と思いきや、ゴードの復讐が、ここでついに最終局面を迎えます。

ロビンに「あなたと一緒の家には帰りたくない」と言われてしまったサイモンが家に帰ると、そこには今までで一番大きな贈り物が。中には赤ちゃん用のゆりかごと、CDとDVDが。

CDの内容は、夫妻がゴードの偽宅に呼ばれた際に話していた、「あいつはロビンとヤりたいだけなんだよ」と言う会話の録音。

そしてDVDの中には、ロビンが恐怖で倒れてしまった時に、猿のお面を被った「誰か」が家に忍び込んでいる映像。
猿のお面が何をするかというと、彼女をベッドに運び込み、彼女の股を映し、触ろうとしている映像...

そう、もしかしたらサイモンが息子だと思っている赤ちゃんは、ゴードがロビンをレイプしてできた子どもかもしれないんですね。

でも、ゴードの復讐の恐ろしいところは、もしかしたらゴードは「何もしていないかもしれない」というところです。

だってこのビデオ、もしかしたら別の誰かに撮らせただけかもしれないし、ゴードがロビンをレイプしている直接の証拠になる生々しい映像は映されていないんです。

鯉が死んだのだって、サイモンのやってきたことを考えれば他の誰かがやったことかもしれないし、あるいは水が悪かったなどの環境的な要因かもしれない。
愛犬のジャングルくんだって、本当に勝手にお出かけしていただけかもしれませんよね?

でも、サイモンがゴードに対する嘘を流したように、ゴードが「僕は彼女に触っていない」といったところで、この状況を信じるかどうかはサイモンの心に託されたというわけなんですね。

つまり、妻も仕事も、とにかくすべてを失ったゴードは、唯一残された息子すらも、「自分の息子ではないかもしれない」という疑念とともに生きていかなければいけなくなったということ。これがゴードの復讐だったということです。

こんなに心の芯まで凍えるような思いをさせられた心理サスペンス/スリラーは生まれて初めて観たかもしれません。それくらい、観るものの心に衝撃を与える映画になっていると思います。

そして以下のツイートは、私がラストの展開で一番怖いな、と思ったところです。いや、これはあくまで私の想像なんですけど。だとしたら、サイモンという人間の闇は相当深いんだなあ、と思わされたポイントでございました。



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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

Comment

  • 2017/04/24 (Mon) 02:38
    zebra #- - URL
    ゴードの復讐は 当然でしょね

    この作品は映画館でもみましたが再び DVDレンタルでもみました。けっこうよかった。

    サイモンはクズでしたね。 人間の成長過程で 起きた出来事はその人を一生支配します。 サイモンのウソのせいで 人生をメチャメチャにされたゴード。
    そんな彼を復讐心に凝り固まった大人へと育ててしまったのは まちがいなくサイモンに責任がある。

    なのに ゴードの復讐の原因がわかった後でも 謝罪に行ったときの サイモンは しょうがねえから謝罪に来てやったわ、の態度が見え見え。

    >あくまでも心理的な恐怖で攻めてくるのが一貫していてお見事。
    派手な演出はなかったものの、チェスの駒を一手一手 マス目に打ち込んで 地味で少しずつだが  サイモンをチェックメイトへと確実に追い込んでいきましたね。


    >そんな彼にも、ラストでついに天罰がくだります。
    ゴードとは別で サイモンの職場でのポストを巡って 同僚と競っていたので 彼が経歴に疑惑があるとかでたらめのニセメールを社内に流して クビに追い込んでいったことが 発覚し サイモンは職場を解雇。 子供を授かった妻のロビンからも信用を失い・・・

     でも あの赤ちゃんは ・・・ゴードはやってないでしょうね。
    行為に及んで妊娠させてしまったら かえって ゴードが 訴えられでもしたら 復讐も元も子もなくなるでしょうから。

     これだけ入念に復讐計画を練ったゴードが そんなことが予想できないほど浅はかじゃないでしょうから・・・

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