ショート・ターム (Short Term 12) 感想

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オススメ度: ★★★★☆

あらすじ:

過程で様々な問題を抱える子供達のために設立されたグループホーム・「ショート・ターム12」でケアマネージャーを務めるグレイス(ブリー・ラーソン)

彼女は長らく同僚のメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr.)と恋人関係にあり、彼の子どもを妊娠もしているが、ある事情からすでに中絶の予約を入れており、産む気はないということをなかなか伝えられずにいる。

そんなある日、施設に自傷癖のある少女・ジェイデン(ケイトリン・ディーヴァー)がやってくる。
他人と深く関わり合いを持つことを嫌う彼女は、グレイスをはじめとするケアマネージャーはもちろん、他の子どもたちとも距離を置こうとする。

そしてジェイデンの誕生日、迎えに来るはずだった父親がやってこないとわかるとジェイデンはパニックを起こし、施設のスタッフに対して暴力的な振る舞いをしてしまう。

ジェイデンと父親の間にはいったい何があったのか? 真実を探ろうとするグレイスは、自身の過去とも向き合っていくこととなる...

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よくあるんですよね、こういうテーマの映画。
リハビリ施設で過去の傷に苦しむ人たちと、そのケアに自己犠牲の精神を発揮して必死に臨む人たちの、涙なしには見られない感動の物語。
そういう映画じゃこのような施設の現状は伝えられないというか、「結局はフィクションの世界の人たちの話なんでしょ」という感想しか持てない、好奇心をくすぐる作品は作れないんじゃないのかなあ、とずっと思っていました。

しかし、2013年に公開されるや99%の評論家から高評価(Rotten Tomatoes集計)を受けたこの「ショート・ターム」は、その圧倒的な評判に違わず全てが革新的。

デスティン・ダニエル・クレットン監督が、自らもティーンエイジャーをケアする施設に勤めていた経験を生かして手がけた脚本は、施設で生きる子どもたち、またケアワーカーたちに降りかかる厳しい現実をオブラートに包むことなく、とにかく生々しく描きだすことに成功した傑作です。

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「ショート・ターム12」に勤めるケアワーカーたちはみんな20歳そこそこで、自分のことで手一杯な普通の若者。まるで彼ら自身こそが子どもみたいなのです。
そんな中でも一番しっかりしているように見えるのが主人公のグレイス。

グレイスは自身の過去のトラウマから、子どもたちを過酷な現実から守ってあげることにも特別な感情を抱いています。しかし彼女の役割はあくまでも子どもたちを見守ること。決して子どもたちの親や兄弟になれるわけではありません。
だから施設の子どもが親から虐待にあっていることが明らかでも、親が子どもを連れ帰りたいと申し出たら、そして子どもが家に帰りたいと思っているなら、グレイスにできることは何もないのです。

この映画が観客の心に深く染み入ってくるのはそのあたりの微妙な距離感をうまく描いているところ。
子どもたちのためを思っても踏み込めない領域があることは確かなわけで、それに絡んでくる要素の一つ一つにも様々な立場の人間の思惑や利益追求がどうしても入り込んできてしまう、という残酷な現実を包み隠さず描いているからこそ共感を呼べるのだと思います。

その世界へと我々を引きずりこんでくれるのは、若い俳優陣によるこれ以上を望めないほどの最高の演技。
特に主演のブリー・ラーソンの演技は目を見張るものがあり、自らの過去のトラウマ、そして現在進行中の問題と向き合いつつ、だからこそ子どもたちを守りたいという気持ちが強くなりすぎてしまうグレイスというキャラクターを複雑に、しかし実に人間味ある人物へと完成させています。

わかりやすく涙を誘うシーンなどなくとも心を震わす映画はある、ということを再確認させてくれるこの映画。今ではDVDやブルーレイで観ることができるので、自宅でご家族と一緒に観て、親が子どもに与える影響力の強さについてを考えるきっかけとしてみるのも良いかもしれません...

 

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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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