ラブ&ピース 感想

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オススメ度: ★★★

あらすじ:

ロックミュージシャンになるという夢に破れて以来,サラリーマンとしての仕事はダメダメ,友人もおらず職場の同僚たちからはいつも罵声を浴びせられているのが主人公の鈴木良一(長谷川博己)
そんな鈴木は同僚の一人・寺島裕子(麻生久美子)のことが気になっているが,まともに話すことすらできない日々が続いていた。

ある日,いつものようにビルの屋上で一人昼食を食べていた鈴木は,そこで売っていた亀にどういうわけか運命を感じ,その亀を飼うことに決める。鈴木はその亀にピカドンという名前をつけ,まるで親友に話しかけるかのようにピカドンに自分の夢や裕子への本当の気持ちなどを打ち明けるのだった。

ピカドンに対する愛情が日に日に強まっていった鈴木は,ついには会社へピカドンを連れて行くようになってしまう。しかしひょんなことから同僚たちにバレて,これまでにないほどバカにされてしまう。
パニックになった鈴木は,ピカドンをなんとトイレに流してしまう。

後悔するも時すでに遅し。流されたピカドンは下水道を通り,地下に暮らす謎の老人(西田敏行)の元へたどり着くのだが...

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最初に言っておきますと,私はアンチ園子温です。
さんざん意味不明で寒いことばっかり撒き散らしておきながら,最後はなんか深いこと言いました〜鋭い人はわかるだろ〜みたいな展開で幕を閉じるんですが,結局考えてみても大して意味のあることじゃないっていう映画がほとんど。

演出にはやたらとまるで血を流すこと=「リアル」とでも言いたげにグロいシーンばかりを意味なく挟み込んで来て,しこまそのどれもが安っぽくて退屈だという。アンチと言いつつ彼の作品はほぼ全て劇場で観ているのですが,そのほとんどで眠気に勝てなかったです。
映像の作り方自体も超チープで,映画を見に来たはずが,木曜日の夜11:50からいからやってる深夜ドラマでも見せられてるのかというクオリティの低い映像世界も私にはちょっと合わないですね。

彼の作品の中に「俺は園子温だ!」という映画がありますが,彼の映画は全て画面上をその言葉が埋め尽くしているような,作品が持つメッセージとか物語の面白さよりも監督自身の自己主張と自己満足ばかりがガンガンぶつかってくるところがあって,それがとにかく苦手なわけでございます。

で,そんな大嫌いな園子温監督の最新作となる今作。
なんとなんと,最後までちゃんと起きて観ていられました。私自身ビックリしちゃいましたね。

もう内容がバカすぎて。ドジでとろくて挙動不審な主人公・鈴木良一を演じる長谷川博己は「ヒョァァァァ!!!」「キェェィィィ!!!」みたいな謎の叫びを繰り返す完全な不審人物だし,
物語が進むにつれてだんだん巨大化していく亀のピカドンは手作り感満載というか,もういつの時代のNHKの子供向け番組から引っ張ってきたのかと呆れるほどにチープだし,
そして宣伝でも謳っているラストの巨大怪獣映画風な展開もまただっさいんですよ。演出が。この映画ってたしかプロの特撮監督さんが協力したってどこかで読んだ気がしたんですが,だとしたら自分はその監督さんが撮った特撮映画は観ないなあ,って思うレベルの低クオリティ。

でもその全てが,なぜか今回に限っては許せちゃったんですよ。
観ながら「うわ,これひでーなー」って思いながら,ついつい笑いがこらえられなくて。とにかく最初っから最後まで,薄ら笑いが自分の顔が消えてくれなかった。こんな経験をしたコメディ映画は今までほとんどなかったんじゃないでしょうか。

ただし,相変わらずシナリオは欠陥だらけでしたね。
鈴木良一がなぜ麻生久美子演じるヒロインの寺島裕子に心惹かれたのかという部分が全く不明,っていうか寺島裕子のキャラが最後までわけわかんなかったです。最初の方で通勤中にロックなTシャツを着て,ヘッドフォンから音漏れするくらいの大音量でロックを聴いてたりとかしてたので,地味だけど本当はロックな魂を持ってるところに鈴木は惹かれちゃったのかな?とか思ってたらそういう描写は一切出てこないし,
西田敏行のパートは物語の進行上で必要だったんだろうけど,結局収集つかなくなっちゃって,一応のオチをつけるために安いおセンチな展開に逃げちゃったあたりとかは残念と言わざるを得ないですね。

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しかし本筋の,鈴木が本当に求めていたのはミュージシャンとして売れることじゃなく,かっこよくて自分に自信を持てる人間になって,裕子に想いを伝えられるようになることだった...というのを,だんだんと膨れ上がっていく鈴木の想いを象徴するように巨大化してしまったピカドンが,鈴木と2人で思い描いていた日本スタジアムという夢のライブ会場で爆発させる,というのは見事なオチだと素直に思いました。

でも途中から完全に付き合ってる風の感じだったじゃん!あれなんだったんだよセフレか!と突っ込みたくなったのは私だけなんでしょうか。私だけですね。きっと。
まあそれを除けば,少なくとも私の中では園子温監督の映画で最も筋の通った作品であったことは間違いありません。

あとは役者陣も頑張っていましたね。主演の長谷川博己のコミカルな演技も良かったですが,個人的に良かったのはやっぱり西田敏行ですね。だって簡単に言っちゃうと,あれって一人芝居ってことですよね。だって実際に人形が動いて喋るわけじゃないですし,声優さんだって現場にはいなかったでしょうから。
それでいて壊れたおもちゃたちに話しかける仕草とか,まるで生きている人間と話しているような彼の演技はさすがベテランの実力を感じました。あと酔っ払っている演技もすごかったですね。マジで泥酔するまで飲んでから演技してるのかと思ったほどです。焦点の合わない目とか呂律の回らない感じとか,もう完璧でした。

そして,この映画を語る上で欠かせないのはメインテーマとして劇中で100回以上はリフレインしてるんじゃないかという勢いの楽曲「ラブ&ピース」ですね。正直悔しいんですが,映画を観てから3日くらい経った今でもこの歌が頭から離れません。本当に悔しいんですけど。

最後に一言いいたいのは,この映画は決して泣ける映画じゃありません! 予告編では可愛い顔した女性たちが涙を流してますが,映画を観終わって「彼女たちはどこで泣いてたんだろう...」と5分間くらい考えずにいられなかったくらいです。

とにかく今年最もおバカなコメディ作品です。頭を空っぽにして楽しむのが吉かと思います。
アンチ園子温の私でもそれなりに楽しく観られたくらいなので,ファンの皆さんからしたら恐らくは失禁ものの大傑作だと思います。
私のようなアンチ園子温の方も,そして監督のファンの方はもちろん,一度観に行って損はない作品であると思いました。

あっ最後の最後に褒めちゃいましたね。

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Theme: 映画レビュー - Genre: 映画

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