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ロマンス 感想

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オススメ度: ★★★☆

あらすじ:

小田急電鉄のロマンスカーで車内販売員をしている北条鉢子(大島優子)は優秀な社員だが、プライベートでは暇さえあれば金をせびってくる彼氏や、母親・頼子(西牟田恵)との確執に悩まされていた。

そんなある日、鉢子のもとにある人物から手紙が届くが、彼女は中身を読むや否や、怒りと不安の混ざり合って表情で、カバンの中に放り込んでしまう。

その日もいつものように業務に臨む鉢子だったが、自分が受け持つ車内販売用の荷台から万引きをしている男を見つける。
「これから払おうとしたんだよ!」と罪を認めようとしない男だったが、いざ箱根湯本駅に着き、駅員が話を聞こうとすると、全速力で逃げ出してしまう。

駅の外まで追いかけて、やっと男を捕まえた鉢子。男を駅員室へ連れて行くも、「今回は大事にはしない」と男は無罪放免。
納得のいかない鉢子の前に再びその万引き男が現れる。男の名前は桜庭洋一(大倉孝二)。職業は自称映画プロデューサー。

やたらと話しかけてくる桜庭にイライラが募った鉢子は、カバンの中に入れていた手紙を破り捨ててトイレに逃げ込むのだが...

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旅先へ向かう列車の中って、どうしてあんなにワクワクするんでしょう。

今までに行ったことのない場所へ行くということは、ある意味で今の現実から逃れる手段であるとも言えるわけで。
自分を縛るしがらみから自由になれるということの解放感は何にも変えることができないもので、そうやって時には現実から逃避しないと、心がはちきれそうになってしまうことは、誰にも経験があるのではないでしょうか。

タナダユキ監督が7年ぶりに手がけたオリジナル作品であるこの「ロマンス」は、箱根という、日本で最大の繁華街・新宿と電車一本でつながったリゾート地で、現実と夢の間を旅する男女の不思議な物語です。

主人公の鉢子は、仕事中に出会った万引き犯があまりにもうるさく話しかけてきてイラついたから、確執のある母親からの手紙をゴミ箱に捨てます(なぜ?)。

そしてその万引き犯はゴミ箱からその手紙を拾い上げて中を読み、「君のお母さんは自殺しようとしてるよ!」と主張して、「俺と一緒にお母さんを探しに行こう!」と、勤務中の鉢子を無理やり箱根の旅へと連れ出します(なんでお母さんが今日箱根に来てると思った?)。

さらにその男は、お菓子1箱を万引きしないといけないくらいお金がないはずなのに、旅路でレンタカーを借りたり、鉢子に洋服を買ってあげたりします。

こんな風にシナリオ運びはかなり強引で、ツッコミどころが満載。
しかし、個性に溢れたキャラクターたちが生き生きと箱根の観光地を駆け巡る姿を見ていると、そんなことはだんだんとどうでもよくなってきてしまいます。

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主人公の鉢子は、現在は疎遠になっている母親、そして幼い頃に別れてしまった父親と遠い昔に旅行に来た箱根で、自らの過去と向き合うこととなります。
一方でもう一人の主人公・桜庭は、今の自分を追い詰めている現実からの逃避行の中で、現実との向き合い方を見つめなおすことに。

現実に立ち向かうために旅をする鉢子の姿と、現実から逃げるために旅をする桜庭の対比が作品のスパイスとしてしっかりと効いており、一見正反対に見える2人が不思議と惹かれあい同調していく様子が優しいタッチで描かれています。

そんな中にもユーモアを絶やすことなく挿入し続けることで、観客を飽きさせません。
特に桜庭を演じる大倉孝二の三枚目っぷりはもはや名人芸の域。彼の一挙一動にドッカンドッカン笑いの波が押し寄せてきて、もうそこにいてくれるだけでいい。そんな思いさえ湧き上がってくるほどです。

忘れてはいけないのが、とっても仕事のできないダメダメな鉢子の後輩・久保ちゃんを演じた野嵜好美の圧倒的な存在感。あれ、ずるくないですか? パッと見ただけで「ああ、ダメそう...」とわかる喋り方に最初の段階から笑わせられたと思ったら、電車の中では案の定すぎるダメっぷりを見せつけ、そしてそのダメさを全然気にしてないポジティブさ。あんなの笑うに決まってるじゃないですか。
ラストの久保ちゃんと鉢子のやりとりには爆笑必至です。私は帰宅途中の電車の中で、ずっと思いだし笑いが止まらなくて困りました。今、この記事を書いている間でも、思い出すとついつい笑ってしまいます。いつになったら笑いが止まってくれるのやら。

そしてやっぱり特筆すべきは、主演の大島優子によるパフォーマンスでしょう。
今回は主人公の鉢子の役柄自体が大島優子にあて書きされたということもあり、「紙の月」で見せた小悪魔キャラ以上のハマりっぷり。

彼女は表情で魅せるのが非常に上手な女優さんで、真面目に日々の業務をこなしつつも、裏ではヒモの彼氏や母親との確執など、負のスパイラルから抜け出せない苦しさがふとしたところに滲み出る。鉢子という微妙な立ち位置にいるキャラクターを見事に演じきり、ラストシーンの単独アップにも耐えられるほどに映画女優としての貫禄が出てきたように感じられます。

短い旅を終え、過去との向き合い方に一つ折り合いをつけることのできた彼女の表情からは、たとえ辛い過去があっても、これから私たちを待っている現実は明るいものも多いはずだということを信じさせてくれる説得力に溢れています。

作中で桜庭は、「今はみんな現実主義のやつばかりだけど、映画には夢が詰まっているじゃないか」と(いうようなことを)言います。その言葉はきっと、タナダユキ監督が、どこか欠陥だらけの日常を送る私たちみんなに伝えたいメッセージだったのではないでしょうか。

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Theme: 映画感想 - Genre: 映画

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