2015年 上半期の映画 ワースト7

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早いもので2015年も早くも半分を過ぎようとしています。

今年はシリーズもののアクション映画の新作が次々と公開されていますね。「ワイルド・スピード」に「マッドマックス」,さらには「ジュラシック・ワールド」など。今後は「ミッション・インポッシブル」の新作の公開も待っていたりと盛りだくさんです。そしてそのほとんど全てが批評家からも一般観客からも高い評価を受けているのも印象的です。

そんな中,それらと同じかそれ以上に莫大な予算を使って,大音量での銃撃戦や爆撃に命をかけているのに,観ていてどうしても眠気から逃げられない映画なんかも当然あるわけです。

今回の記事では,そんな2015年上半期の映画の中で,(つまらなすぎて記憶に残っていない映画がなければ)私が最もつまらないと感じた映画7本を独断と偏見によって選んでみました。夏休みに家族で観るDVDを選ぶ時にでも参考にしていただければこれ幸い...

ちなみに以前に感想を書いた作品はタイトル部分から本記事に行けるリンクを貼ってありますので,ご覧いただければそれもまた幸い。

では早速!



7位: アニー (Annie)



名作ブロードウェイミュージカルを「小悪魔はなぜモテる!?」のウィル・グラック監督が現代風にアレンジした今作は,素直さや健気さの欠片もない主人公アニーをはじめ,グレッグ・カースティンとJay-Zがプロデュースした軽薄な音楽や,緊迫感のない緩〜いカーチェイスなど全てにおいて安っぽさが目立つ凡作。
作品のキーとなる名曲"Tomorrow"を歌としてもBGMとしてもしつこいくらい流し続けているので,エンディングの頃には食傷気味になってしまうこと間違い無しです。


6位: バンクーバーの朝日



スポーツをテーマに扱った映画は数あれど,ここまで盛り上がらない野球映画を私は初めて観ました。
日本人が差別を受けていたカナダで,ただの弱小球団だった野球チーム・バンクーバー朝日がカナダ人にはない器用で細かい技術を使って勝ち進んでいく...というのはそれだけでもドラマになりそうなもの。
しかし「舟を編む」の石井裕也監督は終始鬱屈としたトーンを崩そうとせず,さらにチームのリーダーを最もグズグズしたキャラクターに設定してしまったために,野球を通じて差別と闘う姿など観客が求めている展開から徹底的に逃げるしかないという残念な結果に終わってしまった映画となっています。
主役となるべきバンクーバー朝日のメンバーよりも,高畑充希が演じる主人公の妹が差別と闘う姿の方が勇ましく感じられてしまうことには虚しさすら感じられます。


5位: しあわせはどこにある (Hector and the Search for Happiness)



「最近なんかつまんねーなー」と思い立った金持ち精神科医が「世界中の人たちが何に幸せを感じるのか調査したい」というもっともらしい名目のもと,飛行機はビジネスクラス,ホテルは最高級ホテル,そして旅先で絡むのは英語ネイティブの欧米人ばかりという,何のために旅に出たのか全くわからないただの道楽を約2時間に渡って見せられるという嫌味な映画。しかもそこに,どこかで見たような人生の教訓をちょいちょい上から目線で挟んでくるから始末が悪いです。

しかも美人で尽くしてくれる彼女がいるというのに,なんとなく刺激がないという理由で旅に出た直後に一回り以上年齢の違う学生売春婦と事に及ぼうとしたり,大学時代の彼女とワンチャン期待して会いに行った結果見事に振られ,長いことほったらかしにして愛想を尽かされかけた現在の彼女に「やっぱり君が一番だよぉぉぉ」と泣きつく中年オヤジの姿の痛々しさたるや。

世界中どこに行ってもみんな英語を話す人に合わせてくれるだろうという欧米人の傲慢さが全面に出てしまっているのも個人的にはNGですが,主演のサイモン・ペッグが日本向けのコメント映像で「日本のみなさん,こんにちは!」と頑張って挨拶してくれている,その人間性だけが唯一の救いといえるでしょうか。


4位: チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密 (Mortdecai)



主人公はちょびヒゲしか個性がないインチキアートディーラーと,ヒゲアレルギーの奥さん...いい歳の大人が聞いたらその時点で「は???」となりそうなくだらなさすぎる設定からファミリー/こども向けの作品なのかと思いきや,登場人物の中にはセックス依存症の絶倫男は出てくるし,ジョニー・デップはことあるごとにグウィネス・パルトロー演じる妻と行為に及ぼうとするし,私にもしこどもがいたら絶対に一緒には観たくないですね。
今なにをしてるのか全く意味不明なストーリーに,寒すぎるギャグをジョニー・デップがあのいつものノリで次々挟んでくるんだからたまらない。久々に上映途中で帰ろうかと思った映画でした。劇場に観に行った時には中20分間くらい寝てしまったので,このレビューを書くためにわざわざDVDを借りてきてもう一回観たんですが,やっぱりなんの話かわからなかったです。

そもそもジョニー・デップって,ここ5年くらいで一作でも面白い作品でてました? 声優としての出演をカウントしていいなら「ランゴ」だけは面白かったかな。
再来年には「パイレーツ・オブ・カリビアン」の新作も公開が決まっていますが,なんかだんだんとジョニー・デップのあのノリが見てて笑えなくなってきちゃって,興味が持てないんですよね。私も年かな。


3位: ジュピター (Jupiter Ascending)



アメリカのシカゴで清掃員をしているジュピター(人の名前です。嘘だと思うでしょ?)は,実は宇宙を支配する木星の女王の生まれ変わりで,彼女の女王即位を防ぎたい王族の兄妹達から命を狙われ,ジュピターをそこから救いに来た狼と人間のハーフの下級兵士と身分違いの恋に落ちる...ああ,書いていて恥ずかしくなってきた...

あまりに安っぽいシナリオと,お金だけはかかってそうなのに臨場感や迫力が微塵も感じられないCGには,観終わったあと言葉も出てきませんでした。

そしてエディ・レッドメインが演じる悪役の,かすれ声でボソボソつぶやくマザコンキャラ。あれは恐ろしい。ミラ・クニス演じる主人公・ジュピターがラストバトルで吐き捨てた,"I'm not your damn mother (あたしはあんたのバカなママじゃないの)"は映画史に残る迷言でしょう。

エディ・レッドメインは本当に「博士と彼女のセオリー」で病気に侵されながらも絶望と希望の間で戦い続けるホーキング博士の姿を完璧に演じきった彼とは同じ俳優だと思えないほど。彼自身はいい俳優さんなんですよ。監督がああさせているだけなんです。誤解しないであげてください。


2位: ラブライブ! The School Idol Movie



2次元の少女たちに欲情できる一部の男性から搾取するために作られた,劣悪でたちの悪いAV。

とりあえず海外に行っておけば面白くなるだろう,という浅はかな考え,「何のために歌うのか」「何のためにグループとして活動するのか」というちゃんと突き詰めれば面白くなりそうな問題提起に対し,「私は飛べるぅーー!!」などとよくわからないけれどなんとなーく良いこと言ってる風の演出でごまかしてしまった底の浅いストーリー,
さらに「ライブ」とタイトルについているくせに観客の一切出てこないライブシーンに,今時こんなにカクカクしたCGがあるのかと逆にびっくりしてしまう不自然で不気味なダンスシーンなどなど,作りがあまりに雑。

それなのに女の子のジャージに食い込むケツのアップだの,普通に一本の映画として考えた時にはどう考えても不要なスケベ心満載のシーンばかりを挟み込んでくるといういやらしさだけは一流です。
とりあえずシリーズのコアなファンを性的に興奮させられれば儲けられるだろうという,登場キャラクターたちの処女っぽさとは裏腹の卑しい考えが前面に露出してしまった不埒すぎる一本となっています。


1位: 新宿スワン



どの作品を観てもただただ安っぽくて意味不明なだけなのに,銀幕の裏では「わかるやつにはわかるだろ? 俺の芸術が」とドヤ顔している監督の顔だけがいつもはっきりと浮かんでくる園子温監督が,これまでで最もまともで普通な映画を撮ろうと悪戦苦闘した(であろう)今作が,2015年の暫定ワースト映画。

歌舞伎町で職を探す女性に風俗店やキャバクラなどを紹介するという「スカウト」として働く男たちの奮闘や抗争を描く...という時点でR指定は免れようもないはずなのに,全国での大規模公開にビビった製作陣はこれをなんとかPG12の枠に収めるべく,本来ならばもっとエグく,でもだからこそ深みが出たであろうエピソードたちを浅く柔らかく,そして雑に取り扱っています。
例えば沢尻エリカ演じる風俗嬢・アゲハが覚せい剤にハマっていった経緯とか,真野恵里奈演じるエリコが自傷行為を繰り返してしまう理由とか,掘り下げれば面白さが出たはずなのに。

作品冒頭で「歌舞伎町は底辺からのし上がるのには最高の街だ」というナレーションが入っていますが,その理由や,歌舞伎町に集まってくる人々のモチベーションはどこにあるのかなどを全く明らかにしないどころか,それを明言してしまうことをあからさまに避けているあたりに監督の思い切りの悪さを感じます。

そしてその代わりとして描かれるのは,いつも大した理由なくなんとなーく始まる殴り合いの喧嘩。2時間20分という超尺のうち冗談抜きで2/3くらいは喧嘩シーンを見せられていたんじゃないかな。
そのシーンにも面白みがあればいいんですが,特にカメラワークやアクションに特別すごいところがあるわけではないというのも残念ですね。

セリフもまた寒いこと寒いこと。特に山田優演じるクラブのママの「歌舞伎町の女ならね,カッコよく生きな」と主人公・龍彦の「今日から俺たちはダチだ」は,私の中で先述の「ジュピター」の"I'm not your damn mother"と揃って2015年最も背筋を凍らされたセリフトップ3を形成しています。

全てにおいて中途半端さが目立ち,観ている最中に「どうした,もっと本気でかかってこいやぁ!!」とついつい挑発したくなってしまう生ぬるい一本。
園子温監督は「俺の魂がうんちゃらかんちゃら」とか寒いこと語ってる前に,もっと信念と勇気を持って映画を作れよ,と言いたくなります。
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