BORUTO ボルト -NARUTO THE MOVIE- 感想

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オススメ度: ★★★★☆

あらすじ:

最強の忍者である七代目火影・うずまきナルト(竹内順子)が統治する木ノ葉隠れの里。

ナルトの息子・ボルト(三瓶由布子)はそこの下忍として日々修行中。火影の息子であるボルトの忍術の才能は誰もが認めるところだったが、彼はある悩みを抱えていた。

一番自分のことを認めて欲しい存在である父親のナルトは、火影の仕事に追われ毎日家に帰ることすら叶わない。それどころか自分のことをろくに知りもしないくせに、会えばいつもお説教ばかり。
ついには妹・ヒマワリ(早見沙織)の誕生日にさえ影分身で参加し、結局台無しにしてしまったナルトにボルトは怒り心頭。

そんな中、新たな忍の育成を目的とした「中忍選抜試験」の日が近づいていた。
最初は乗り気でないボルトだったが、試験には火影であるナルトも見に来ると聞き、チームを組んでいるうちはサラダ(菊池こころ)ミツキ(木島隆一)とともに参加することを決める。

今度こそ自分のことを認めさせてやろうと意気込むボルトだったが、その裏では木の葉隠れの里を揺るがす大きな危機が迫っていた...

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そもそも、私は少年マンガというものが大の苦手です。特に少年ジャンプ。
寒くてクサいセリフのオンパレード、超常現象的な技を自分でつけた技名を叫びながら決めポーズと解説付きで出したり、「って、〜なんかーーーーい!!」みたいな、リアルでやられても寒々しくて背筋の凍るツッコミが横行するコメディシーンがあったりなどなど。

私はそういうものを見ると体がむずかゆくなってくるという、もはやアレルギー反応のようなものさえ出てしまうので、少年ジャンプという雑誌自体を人生でほぼ全く読んだことがありません。
ましてやそのアニメ版なんてもってのほか。というわけで、巷では大人気のこの「NARUTO」シリーズについては、「主人公が『〜だってばぁ』って言うんだよね?」くらいの知識しか持っていませんでした。

そんな私が、私の趣向を知っていて、しかも25歳というどう考えてももう「少年」ではないおっさんからこの映画を観に行こうと誘われた時には、この男のことを末代まで呪ってやろうと、上映中は可能な限りすぐ眠ってやり過ごしてやろうと、そんなネガティブなことばかりを考えながら観に行ったのですが...

この映画を観たら、そんな偏見はすぐさま吹っ飛びました。
「NARUTO」のエピローグにあたる(らしい)この「BORUTO」は、大人にも子どもにも深く染み渡る暖かいメッセージ性と、爽快さとスピード感に満ち溢れたアクションが支配する、極上のエンタメ作品に仕上がっています。

確かに最初は、正直キツかったです。
主人公のパパ・ナルトがテレビのインタビューに「そうだってばよ!」と答えるシーンがあって、
その息子で主人公のボルトはことあるごとに語尾に「だってばさ!」なんていう、どんな環境で育ったらこんな奇怪な言葉が口癖になるんだよ、という言葉を語尾に付けるし、もう最序盤で背筋がムズムズしちゃって「ああ、やっぱ無理かも...」とすら思いました。

しかしそんなことを気にしている暇もないほど、物語はテンポよくハイペースに進んでいきます。

導入部分で舞台のバックグランドをサラッと説明し、その後主人公たちが様々な試練に挑む中忍試験へ入り、そこからは里の存亡を危機に陥れる大事件に発展していく...という王道なストーリーの運びが実に明快でわかりやすく、その中に自然に組み込まれた親子愛のメッセージがいいスパイスとなって、95分の上映時間があっという間に感じられます。

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15年も続いたシリーズのエピローグ的作品だけあって、原作のキャラのその後やその子どもたちの活躍、さらには子どもたちの行動やセリフの中には原作でのシーンを彷彿とさせるものが多数登場し、原作ファンにはたまらない豪勢なサービスっぷり...らしいのですが、原作を一切知らない私にとってはあまり関係のないもの。

そんなものは一つも知らなくとも、この映画を楽しむために必要な情報は作中で全て提示されていますのでご安心を。

物語を彩るハイスピードでド派手なアクションシーンは文句なしに爽快で、特に終盤のナルト/サスケvsラスボス・モモシキのバトルは圧巻。
地形を忍術で様々に変化させながらめまぐるしく展開していくバトルには、誰もが少年時代に抱く「自分にもこんな能力があったら」という夢が凝縮されており、観ているこっちまで劇中のボルトと一緒に「すげえ...」という声を漏らしてしまうほどでした。

それらのアクションシーンの壮大さ、派手さとは裏腹に、人間関係や敵の目的をあまりごちゃごちゃと複雑にしなかったのがまたいいですね。こういう作品だと、もしメガヒットになって続編を作りたくなった時のための予防線として今回のラスボスの生い立ちや黒幕の存在を匂わせて、なんとなーく消化不良で終わらせたがったりするものですが、今作の話は本当にすっきり!
宇宙人的な謎の強い敵が攻めてきたので、みんなで力を合わせて撃退する、というそれだけ。アベンジャーズもびっくりのシンプルさです。この映画1本の魅力で勝負しよう、という製作陣の思い切りの良さが伝わってきて好印象ですね。

その中に組み込まれた、ナルトとボルトの親子愛を描いた物語も実に見事。

仕事に忙しい中、なかなか子どもにかまってやれない。いざ会って話すとなっても、照れくさくてなかなか素直な気持ちを伝えられない。でも心の中では、息子のことが誰よりも愛しい。そんなナルトの姿には、現代の日本のお父さん像が想像以上にリアルに投影されています。

そしてボルトがまたいいですねえ。
家族のことをないがしろにしている父親に反発しているけれど、その反発っていうのは実は誰よりも父親のことを尊敬していて大好きだからこそ来るもの。だから父親からの「頑張ったな」なんて何気ない一言で涙が溢れてくるほど嬉しかったりするもので、その一言のために頑張りたいって思えるもの。その過程で盲目になって、道を踏み外してしまうこともあるかもしれないけど。

こんな親子のやりとりがびっくりするほどリアルで、夏休み久々に息子/娘と映画を観に来る時間が取れた、っていうお父さんたちには、場合によってはトラウマになっちゃうくらい深く刺さるのでは。
しかし、あまりにも清々しいこの映画の結末を観た後には、「これからは少し早く帰って、家族と過ごす時間を増やそう」なんて温かい気持ちになれること間違い無しです。

95分間という比較的短い上映時間の中に「これでもか!」というほどたくさんの要素を詰め込みながら、それら全てがきちんと整理されて描かれたこの物語は、大人も子どもも、さらには私のように原作を全く読んだことがない人さえも作品の世界へ引きずり込んでしまう、パワーに満ち溢れた快作となっています。

2015年夏休みの家族映画は、これで決まりだってばさ! あっ、言っちゃった。

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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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