バケモノの子 感想

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オススメ度 ★★★★★



あらすじ


母親を失い,離婚して出て行ったきりの父親も自分に会いに来てくれず,一人ぼっちになって全てから逃げ出してきた少年・蓮(宮崎あおい/染谷将太)は,渋谷の人混みの中ふさぎこんでいた。

そんな蓮に声をかける謎の男。
蓮が男の顔を見上げると,それはなんと人間ではなく,熊の顔をしたバケモノだった。熊徹(役所広司)と呼ばれているそのバケモノは,蓮に「俺と一緒に来るか」と呼びかける。

その呼びかけに運命を感じた蓮は,去りゆく熊徹の姿を追いかけて,ビルの隙間へと迷い込む。
そこを抜けると,蓮の目前には見たこともない不思議な世界が広がっていた。
そこは,熊徹のようなバケモノが暮らす世界・渋天街

熊徹はその中でも有名な存在で,渋天街のリーダー的存在である「宗師」の次の候補として名が上がっているような存在であった。しかしその粗暴な性格から,宗師になるために必要な条件である,弟子を取ることができずにいたのだった。

そこで熊徹は,蓮を新たに「九太」と名付け,自分の弟子にすることを決める。
そこからバケモノと人間の,奇妙な師弟関係が始まったのだが...

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感想


ああ,こんなにもツッコミどころが満載で支離滅裂な話が,どうしてこんなにも愛おしいのでしょう。

「時をかける少女」で知られる細田守監督の最新作は,監督の持ち味である圧倒的な創造性が爆発した,奇跡のアニメーション大作に仕上がっています。

いや本当にね,プロットにはツッコミどころしかないんですよ。
みんなから嫌われてる熊徹がそもそもなぜ宗師候補に選ばれちゃったのとか,九太はあんな田舎っぽい実家から一人でどうやって渋谷に来たんだよとか,ラストバトルの一郎彦がクジラになっちゃった理由適当すぎだろ,あそこは普通イノシシなんじゃないのとか,正直挙げていったらキリがないほどなんです。

そのあたりから,おそらく7割方の人にとっては非常につまらない映画なのではないかと思います。私が劇場に観に行った時にも,上映終了後に周りから聞こえてきた声のほとんどは「あのラスト適当すぎね?」「話浅すぎだよね〜」みたいな批判の声ばかりでしたし。
特に映画好きを自認していればいるほどに批判したくなっちゃうような映画なのではないかな,とも思います。

でもね,この映画の中に広がる美しい世界観と,個性的で魅力的すぎるキャラクターたちを観ていると,そんなことはどうでも良くなってきちゃうんです。

細田守監督の描く世界はいつも壮大だけど,そこに生きる人々の営みはいつも素朴です。
広い世界の中の小さなコミュニティの中で細々と,でも生き生きと暮らすその姿に心を打たれます。

この「バケモノの子」もそう。渋谷と渋天街という2つの世界を舞台としつつ,実際に描かれるのは九太と熊徹という,一人ぼっちで生きてきた2人が出会い,家族になっていくヒューマンドラマです。

人間とバケモノ,種族は違えど,同じ思いを抱えて共感できればわかりあえるんだというメッセージは家族向け映画としては満点をあげたいわかりやすいテーマですし,
最初はみんなから蔑まれていた九太が熊徹の修行によって力をつけていき,バケモノの世界で認められていく過程を描くことで,イノシシの被り物を被ってバケモノとして認められようと必死になっていた一郎彦が,ありのままの姿で認められている九太を憎むようになる流れも非常に自然だったと思います。

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また俳優陣の馴染みっぷりも良かったですね。

前作「おおかみこども〜」から連続出演の宮崎あおい演じる九太は,生意気さとその裏に抱える孤独がうまく表現できていましたし,
熊徹を演じる役所広司はさすがの実力。もはや役所広司ってこんな声だったっけ?というほどの入り込み具合で熊徹というキャラクターに命を吹き込んでいました。

とにかくそれぞれの登場人物たちが凄まじく個性的で,その作り込まれた世界観と相変わらずの映像美で,観るもの全てを細田守ワールドへと引きずりこんでくれる。それこそが今作の最大の魅力であると思います。

確かにこの映画は欠陥も多いです。素人の私ですら,「ここの展開はもっとこうしたほうが〜」なんて思っちゃったところも多々有ります。でもそんな欠陥すらも愛おしく思える,そんな不思議な魅力に満ち溢れた作品です。

2時間という上映時間が15秒ほどに感じました。でも,劇場を後にして外に出た時には,まだ2時間しか経っていなかったということに衝撃を覚えました。劇中の九太が過ごした9年間という歳月を,まるで自分も体験したかのように感じていたから。

批判の多い作品だと思います。でも誰がなんと言おうと,私はこの作品を愛しています。
私はこの1本の上映時間内で6回泣きました。これは私の中での最高記録です。あと3回は劇場に観に行きます。DVDが出たらもちろん購入して,あと400回は観るでしょう。

細田守監督のファンだろうが名前すら聞いたことがなかろうが,とにかく一度観に行ってください。
そして,その世界に迷い込んでください。一度入ったら最後,もう二度と帰りたくなくなってしまうような世界が,そこには広がっていることでしょうから。



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2016/12/09 (Fri) 00:03

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