インサイド・ヘッド (Inside Out) 感想

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オススメ度: ★★★★★

あらすじ:

ミネソタの田舎町に暮らす11歳の少女・ライリー(ケイトリン・ディアス)の頭の中では5つの感情...ヨロコビ(エイミー・ポーラー)カナシミ(フィリス・スミス)イカリ(ルリス・ブラック)ムカムカ(ミンディ・カリング)ビビリ(ビル・ヘイダー)が存在している。

ライリーの頭の中では特にヨロコビがリーダーとして、彼女を明るい子にすべく毎日奮闘中。
ただそれだけに、ライリーを落ち込んだり悲しい気持ちにさせるカナシミだけは、他の感情たちから厄介者のように扱われていた。

そんなある日、非常事態が発生。
パパ(カイル・マクラクラン)の仕事の都合で、ライリーの家族は大都会のサンフランシスコへ引っ越すことになったのだ!

大好きだった友達とも別れ、慣れない都会で不安定になったライリーの頭の中では、今まで引っ込み思案でおとなしくしていたカナシミが大暴走。楽しかった思い出を悲しい記憶に変えたり、新しい学校での自己紹介ではミネソタでの思い出を呼び起こして泣かせてしまったりともう大変。

それを止めようとしたヨロコビは、カナシミとともに「思い出ボール」を長期記憶の貯蔵庫へ送るチューブに吸い込まれ、脳の司令部から追い出されてしまう。

ヨロコビとカナシミを失ったライリーはだんだんと情緒不安定になっていき、このままでは彼女の心が崩壊してしまうかもしれない。
果たして、ヨロコビとカナシミは司令部へ戻り、全てを元どおりにすることができるのか...

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人間の感情を擬人化し、脳内と現実世界でのドタバタを並行させて描く...という独創的なアイデアを具現化した映画が同じ年に、しかも日本とアメリカで国境を越えて公開されたということがすでに奇跡的なこと。

日本で先に公開され、私見では今年公開された映画の中でもトップ10に入るほど面白かった「脳内ポイズンベリー」よりもさらに面白かったこの「インサイド・ヘッド」は、Pixarスタジオの記念すべき15本目の作品にふさわしい、アニメ映画史に残る傑作に仕上がっています。

生まれた町で、両親と友達と楽しく過ごしていたライリーの幸せな日々は、引越しという人生の大イベントによって突然奪われてしまいます。
慣れない都会は家も狭いし食べ物も美味しくない。知らない子ばかりの学校は怖くて寂しい。しかしそんな状況下でも、ライリーの感情たちは「ライリーは明るく楽しい子だから」と悲しい顔をせず、常に明るく振る舞えるようにあの手この手を尽くします。そんなライリーを、両親は「いつも明るくていい子ね」と褒めてくれるのです。

だからこそ、一つの疑問が浮かび上がります。カナシミって必要なの?
自分が悲しい感情を外に見せたら周りの人まで落ち込んでしまうし、迷惑をかけてしまう。
だったら悲しみには黙っていてもらって、外にはポジティブな感情だけを出していくことが健全だよね...という問いかけに対して、ヨロコビが一つの答えを見つけるまでの過程を描いているのがこのお話の全貌です。

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ライリーの頭の中にはまるでファンタジー映画のような広大な世界が広がっていて、その中にはライリーが小さかった頃に一緒に遊んだ空想上の友達・ビンボン(リチャード・カインド)や、夢を生み出す映画スタジオなど、我々の誰しもが子供の頃に考えたことのあるようなものの姿も多く見られます。
それがPixarによる世界最高峰の映像美で具現化されているのだから、それだけでワクワクドキドキが抑えられなくなっちゃうってものです。

そしてそんな豊かな想像力によって生み出されたポップでカラフルな世界を冒険する中で、我々人間が大人になっていく過程で必ず経験する通過儀礼を甘く優しく、でも時に心を貫かれるような痛みを伴って描かれているのだから素晴らしい。
一見非常にパーソナルなテーマを描いているように見せて、だんだんと「これは自分の物語だ」と気付かせるシナリオ作りの巧みさは、さすが「モンスターズ・インク」や「カールじいさんの空飛ぶ家」で知られるピート・ドクター監督といったところでしょうか。

そして5つの感情たちが最後にたどり着く結論。
なぜポジティブな感情だけではダメなのか。どうしてカナシミが必要なのか。
その意味がわかった時、私の涙腺は決壊しました。これはぜひ劇場に行ってご自身で見つけて欲しい答えではありますが、大人のみなさん、特にこの映画をお子さんと一緒に観に来るであろうご両親にとっては、今までわかっていたつもりでも気づけていなかった、もしくは気づいてあげられていなかった子どもたちの思いにハッとさせられること間違いなしです。

子どもたちはこの映画に詰まった、ピュアで想像力豊かな世界観に夢中になって観られることでしょう。
そして大人の皆さん。現代のストレス社会で、自分の感情を素直に表現することができなくなっていませんか?
そんな皆さんは、ぜひ劇場に足を運んで、この作品を観てください。必ずあなたにとっての答えが見つかることでしょうから。




P.S.

おそらく誰もが思ったことだと思いますが、ドリカムの歌とともに流れるオープニング映像。あれって誰得なんですかね。
「ライリー♪ ライリー♪」と主人公の名前を連呼する歌詞は,20代も中盤に差し掛かったおっさんにはあまりにもキツすぎました。観ていて変な汗が出てきたくらいに。

最近のディズニー映画は特に「日本版主題歌」という謎の名目で日本のアーティストに取ってつけたような主題歌を歌わせたがりますが(最近だと「ベイマックス」のAIが歌う英語版「Story」とか)、私からすると、「外国で作られた映画の『日本版主題歌』ってなんだよ」と思います。

おそらくは「アナと雪の女王」で日本語に直した劇中歌が軒並みメガヒットになったから二匹目のドジョウを狙っているというところなのでしょうが、それにしても今回のねじ込み具合は酷いですね。エンディングテーマに使ってくるのかと思いきや、まさか本編上映前に無理やり見せるように仕掛けてくるとは。逆に斬新すぎて呆気にとられてしまいました。

ドリカムの2人には何の罪もないですが、こどもたちに夢を与える映画のオープニングから、こういうお金の匂いのプンプンする演出を挟んでこられると一気に興ざめするんだよ、ということをディズニーの販売戦略担当の方々にはぜひとも学んでいただきたいところです...

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