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グローリー -明日への行進- (Selma) 感想

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オススメ度: ★★★★☆

あらすじ:

黒人差別が根強く残る,1965年のアメリカ。
黒人の有権者登録が白人の手によって故意に妨害されているということはとりわけ大きな問題となっており,マーティン・ルーサー・キング牧師(デヴィッド・オイェロウォ)は大統領への直訴を含め,アラバマ州の都市セルマを中心に抗議活動を展開させていた。

そんなある日,黒人数百人でのデモ行進を行ったキング牧師の一団は,待ち受けていた白人の警察官や民兵たちによって警棒やムチ,催涙ガスによって攻撃され,多数の怪我人を生んでしまう。

その様子はテレビ放送され,その酷い現実は全米に知れ渡る。
それを受け,白人をも含め運動を支持する人々が全米からセルマに集結。黒人の選挙権をかけた,最後の大行進が始まる...

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有名なキング牧師を,なんと映画の歴史上初めてテーマとして取り上げた(らしい)今作。
最近は毎年のように黒人差別をテーマにした映画が発表され,そして必ずアカデミー賞にノミネートされるのがもはや慣例みたいになっていますね。

そのどれもが「白人=悪」みたいな極端で単純な描き方をしていて,
差別化を図れる部分としては「差別をされている側の人間の苦悩をどれだけ的確に描いているか」という部分だけになってしまっているので,「もうお腹いっぱいですわ...」なんて思っている人もいるのでは。

そんな方々にこそ観ていただきたいのがこの「グローリー」です。

この映画のどこがすごいかって,白人が黒人を差別する最大の理由を,「人種隔離こそがアメリカのあるべき姿である」という考え方が人々に刷り込まれていることなのだとキッパリと断定してみせたこと。

だからこそ,黒人差別を撤廃しようという法案を通して選挙の有権者たちを敵に回すようなことは絶対にしたがらない政治家たちの行動原理は,黒人差別の現実を身近には感じていない我々日本人にとっても非常に明確に表現されているし,
「政府の方針などクソ食らえ」と明言しながら黒人たちを痛めつける白人たちの不条理さがどこから来るのかというのもとてもわかりやすい。

大統領を始めとするホワイトハウスの面々が世論に踊らされ右往左往する様を確信犯的に皮肉っぽく描いているのも,慣習や周囲の人間の意見に簡単に流され,結果として差別を助長している人々の象徴として描いているのも作品のメッセージ性を強めていてグッド。

なのでこの「グローリー」はエンタメ作品としてだけではなく,人種差別の問題はどうして今でも根強く残っているのかということをわかりやすく教えてくれる,非常に勉強になる作品とも言えるわけです。

そしてキング牧師をヒロイックに描くこと以上に,キング牧師の周囲にいる人々がどんな思いで,また何を犠牲にしてこの運動に参加していたのかという点にフォーカスしたシナリオも素晴らしい。

特にキング夫人が「子供たちを殺してやる」という脅しに常にさらされ,しかもいつも遠くにいるキング牧師は夫人が自宅で彼の帰りを待っているその間に他の女性と浮気をしているという孤独感・恐怖感を吐露する場面の説得力と緊迫感たるや。

確かにこの映画も他の黒人差別をテーマとして描いた作品と同じく,黒人活動家の高潔さと,差別によって自らの価値を相対的に高めようとする白人の卑しさを対比的に描いてはいるものの,
その黒人活動家たちの先頭に立つキング牧師自体も清廉潔白なパーフェクト超人ではなかったという点をも正直に描き出して物語にリアリティをプラスした点には好感が持てます。

運動に共感した白人をも巻き込んだ最後の行進,そしてその後のスピーチはまさに「グローリー」という感じですが,のちの彼らを待ち受けている運命,そしてJohn LegendとCommonが歌う主題歌の"Glory"の歌詞からも,現在まで黒人たちの戦いが続いていることは明らか。

それでもキング牧師の最期を映像化せず,彼の喜びのスピーチで映画を終わらせたのは,自身も黒人であるエイヴァ・デュヴァーネイ監督の願いが込められているのだと思います。

もう黒人差別に対する映画が作られることがなくなった時。
きっとその時こそが真の平等が訪れた,平和な時代であると言えるのではないか。
そんな思いを我々に呼びかける,力強い作品に仕上がっています。




ちなみにこちらが主題歌の"Glory"です。オスカーで主題歌賞を受賞した名曲。映画と一緒に是非!

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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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