新宿スワン 感想

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オススメ度: ★

あらすじ:

ここは新宿歌舞伎町。どん底から這い上がるにはふさわしい場所だ。

そんな街に文無し,仕事もなし,ただ野心だけを胸にやってきた白鳥龍彦(綾野剛)は,チンピラに絡まれてボコボコにされているところを真虎(伊勢谷友介)という男性に助けられる。

真虎は龍彦に何かを見出し,彼を「スカウト」にならないかと誘う。
「スカウト」とは街行く女性たちに風俗・キャバクラなどを紹介し,それによって手数料を得て儲ける仕事である。

果たして龍彦は,歌舞伎町でのし上がることができるのか...

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チープ,チープ,チープに次ぐチープ。

いわゆるポン引きの類であるスカウトを「優しい」などとヒーロー扱いしてしまうのはいかがなものなのかなどの倫理的な疑問も様々あるとは思いますが,そんなことを全て差し置いても一本の映画としてつまらない。

大人版「クローズ」とも言える今作ですが,とにかくどこを目指しているのか,誰に観て欲しいのかが全くわからない迷作となっています。

女性を風俗などの店に紹介するスカウトたちの姿から繁華街に生きる人たちの苦悩を描こうとしているこの映画ですが,
にも関わらず登場人物たちのバックグランドや苦悩の理由,それぞれの行動原理みたいなものを徹底的に避けて描写しているために生々しさやリアルさみたいなものが全く伝わってきません。

例を挙げると沢尻エリカ演じるアゲハ。詳しくは書きませんが,あれじゃただの頭のおかしい人じゃないですか。なんであんな風になったのかとか,理想と現実のギャップに苦しむようになったのかという過程が重要だと思うんですけどね。
あまりに多くのキャラクターを登場させようとしすぎたからなのかな,と思いきや...

その代わりとして描かれるのは殴り合いの喧嘩。
2時間19分という長い上映時間の間,冗談抜きで2/3くらいは殴り合いのシーンを見せられていたんじゃないかと錯覚するほどなのですが,とにかく血を流して殴りあうのがこの監督さんにとっての「熱さ」とか「リアル」ってことなんですかね。

そのくせその喧嘩シーンも固定カメラで動きがなく,ただただ引いたところから不良が殴り合ってるところを見せつけれらてるだけ。

とにかく細かい心理描写なんかをおざなりにして,困ったらとにかく殴り合いに持ち込んで,お互い血みどろになったら「お前は今日からダチだ」みたいな痛々しくて耳を塞ぎたくなるようなクリシェでことを済ませようとする...という流れを一本の映画の中で何回やる気なんだよっていう。限りあるはずの上映時間が永遠にも感じられました。
喧嘩シーンをもうちょっと削れば,それぞれのキャラにスポットライトを当てる時間も作れたのでは,って思うと残念です。

で,誰だよこの脚本書いたの...って思いながらエンドロールの文字を見ていたら,私の目に飛び込んできたのは「鈴木おさむ」という文字。思わず口の中で「そういうことか...」とつぶやいてしまいました。(※水島力也さんにはあえて触れません)

こんな突っ込んだ題材を取り扱うというのに,毒にも薬にもならない無難なのほほんとした脚本が得意なテレビの放送作家さんを連れてくるとかいったいどんなセンスしてるのか,ちょっと理解に苦しみました。いや,鈴木おさむさん自体がダメとか言ってるのではないんですけど,やっぱり世の中には「適材適所」っていう言葉があるよね,という意味で。

綾野剛の三枚目っぷりは似合ってたし,山田孝之は相変わらず演技うまいなあ...と思わず見とれてしまうような部分もあったり,話題の若手よりも実力派を集めたキャストには素直に好感が持てたんですが,俳優陣の熱演も虚しく全てが空回り。

いったいこの映画は誰に勧めればいいんだろう...
綾野剛が大好きか,もしくはイケメン俳優たちが殴り合ってる姿に萌えられる女性の皆さんは観に行くといいのかなあとも思ったんですけど,映画の中で女性があんまり大事にされていないので,女性の皆さんからも微妙に反感を買いそうな気がするんですよね。

映画っていうのは何を描きたくて,どこに向かっているのかをちゃんと明確にさせないとつまらなくなりますよ,っていうお手本のような映画。
日本にラジー賞があったなら,最悪映画賞は待った無しだったでしょう。合掌。


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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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