湯を沸かすほどの熱い愛 ネタバレ控えめ感想 熱く生きたくて。

このエントリーをはてなブックマークに追加


oj;lihukgycf

オススメ度 ★★★☆



あらすじ


1年前、店主で一家の大黒柱だった幸野一浩(オダギリジョー)が突然蒸発して以来、銭湯・幸の湯は閉まったまま。

それでも頑張って生きていかなければと、女将であり母である双葉(宮沢りえ)は、一人娘の安澄(杉咲花)と二人で支えあってきた。

しかしある日、双葉がパート先で急に倒れてしまった。
病院に運ばれて検査を受けた結果、彼女はすでに末期ガンに冒され、どんなに頑張ってもあと数ヶ月しか生きられないと告知される。

気丈な彼女は残された時間を使い、生きているうちにやるべきことを着実にやり遂げようとする。

uefjsdsas.jpg

感想


「店主が湯気のように蒸発しました。しばらく湯は沸きません。」

物語の舞台である「銭湯」にかけた、こんなユニークで小洒落たギャグ。普通のセンスの人に思いつくものではありません。

この映画、「湯を沸かすほどの熱い愛」は、末期ガンに冒されて余命数ヶ月の女性が、「死ぬまでにやるべきことリスト」を達成していくという、「どこかで聞いた」では済まないレベルにありがち...なように見えるのが話の大筋。

でも、この映画は冒頭のジョークのセンスが示すように、いわゆる「感動ポルノ」とは一線を画す美しい作品となっています。

主人公は、夫が湯気のように蒸発してしまった銭湯のおかみさん・幸野双葉(宮沢りえ)
戦闘が継続出来なくなってしまった今は、一人娘の安澄(杉咲花)との生活を支えるために、パン屋さんでパートの仕事をして働いています。けれど、安澄ちゃんはクラス中からひどいいじめを受けてしまっていて、毎日学校に行くのが辛そうです。

一家の大黒柱がいなくなっても、なんとか気丈に頑張って暮らしている2人。しかし、その日々はとある事件によって一瞬にして崩れ去ります。

ある日のパート中、双葉さんは突然倒れてしまいます。病院に運ばれた彼女に下された診断結果は末期ガン。すでに身体中に転移、脳にまで転移してしまっていて、どんなに長く生きられても2〜3か月ほどだというのです。

双葉さんは絶望の淵に立たされてしまいます。夫はいなくなり、娘はまだ高校生。さらにいじめを受けている彼女は、きっと私がいなくなったら...

双葉さんが考えているのは、自分のことではなく、自分が残していくことになる家族のこと。私がいなくなる前に、全部なんとかしなきゃ。双葉さんは立ち上がり、死ぬ前にやるべきことを達成するべく行動を開始します。

dnsfjksead.jpg

こういう映画だったら普通、「死ぬ前にやりたいことリスト」っていうのは「昔の恋人に会ってヨリ戻したい」とか「海外旅行に行ってみたい」とか、あくまで自分が今まで満たせなかった願望を満たしていくっていうのがパターンだと思うんですが、

双葉さんの場合はその性格からか、「周りの人間を幸せにするために何ができるか」という強い信念のもとに行動するあたりに好感が持てますね。

そして演じる宮沢りえ。観る前は、その儚げな表情は肝っ玉母さん的な役柄に合っていないのではと思ってしまったんですが、全くそんなことはありませんでした。病気のことを知らされた時の驚きと絶望が入り混じった表情から、そこから立ち上がり、決意を新たに行動を始める時の清々しくも強さを感じさせる笑顔など、とにかく表情がよかったですね。
彼女の顔を見ているだけで涙が溢れてきそうになったこともしばしば。意外すぎるハマリ役でした。

双葉さんが最初にやらなければならなかったことは、亭主を見つけて銭湯を再開すること。
探偵の滝本さん(駿河太郎の優しさに満ちた細やかな演技が光る!)に依頼をしたら、なんと隣町に...若い女の人の服を干している彼の写真が、あっさり撮れてしまったではありませんか!

それを知るなり、行動力のある双葉さんは早速亭主のいる家に突入!
出てきた一浩さん(オダギリジョーの力の抜けた演技はいつもどおり最高です)は飄々とした態度で「元気だった?」なんて聞いてきます。

その直後、一浩さんが握っていたおたまを奪い取って、頭を殴ったーーーー!!! 強いですね、双葉さん。
後からも、わりと頻繁に双葉さんが誰かに手を出している描写があって、そこはちょっと評価が分かれるところなんですかね。状況が状況とはいえ、そんなに暴力に頼っちゃだめでしょ、っていうのは今時の若者的な感覚なのかな。

一浩さんが家を出たのには事情があって、なんと約10年前くらいに行った風俗のお店でやっちゃった女の子に子供ができちゃったらしく、この間再開した時に「どうしよう...」って泣きつかれたから仕方なく一緒に暮らすことに(ここで蒸発)。

で、ちょっとしたらすぐに女の人の方が逃げちゃって、もう一人の娘・鮎子ちゃん(伊東蒼)と2人で暮らしてたんですって。

で、双葉さんは一浩さんに地獄を与えに来たのかと思いきや、状況が状況なのでそうでもなく。
彼と鮎子ちゃんを一緒に家に連れて帰り、再び銭湯をオープンすべく活動を開始。幸野家は、ここから再び始まったわけです。

sfdhugvbfjnsa.jpg

ここからの展開...いやあ、何も話せないですね。

っていうのも、序盤から出てくる全部のセリフが、後半の伏線になっているから。

何気なく交わしている会話の中に含まれた一言一言が、後半で涙を誘う展開で「ああ、こういうことだったのか!」と次々回収されていく様子はとっても爽快だし、本当にお見事だと思うんです。

小さなエピソードが連続しているような構成なのに、一つの感動的なラストにつながっていくような巧さも本当に素晴らしくて、劇中で何回泣いたか数え切れないくらいだったんです。終わった後も、多分目が真っ赤だろうから恥ずかしくてなかなか劇場を出られなかったくらいなんです...

けど!!

はい、すみません。観終わったあと、なんでかこの映画を手放しで「最高だった!」と手放しで絶賛できなくって。この「けど」が頭をぐるぐる回りに回って離れなかったんですよ。
間違いなくいい映画で、すっごく感動もしたのになんでだろう。その理由をずっと考えてたんですけど...

きっとね、この映画が整理されすぎてたっていうのが一番の理由なのかなあ、と思うんです。

っていうのはこの映画、始まってからラストまで、ずーーっとギア全開なんですね。

主人公の病気が発覚→戦闘復活のために夫を連れ戻して、新たな家族生活スタート→家族のメンバーそれぞれの問題を解決して、私がいなくなっても大丈夫なようにしなきゃ!

っていうのがこの映画の大まかな流れ。で、家族それぞれの問題を解決していく部分は、短編ドラマを連続で見ているような構成になっているんですが、

とにかくベッタベタに泣かせの展開が連続して続きます。普通の連続テレビドラマが10話、CM除くと約400分くらいかけて導き出す感動的なシーンが、10〜15分に一度やってくるような感じです。

双葉さん、そして彼女の家族たちが、その感動を呼ぶ行為に挑まなければならない理由が明確に描かれているため、それらの展開もあまり不自然とは感じられないのは本当にすごいと思うんですが、

にしても、こんだけ盛り込むか、みたいな。私みたいに性格が悪くて素直な気持ちで映画を観られない、くだらなくてつまらない、存在しないほうがマシな人間は、途中から「もうちょっとスローダウンしてもいいんじゃない?」って、ちょっとずつ涙腺が閉じてきてしまってたんですよ。

銭湯を舞台にしているのに、そこ絡みのエピソードもちょっと薄かったかな、とか。
旅先での話だったり、安澄ちゃんの学校でのエピソードだったり、一つ一つの話は他で見たことがあるとは言わせないほど工夫に満ちていて、それらが全部ちゃんとラストに帰結していくようになっているのは本当にすごいなあと思うんですが、

だからこそ、あのビッグで、今年のどんな映画よりも衝撃的なラストをもっと感動的にするためには、他のエピソード然りなんですけど、もっと銭湯まわりで起きた事件のエピソードを掘り下げてみてもよかったのかなあ、なんてど素人が生意気すぎる感想をもっちゃったりもしました。本当にすみません。

とはいえ、本当にいい映画で、誰もが双葉さんの最後の2ヶ月に共感し、涙を流さずにはいられないこと間違いなしの感動作。

絶望的な状況でも明るく、いつも自分ではない大切な人たちのことを考えている双葉さんの姿を観たら、先に述べたような野暮な意見を持ってしまったことが申し訳なくなってしまうほどいい映画だと思うんです。

予告編に登場する言葉、「この感動は 予測できない」
それはまぎれもない真実です。湯を沸かすほどの熱い人物だった双葉さんの人生に、あなたの心も熱くなる!



関連記事
スポンサーサイト
Theme: 映画感想 - Genre: 映画

Comment

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

2017/02/10 (Fri) 03:26

夫が蒸発し、中学生の娘がイジメに苦しむ中、 突然余命2ヵ月と宣告された主人公が、 絶望する事なく持ち前の明るさで家族の再建に奔走し、 周囲を大きな愛で包んでいく姿を描く... 【個人評価:★★★ (3.0P)】 (劇場鑑賞)

cinema-days 映画な日々 - http://iwa40.blog6.fc2.com/blog-entry-5713.html